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傾国の美女〜女警察は職権を濫用する〜

無能王子に婚約破棄をされるご令嬢は国を憂う( https://ncode.syosetu.com/n2390km/ )のジャンヌ・スプーキーの前世の外伝です。


**この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。**

2025年5月30日、曇り。


東京都渋谷区ホテル街の一室。

「ここが好きなんでしょ?」

「あっ江波奈さん。それ以上は・・・」

「我慢できなくなっちゃう?いいのよ、おれいだから。あたしが気持ちよくしてあげる。その代わりに、また協力してくれない?」


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2025年6月17日、晴れ。


小林理人と石田紀之は新たな任務を言い渡されており、浅草狐虎警察署に向かった。


「本日付で、本署に配属になりました小林理人と申します。皆様どうぞよろしくお願いいたします」

「同じく石田紀之と申します。皆様どうぞよろしくお願いいたします」


朝の朝礼で2人は転属の挨拶を行ない、他の伝達事項などが終わると、警察官はそれぞれ各自に業務に戻っていった。


2人には防音設備がしっかりと施された個室が割り当てれており、早速そこに向かった。

「小林さん。この人が今回の対象ですか?」

「そのようだな、石田くん。資料には目を通したか?」

「はい。浅草狐虎警察署地域安全課所属、江波奈 あきほ40歳。職権濫用や経費の不適切利用の疑い、犯罪行為のでっちあげの疑いですか。これはこれはオンパレードですね」

「ああやりがいがあるな。早速本人のお顔を拝んでみるか」


2人は浅草狐虎警察署の別のフロアに向かった。配属初日の所内見学を装っている。


「あたしのいうことが聞けないの!?いいから言う通りにやりなさいよ!」

「江波奈さん。もう少ししっかりと目撃者の証言を集めましょう。この暴力事件の状況は不自然です」

「江波奈”さん”?」

「江波奈”先輩”、証言を」

「ふんっ、あたしは理解した上でこっちって言っているの!わかる?あんたみたいなどこの馬の骨ともわからない女には理解できないでしょうね!現場はあたしに従っていればいいのよ!これはもう立件よ!文句をいうようならこのバリカンでスキンヘッドにするわよ!ほらあっちいった!」


その様子を小林と石田は離れたところから見ていた。

「先輩、スキンヘッドにするぞとか脅しているあのおばさんですか?」

「ああ、ただ口先だけで本当にする度胸はないだろう。それにしても、若い頃に美人すぎる警察官と呼ばれていたが、年には勝てないか」

「厚化粧すればまだいけるんじゃないですか?この前美魔女コンテスト出てませんでした?」

「お前熟女派なのか?」

「いや、冗談ですって。先ほどの部下の人って確か能力が高いことで有名な新卒2年目の子ですよね?」

「そうだな。ということは、あの一件はでっちあげの可能性があるのか」

「早速いい場面に出会いましたね。僕たちに与えられた期間は半年でしたっけ?」

「そうだが、この様子なら半年あれば余裕だな」

「早く終わったらボーナスくれますか?」

「次の仕事をあげよう」

「げっ」

「まずは、対象の人間関係から洗い直すか」

「はい」


この2人、小林理人と石田紀之は警視庁本庁所属の内部監査部隊のメンバーだった。警察官として不適切な言動をしている疑いのある職員を内密に調査をしている。今回の対象は、さまざまな噂の絶えない江波奈 あきほだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


2025年7月17日、雨。


「小林さん。これは本当ですか?」

「石田くん。残念ながら本当だ」


2人は浅草狐虎警察署内にある専用の個室にいて、それぞれの調査結果を持ち寄っていた。


「一般男性と肉体関係をもち、その見返りに暴力事件をでっちあげさせていたなんて。通りで必ずどちらかの当事者が無罪になっていると思いました。そのうえ、ホテル代を捜査交際費として計上しているんですか?」

「そのようだ。彼女は若い頃にプライベートの時間での痴漢犯罪の検挙数が多かったが、年々減少していた。それと比例する形で暴力事件の検挙数が増えている。おそらく、加齢と共に痴漢のでっち上げができなくなり、代わりに暴力事件をでっちあげたんだろう。彼女の若い頃の痴漢事件で新聞にも載った事件の加害者に会って話を聞いたが、女性側から押し付けてきたらしい」

「なんですか、それ。そんなクズなんですか?」


石田は軽蔑するような表情をしている。


「我々がきてよかったと前向きに考えよう。石田くんの調査結果なのだが、ゲーム会社に職権濫用したのか?」

「はい。乙女ゲーム『傾国の美女〜女スパイは大国の王子様を籠絡する〜』のゲーム会社に、捜査と称して、脚本の変更、キャラクターデザインの強要をしていたようです。同社の売り上げにも影響が出ています。

「何をしているんだ?それ意味あるか?」

「彼女が担当している監視対象がやっているゲームらしいですよ。監視対象の反応をみるために愉快犯的にやっていたんじゃないですか?」

「そういうものか。俺はそういうのIT系にうといから若い石田くんに頼んでよかった」

「まぁ意味はないと思いますけど。僕に頼んでよかったということは、ボーナスくれますか?7月ですよ」

「新しい仕事をあげよう」

「げっ」


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2025年8月17日、曇り。


「小林さん。暑いです」

「冷房のスイッチ入れたばかりだからな、そのうち涼しくなるだろう」


2人は浅草狐虎警察署内にある専用の個室にいて、それぞれの調査結果を持ち寄っていた。


「石田くん、これは本当か?」

「はい。前回の乙女ゲームだけではなく、ソーシャルゲームと呼ばれるジャンルでも同様のことをやっていました。7人の神々がでてくるゲーム、銀河を列車で旅するゲーム、タイムリープ能力がある猫が主人公のゲーム、音や周波数をテーマにしたアクションゲーム、魔女狩りで荒廃した世界を救うゲーム、幻の塔を探すゲーム、深淵を冒険するゲーム、星をめぐってドラゴンを倒すゲームなどですね。ソーシャルゲームでは、メンテナンスを延長したり、緊急メンテなどもやらせていたようです」

「これだけの数・・・・どれだけの損害額にのぼるんだ・・・?」

「かなりの損害額にのぼるかと」

「おいおい、警察の仕事はゲームで遊ぶおままごとじゃないだろう」

「ごもっともです。これだけ私物化して・・・ソーシャルゲームのユーザーが知ったら炎上に次ぐ炎上で江戸の大火事も真っ青の大炎上でしょう。しかし、彼女は理解してないようですね」


小林は頭を抱えてしまった。


「小林さん。この調査なのですけど」

「なんだ?」

「某大手パンメーカーの異物混入のフェイクニュースを本当ですか?クマネズミが混じっていたんですか。本当なら経営が傾くレベルじゃないですか」

「そうだな。しかし同社のネットの風評被害対策部隊がすぐに気付き、沈静化したため、被害は少ないらしい。ただし、もし本当に広まっていたら、とんでもない額の損害になっていただろう」

「これフェイクニュースですよね?何の意味があるんですか?」

「さぁな。報道すらも意のままに操れると自己満足に浸りたかったんじゃないか?」


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2025年9月17日、雷。

「小林さん。今日もよろしくお願いします」

「石田くん。こちらこそよろしく頼む」


2人は浅草狐虎警察署内にある専用の個室にいて、それぞれの調査結果を持ち寄っていた。


「小林さん。電車って警察の私物でしたっけ?」

「いや。違うな。公共交通機関だ」

「じゃなぜ彼女は、遅延や運転取りやめをさせていたんですか?しかも、緊急地震速報を偽っての緊急停止まで?」

「バカだからじゃないか?」

「小林さん笑わせないでください。確かにバカだとは思いますけど」


石田につられて小林も笑い出し、落ち着いたところで、


「石田くん。彼女はこんなことまでしてたのか?」

「はい。通信キャリアに職権濫用をしていたようです。具体的には、特定のユーザーの通信状況を意図的に悪化させたり、圏外にさせたりしてました」

「そんなことができるのか?」

「はい。携帯電話が基地局に接続する際に、個別識別番号を通知します。それを元に制限をかけさせたのでしょう。通信量が一定量を超えると速度が落ちる経験はありませんか?あれと同じです」

「なるほど。理解はした。理解はしたが、それで何になるんだ?」

「現在の社会インフラの一つである通信に対して、権力を使っている自分に酔っているのでは?」

「嘆かわしい限りだ。社会インフラの機能を損ねるなど、どれだけの損害を出せば気がすむんだ。国を守る立場としてありえないだろう。それにしても、俺ではわからなかった。石田くんに頼んでよかった」

「じゃボーナ」

「さて、次の仕事をあげよう」


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2025年10月17日、晴れ時々にわか雨。


2人は浅草狐虎警察署内にある専用の個室にいて、それぞれの調査結果を持ち寄っていた。


「小林さん。そろそろ調査も目処がついてきましたね」

「石田くん。その通りだな。調べれば調べるほどこいつなにやっているんだ」

「警察ってこんなんでしたっけ?」

「いや、断じて違う。なんでこんなやつがまだ警察官のままでいるんだ?責任者は何をやっているんだ?」

「責任者も同罪なのか、偽物の報告を受けているのか、確認してみましょう」


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2025年11月17日、曇り時々晴れ。


2人は浅草狐虎警察署内にある専用の個室にいて、それぞれの調査結果を持ち寄っていた。


「小林さん。調査書に記載する内容の一部を確認しますか?」

「石田くん。そうだな。一気に全部は確認するのは今日は時間が足りないから後日にするか」

「はい。本人に依願退職を促すためにも早めに確認しましょう。一旦紙にまとめました。金額については、フェルミ推定で出していますが、調査が完全に終わり正式な報告書を作成する時には本物の数値に書き換えます」


【江波奈 あきほの警察官としての適性について】

・無駄遣い癖

監視対象の監視に数百人規模を動員している。警察官一人当たりの平均時給を3400円とすると、監視対象が1時間サイクリングに行くだけで、3400円×100人×1時間=34万円の費用がかかっている。また、監視対象が出社している場合は、職場に配置した警察官を10名とすると、3400円×10人×8時間×20日×12ヶ月=6528万円かかっている。

なお、本人が経費申請した中身をみると、江波奈氏が担当する監視対象のスマホのメモに、どこにいっても人がいると困るなぁ、と書かれていたのを上部だけの言葉を信じて間に受けたためだと思われる。正当性かつ妥当性が疑われる。

監視対象が住むマンションをなぜか貸切で借りている。台東区にあるマンションで、平均家賃16万円で、72部屋かりているため、76万円×72部屋×12ヶ月=1.38億円の損失につながっている。また、周辺のマンションも借りており、台東区の平均家賃を11.5万円とすると、11.5万円×50部屋×12ヶ月=6900万円となっている。

他にも、車を数百台常備しており、監視対象のサイクリング中に常に走らせている。ガソリン代を160円/1Lとし、都心での1時間あたりの車の走行距離を25kmとし、国土交通省が発表しているデータをもとに車の燃費の平均は22.0㎞/Lであるから、1L=25kmと仮定し概算すると、ガソリン代だけで1時間あたり160円×50台=8000円となる。また、台東区の月極駐車場の料金は平均3.65万円であり、3.65万円×100台×12ヶ月=4380万円/年となる。


監視対象の出勤に合わせて満員電車を作り出すために、数百人規模の警察官を動員した。

警察官の拘束時間を2時間とすると、朝夕方で合計4時間となるため、

3400円×300人×4時間=408万円/日となる。

年間だと、

408万円×20日×12ヶ月=9.79億円の多額の経費の損害である。


さらに、現場に動員した警察官の食費や監視対象がスーパーマーケットに行った時に一緒に買い物をさせる費用も考慮すると、上記以上の無駄遣いをしている。


また、飛行機を貸切にしたり、特急電車を貸切にしたりしたという記録も残っており、損害の総額は現在も調査中である。


飲食店の貸切の記録も残っている。

例えば2024年10月13日の東京駅付近のフレンチレストランの貸切、2024年10月17日の銀座のフレンチレストランの貸切があげられる。

2024年1月19日には、新宿でリアル脱出ゲームを貸し切りにしている。


嗜好品の購入。

タバコやお酒を経費で買い込み、現場警察に配っている。


評価:不要な無駄遣い著しく目立つ。警察官として、人員の動員計画の立案や、捜査を指揮する能力が欠如している。


・妥当性を欠く、公共交通機関の遅延

2024年9月27日17時ごろ、上野駅にて大東京地下鉄網の日比谷を通過する路線の運行停止を行なった。当初60分で復旧するとアナウンスを行わせたが、実際は17時30分くらいに復旧したことにしていた。

2025年1月9日11時台の東北新幹線の遅延もあげられる。

2018年12月にも急東園田都市線の遅延も行なっている。


飛行機の遅延について。

2023年12月17日12時10分大分空港発羽田行きの飛行機を遅延させ、さらに羽田空港ではターミナルから離れた場所に機体を停機させ、乗客にはバスでの移動を強要した。

2023年11月23日13時50分成田空港発上海行きの飛行機も数時間遅延させた。

2023年6月19日11時00分成田空港発グアム行きの飛行機を遅延させた。なお、この際私服警察官の一団も監視対象に同行させ、その費用もかさんでいる。


評価:公共交通機関を私物化しており、高い倫理観が求められる警察官に相応しくない。また、監視対象に合わせて、通勤時間帯の電車の遅延も度々おこしており、社会に与えた損害も大きく、その観点からも警察官として続投させることは国の損失につながる。


・暴力事件の仕立て上げ

2024年6月16日午前中に浅草のハイソンの目の前の交差点で起こった暴行事件。江波奈氏の協力者が、ハイソンの目の前で飲酒をしていた人に挑発をするような行為を行なった。相手は「舐められたくないだよ!」と言いながら殴りかかった。江波奈氏の協力者がすぐに110番で警察に通報し、江波奈氏本人が現場に赴き取り調べをおこなった。暴力を振るった側の男性は、すでに警察にマークされていたため、江波奈氏が犯罪を誘発した疑惑がある。江波奈氏の協力者の男性は胸にあざができる怪我を負った。


さらに、電車で酔っ払いに足をかけたり、足を踏んだりもしていた模様。


・フェイクニュース

2024年5月21日、大手パンメーカの有名な商品にクマネズミが混入したというニュースを流した。この商品は、監視対象が当時好んで商品であったため、嫌がらせの可能性が高い。

また、2023年9月19日の東京駅の落下事故のニュース、2024年1月2日の大手航空会社の飛行機自己のニュースを流した。後者は、江波奈氏が担当する監視対象が普段よく使う航空会社であった。


・飛行機の私物化

神奈川県厚木市にある航空施設に対して、飛行機を飛ばすように命令。監視対象のサイクリングに合わせて数時間飛ばさせた記録も残っている。燃料費や人件費など無駄遣いの金額に関しては調査中。


・食い逃げのでっちあげ

協力者に頼んでラーメン屋で食い逃げのでっちあげた。


・盗撮のでっちあげ

警察として勤務している時間外に、わざと階段で短いスカートを履くなどして、盗撮を誘発していた。なお、女子高生のコスプレをしていた模様。



「え、どうしてこんなに浪費したんですか?本物のポンコツが、すべてを無駄にする」

「石田くん、急にどうした」

「つい。それにしても女子高生のコスプレはキショ」

「・・・そうだな」

「監視対象の件ですけれど、これおそらく気付かれてますよね?」

「だろうな。江波奈さんが立てた作戦は見事にカウンターされているし、作戦立案者つまり江波奈さんだが、の無能が露呈する方向に誘導されているな」

「しかも見事に決まってますよね。監視対象にいいようにやられる警察って・・・。江波奈さんが権力にすがりまくっているのも、能力不足を自覚しているからなんでしょうね。とはいえ、権力といっても道具ですから、使い手によりますよね。彼女の実力ではお遊戯会レベルが関の山なんですね」

「あぁ。実に嘆かわしいことだ。責任を取らせねば」

「はぁ、今日はもうこのあたりでいいですかね。頭が痛くなってきました」

「同感だ。それにしても、本当に俺たちと同じ警察官か?ごっこ遊びをしている子ども、といわれた方がしっくりとくるぞ」

「そうですね・・・けどごっこ遊びにしては損害の額も大きいですし、フェルミ推定ですけど、経費の無駄遣いも10億近いので笑えませんね・・・」

「まさに名実共に税金泥棒だな。自作自演の中には物理法則を守ってないのもあるじゃないか。どれだけ低レベルの作戦しか立てられない無能なんだ」

「それに上部だけですよね。例えば、いち、1、イチ、壱、Iは本質的には全く同じでしょうに、上部だけ変えても本質的には目新しくない作戦ばかり立ててますね」

「そのうえ、低レベルな作戦を権力で誤魔化そうとしているからな。本当は無能の自覚があって焦っているんじゃないか?いずれにせよ、職権濫用のしすぎでもあるから早く警察を辞めてもらおう」

「はい。それが警察のみならずこの国のためになります」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2025年12月17日、晴れ。


2人は浅草狐虎警察署内にある専用の個室にいて、完成した調査報告書の最終確認をしていた。


「小林さん、これで調査報告書も完成ですね」

「ああ。石田くん、この6ヶ月ご苦労だった」

「小林さんこそお疲れ様でした。あとは、これを江波奈さんに突きつけて、依願退職を促すだけですね。それか、あえて事前に伝えてどう対処するか見てみます?」

「時間の無駄だろう、依願退職を促すだけにする。それはそれとして、彼女は警察史上過去最高レベルの無能だったんじゃないか?まさに国家権力におんぶにだっこするだけで、虎の威を借る狐みたいだな。まぁちゃんと過去の記録を読めば下には下がいるかもしれないが」

「自作自演ばかりで勝手に墓穴を掘りまくってますしね。税金泥棒の戦犯で警察のコストセンターですね。権力に縋るだけで、自らの能力を成長させる意識がなかったようですね。少なくとも職権を濫用するだけの無能令和代表であることは確実ですね」

「こんな大物久しぶりだったな。責任者もこの状況を知った上で放置していたから同罪だな。今日はもう遅いから、江波奈さんを呼び出すのは明日にするか」


2人が一仕事終えて開放感に浸っていると、2人の事情を知っている浅草狐虎警察署の署長が血相を変えて部屋に駆け込んできた。

「2人とも!今すぐ署長室にきてくれ!!」


2人は顔を見合わせつつ、署長の様子が尋常ではなかったため、すぐについていった。


「いいか、今から2人にみせるニュースは本物だ。偽物ではない」

「「はい」」


ニュースには、つい先ほどまで2人が話題にしていた女警察の顔が映されていた。

「署長!江波奈さんがパトカーで飲酒運転をしたあげく、女子高生を轢き殺したとは・・・?」

「石田くん、信じがたい気持ちはわかる。今まで行ってもらっていた調査だが、使用目的が変わりそうだ。これはさすがに状況が悪すぎる。彼女を切るための材料にさせてくれ。小林くんもそれでいいか?」

「はい、こうなっては仕方がありません。彼女が警察官としていかに不適切かをしっかりと説明し退職させる予定だったことも公表しましょう。警察全体への信用が下がるのは避けられませんが、ミスリード、いえ、少しでも彼女本人に意識を向けさせましょう」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2025年12月18日、くもり。


浅草狐虎警察署内にある取調室に江波奈あきほは座っていた。対面には取り調べを行う警察官が座っている。その目は、江波奈あきほを軽蔑とともに見下している。


「江波奈さん、浅草狐虎警察署近くのコンビニでお酒を購入し飲んだあとにパトカーを運転し、道にいた女子高生を轢き殺したというのは事実ですね?」

「あたしは悪くない!」

取り調べを行う警察官の目に映った軽蔑の色がさらに強くなり、江波奈あきほを見下ろす視線もさらに険しくなった。


「いいですか。複数の目撃者がいますし、そもそもパトカーのボンネットは凹み、死亡した女子高生の血痕が残っています。街中の防犯カメラにもはっきりと事件の様子が写っていますし、パトカーのハンドルにはあなたの指紋が綺麗に残っていました」

「あたしは悪くない!」


取り調べに同席した警察官の目も険しくなり、江波奈あきほを見下ろす視線には侮蔑の色が浮かんでいる。


「そうですか。事件の前後ですけど、あなたは男性宅に仕掛けた盗聴器の音声を聞いていましたね?」

「あたしは悪くない!」

「その男性が、自宅にあった不審な機材に気付き110に電話をした音声を盗聴したあなたは、我々にバレる前に自分で回収するために、パトカーの緊急走行で現場に急行しようとし、女子高生を轢き殺しましたか?」

「あたしは悪くない!あたしの今までの成果を考えればこの程度些細な事でしょう!」


取り調べを行っていた警察官は、同席していた警察官にアイコンタクトをして、一度休憩を挟むことにし、自分たちの部屋に戻った。

「何があたしは悪くないだ。バカの一つ覚えのように繰り返しやがって。オウムかよ」

「実際バカなのでは?最後に成果と言っていましたけど、彼女の警察官としての業務報告書を読みましたか?」

「読んだけど、自分の目を疑った。なんであんなのが警察にいたんだ?そのうえ飲酒運転でパトカーを運転し、女子高生を轢き殺すなんて・・・」

「休憩が終わったら事実をつきつけましょう」


一方、小林と石田は、追加調査を行っていた。

「石田くん、盗聴器の件なんだけど」

「小林さん、思ったよりも大掛かりな計画だったようですね」

「ああ。被害者の名前は高野まこと。江波奈容疑者が担当する監視対象だった男だ。高野まことを逮捕できないことに業を煮やした江波奈容疑者が、独自に盗聴盗撮機を仕掛けていたようだな」

「そのようですね。しかも、高野まこと氏の下の階の部屋を借りて、江波奈容疑者は異臭や騒音騒ぎを起こしていたようですね。特に騒音は、本物のバイクの姿が見えないのに音だけが聞こえるという状況だったようです」

「自分が無能ゆえに逮捕できないのに、逆恨みして嫌がらせをしていた、ということか。つくづく、警察官に相応しくない」

「管理会社を装って高野まこと氏に電話もしていたみたいですよ」

「偽物の管理会社でごっこ遊びか。警察の権力をごっこ遊びに使うのもいいかげんにしてほしいものだな」

「高野まこと氏が外出する時には、車に反射材を塗って太陽光を反射させたり、真昼でも車のヘッドライトをハイビームにして視覚的に嫌がらせもしていたようですよ」

「他には、同士がエレベーターに乗ろうとするとちょうどタイミングよく他の階に行ったり、静電気を起こしたりとかもあるな。そんな低レベルなことをするくらいなら、本人が成長しようと思わないのか。同じ警察官として心の底から恥ずかしく思う」

「改めて列挙すると、本当に何やっているのだこのバカは、って思いますね。それと、もう同じ警察官ではなくなりますよ」

「そうだったな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2025年12月28日、雲ひとつない快晴。


取り調べがひと段落し、保釈され署から出ようとしてしていた江波奈あきほに署長が声をかけた。

「優秀な若者を殺したことも忘れるなよ」

「なんのことよ?」

「とぼけるのか?」

「あの子が元々自殺するような子だったという可能性と、あたしが懲戒免職にしたことが原因である可能性ははっきりと分けられないでしょう?立証できないでしょう?証拠にならないでしょう?無駄な努力しないほうがいいわよ。それよりも、あたしが今まで立てた成果を見て今回の件の刑を軽くしなさい?あたしは有能な警察官なんだから」

「本気で有能な警察官だと言っているのか?取り調べの時に話を聞いていなかったのか?お前のいう成果は、自作自演のでっちあげだったという裏はすでに取れている」

「はっ?」

「いいか、お前は有能とはかけ離れている。お前の評価はな、無能で傲慢で理解力のなさが際立ち、機転も効かないにも関わらずつけあがっているうえに、低レベルの脚本でおままごとばかりお遊戯会ばかりで自己満足に浸るだけの、社会の癌であり日本の恥であり、上部だけそれっぽいことを表面的にやるだけで整合性もとれておらず、チ○ルチョコ一個買うのに100万円以上使うような、無能の烙印もおされている不様で惨めで成長もしない虎を借りてるだけの、全自動矛盾製造機な本当は焦っていた頭の悪いおバカちゃん、だ。現実を理解したか?・・・それとな、警察が国家権力を担っているのは、個人の能力不足を誤魔化すためじゃないんだぞ。警察の恥晒しが。くれぐれも保釈中に新たな犯罪をするなよ」



その後、江波奈あきほは街中を歩いていた。帽子を深く被って顔を隠している。街頭TVではニュースをやっている。キャスターと有識者が解説をしていた。


「今回の事件は悪質極まりないですね。現役警察官が飲酒運転をした上にあろうことか女子高生を轢き殺したそうですね」


「はい。容疑者の江波奈あきほ40歳は、一般市民の男性の家に機材を仕掛け盗聴盗撮をしていたようです。男性が、自室にある不審な機材に気付き、警察に通報したところ、それを盗聴していた容疑者が飲酒していたにもかかわらずパトカーにのり緊急走行をしました。おおかた、自分で先に回収しようとしたのでしょう。その途中で、死亡事故を引き起こしました」


「被害者の宮沢紗都さんは、カルタの大会で優勝して、そのお祝いのために東京観光にきていたようですね。結果的にとはいえ、自らの犯罪行為を隠すために、少女の未来を奪うなど、言語道断な行為です」


「さらに、一時期は美人すぎる警察官として世間を賑わせた容疑者の江波奈さんには余罪の疑いも多くあるそうですね」


「おっしゃるとおりです。職権を濫用し、自身が好きなゲーム会社にシナリオやキャラデザの変更を強制したり、他にも経費の無駄遣いや、痴漢のでっちあげもあるとのことです。電車を意図的に停車させたり、新幹線を不必要にとめた疑いもあるようですね。その経済損失は計り知れません。現実を自身の遊び場かなにかだと勘違いしているのでしょうか。さらに、爆発事件や落下事故にも関与している疑いもあります。一般男性とホテルに入り、その美貌をいかし協力者にしていた可能性もあるそうです。おや、今入った情報によると、積み重なった経費の無駄遣いは数億円規模にものぼるようですね」


「それほどの額を浪費していたのですか!?手元の資料によると、同僚の警官からの評判もよくなく、上部だけの無能警官の烙印を押されていて、経費の無使い使いも相まって税金泥棒と陰で言われていたようですね」


「そのようですね。貴重な税金を私物化し、数億円にわたって無駄にすることは国庫にダメージを与える行為でしょう。さて、ネットの様子も見てみると・・・美人すぎる警察官と呼ばれていたことも相まって、傾国の美女と揶揄されているようですね。言い得て妙ですね」


江波奈あきほは、耳を塞いだ。聞きたくないようだ。しかしそれで注目を集めてしまったのか周りの通行人に気づかれてしまった。


「おい、あれ見ろよ!人殺しの傾国の美女がいるぞ!」

「ほんとだ!無能なくせに数億円も使い込んだみたいね!名実共に税金泥棒じゃない!」

「あいつのせいで生じた経済損失もかなりあるんだろう!」

「おい!責任取れよ!国民を馬鹿にするな!俺たちが汗水流して稼いだ金を無駄にしやがって!!!」


周りからは見下された目を向けられた。取り調べの時もずっとこの目線を向けられていた江波奈あきほは限界だった。


「やめて!!!!!!あたしは悪くない!!!」


江波奈あきほは脇目も振らず走り出した。走っている最中も周りからの声が聞こえるようだ。


「コンビニのハイソンのニュース見た?」

「ああ、あれだろ、枕で協力者にした一般男性を使って起こした暴力事件だろ?」

「それを解決して自分の手柄にしたんだって。自作自作ね」

「枕とかキショ」

「痴漢もでっちあげなんでしょ?」


「こっちに社会の癌がいるぞ!」

「日本の恥さらし!」


「わたしは上司に同情しちゃうかなー、こんな無能が部下なんでしょ?可哀想じゃない?」

「そうか?しっかりと指導しなかった責任者も同罪じゃないか?しかも隠蔽してたんだろう?世間に真実が公表されたとたんこれだもんな」

「ニュースをみた被害者がどんどん増えそうね」


「自分が嫌いなパンメーカーの異物混入のフェイクニュースを流したんだって?」

「最低だな。権力をもつに相応しくないやつが警察にいたのか」


「マジで傾国の美女がいるじゃん!ここに来れば無様な姿を見れるって本当だったんだな。無能なくせに権力濫用してつけあがって、いい気味だYO!」


「ママーあそこに税金泥棒がいるよー」

「こら、指を差しちゃダメよ。そういう言葉も言ってはいけません」

「えーでもみんな言っているよ?」


「ほんとうは他国の諜報員なんじゃない?これだけ日本に損害だしてさ」


江波奈あきほは叫んだ。

「うるさいうるさい!!あんたらなんかただの財布でしょ!黙って権力に従いなさいよ!」


一瞬あたりが静まり返った。

「うわ、事実を指摘されて逆ギレしているよ」

「わたしたち国民のこと財布だと思ってたんだ」

「めっちゃ傲慢ジャン」


見下す目線が一斉に江波奈あきほにつきささった。

「その目を向けないで!!」


そこで、江波奈あきほは自転車でパトロール中らしい2人の警官を見つけた。

「ちょうどいい!あんた達あたしを助けなさい!」

2人は顔を見合わせており、その様子をみた江波奈あきほはぐずぐすしないでよ!というかのように怒っていた。

「なぜですか?」

「一般人共から危害を加えられそうになってるのよ!見ればわからない?」

「僕たちには、市民の皆さんは雑談をしているだけに見えますけれど」

「そんなわけないじゃない!あたしを話題にしているの」

「たまたま偶然じゃないですか?そんなことあります?」

「そういえば先輩。今かなり話題になっているニュースがありますね」

「そうだな、もしも万が一そんな有名人に会えて直接言う機会があれば言いたいことがあったんだ」

「そんな偶然ないと思いますけど、どんな言葉ですか?」

「同じ警察官として恥ずかしい。低レベルな警察ごっこ遊びしかできないポンコツと一緒にしないでくれ」

2人の江波奈あきほをみる目は冷え切っていて、見下している。


「なによっ!」

江波奈あきほは突発的に走り出した。


「プップップー!!」


彼女が気付いた時には車道に飛び出してしまっていたようで、クラクションを鳴らしながらスピードにのったトラックが目の前に迫っていた。


「ドカーーーン!!!」

**この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。**


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