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(3)
謁見の後、私は次代聖女候補の少女に会った。
彼女の名はエリシア。孤児院で育った、十歳の少女だ。
「あなたが――聖女の娘?」
エリシアは大きな目で私を見つめた。
「ええ。でも、私は聖女にはならないわ」
「なぜ?」
「だって、聖女は大変でしょう?」
私は優しく微笑んだ。
「皆の期待を背負って、常に完璧でいなければならない」
エリシアは小さく頷いた。
「でも――私がなるの?」
「そうよ。でもね」
私は彼女の手を取った。
「あなたは一人じゃない。私たちが、あなたを支える」
「本当?」
「本当よ」
私は約束した。
「これからは、聖女一人に負担を押し付けない。医療制度で、皆が支え合う」
エリシアは安心したように笑った。
「わかった。頑張る」
私は彼女を見送った後、窓の外を見た。
王都の街並み。そこには、新しい未来が待っている。
――母さん。
私は心の中で呟いた。
――あなたの願いは、これから実現する。制度という形で。
そして――私は、影からそれを守り続ける。




