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1 ー 7 勝てないヒーロー

 公衆電話で警告して、変身して、間もなく、警報が鳴り響く。


 小学校では避難訓練をしっかりやっているらしく、俺が着いたときには人気がない状態だった。


 そこに、突然発生する危険な気配。

 とっさに飛び退けば、先程まで俺がいた場所が陥没していて、怪人が着地していた。



 ……怪人から、これまでに感じたことがないほどのプレッシャーを感じる。



 常に、強風が吹いていて、近寄れないような圧だ。



 ランクは、どれほどだろうか?

 怪人ランク C くらいまでしか戦ったことがないが、そのときとは比べ物にならないほど強いと、本能で理解した。


 こんな化け物相手に、1秒でも長く持ちこたえないといけないのか……。


 怪人が、立ち上がる。


 スリムな体に、猫のような耳と尻尾、手には爪。


 スピードタイプかな。相性悪りぃや。


 こちらを向く。目が合う。











 気がついたときには、がれきに埋もれていた。


 目で追えないどころか、認識もできないほどのスピードか。

 どうしようもねえな。


 なんとかがれきを押し退けて、立ち上がる。


 小学校も、校庭も、怪人が暴れたことでボロボロだ。


 次々とヒーローが駆けつけるが、次々と吹っ飛ばされていく。


 あまりの速さに、誰も対応できてない。


 可能性があるとすれば、広範囲をまとめて攻撃できるヒーローの必殺技だろうか?


 だが、そんなヒーロー、この町にはたぶんいない。


 しゃあない、1秒の時間を稼ぐために、また吹っ飛ばされてきますか。


 走り出そうとした、その瞬間。


 背中に白鳥のような翼が生えた少女のヒーローが舞い降りた。


 腰の剣を抜き、猫型怪人に突きつける。


 この町の最強の一角。白き翼のヒーロー、《エンジェル》だ。

 飛行能力と、剣とスピードを活かした戦い方をするヒーローで、左手の盾による防御も上手い。

 ヒーローランクが B に近い C と言われている。


 あの子なら、もしかしたら。


 そう、思ったのがいけなかったのか。


 C ランクヒーロー《エンジェル》は、怪人のスピードに対応できず、爪によって次々と傷つけられていく。

 左手に着いている盾もまるで役に立ってない。

 苦し紛れに剣を振っても、余裕で躱されている。


 どうにか援護しようにも、離れて見ている俺でも、怪人が速すぎて目で追えない。


 やがて、エンジェルが押し倒され、怪人が馬乗りになる。

 剣を持った右手を抑えられ、恐怖を煽るためか、わざと腕を振り上げる怪人。

 盾で、顔は守ろうとするエンジェル。



 惨劇が始まる、その瞬間。



「おっさん、そういうの、嫌いなんだよっ!」


 俺の、左手に設置されているツールボックスから、メスのような形の投げナイフを引き抜き、怪人に投げつける。


 怪人の爪に当たったナイフは、まったくダメージになっていない。


 ……しかし、




『キシャアアアァァァアッ!』




 激しい、威嚇の叫び。


 楽しい遊びを邪魔された、子どものような癇癪。


 次の瞬間、目の前に、怪人が。


 ツールボックスから伸縮性の警棒を引き抜いて振るが、まるで当たらず。


 一瞬で、十回は斬りつけられる。


 構えもなんもなっちゃいないと自覚できるほどの下手くそな警棒の攻撃を、もう一回。


 当たるわけもなく、また十回斬りつけられる。


 懲りずに警棒を振る。また斬りつけられる。


 めげずに警棒を振る。また斬りつけられる。


 状況を打開できるもの、なんかないかとツールボックスから引っ張り出す。


 円筒状の、自分でもよく分からんモノを取り出す。

 その動作にも反応して、斬りつけてくる。

 円筒状のそれは、スプレー缶だったらしく? 怪人の爪で傷つけられたところから、なにかが勢いよく噴き出した。


 噴き出した霧状のなにかに当たった怪人が、苦しみだす。



『ギシャアアアァァァアッ!!』



 怒り狂った怪人によって、また吹っ飛ばされて気を失った。



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謎のヒーロー、通称「眼帯さん」t6fhtgv7yve7p5pkg8qe30mm58b_710_go_1o_m58.jpg 企画主催の黒森さんより。
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[一言] あわわわわ……!!
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