EP22 記憶復元
「今日はありがとう。じゃあこれ、今日の分のお金ね」
仕事始めの一日目を終え、私はお金を受け取って図書館の外に出た。毎日お金を稼いでいられれば、宿の代金もしっかり払える。
自由に使えるお金が減るのはちょっと嫌だが、必要な出費だと思えば問題ない。
「本も借りてこられたし、この仕事はすごく私にあっているかも」
まだ発展途上ではあるが、科学の分野の本はすごく面白かった。読んでいるだけで、様々な知識が脳内に湧き出てくる。
そう、取り入れているというより、私の中から溢れ出してきている。いつもと同じ、記憶が戻っていく感覚だ。
(私の前世は、科学が発展した世界だったのかな?この本に載っているその更に先には、一体どんな話があったんだろう……?)
歩きながら本を読み、溢れ出てくる知識を、余すことなく脳内に焼き付ける。
それと同時に、最近、かなり頭が冴えわたってきているような感覚もある。知識を詰め込んだだけだけど、それを使った経験も一緒に入ってきているらしい。
経験だけで、記憶はほとんど戻っていないが。
(つまり、知識の復元には、最低限事前知識があることが前提で、経験は、知識を実際に使ったことがあれば、記憶は、自分の中での経験が、心に根強く残っている必要がある、と……)
知識を詰め込むだけなら、前世の自分の知識量を信じることが出来れば、対して難しい道のりでもないだろう。
経験も、生きていく段階とか、試験的なものがあればそこでも使っただろう。
問題は記憶の方で、前世の自分の中で、重要な意味をもつ事柄を、的確に当てなければならないのだ。
デジャヴと、いった言葉から、私が記憶の一部を取り戻したように、前世の“思い出”につながる事柄を見つけるのだ。
それでもまあ、全く違う文化をもった場所で、同じような知識を得るのは非常に難しい。こないだみたいに偶然を狙わない限りは。
「はあ、道は長いねー」
畑の方から走ってくるリーブルさんと合流し、一緒にいつもの宿に向かう。二人合わせて2500Gだ、宿泊費は二人で2000Gなので、毎日500Gずつ貯めることが出来る。
「で、司書の仕事ってどうだったの?」
「暇だった」
「そうなの……?」
まあ、実際人が来なければやることはなかったし、書架の整理をしながら、ずっと本を読んでいるだけでお給料がもらえる。
本が嫌いな人だと、あまり良いとは思えなさそうだが、私にとっては本も読めてお金ももらえる、下手にきつい肉体労働もなかったので、かなり楽な部類に入りそうだ。
「その日暮らしの生活でもやっていけそうだね」
私達は、とある町の夕暮れ時に、小さな小道を歩いていった。
未来に宛なんてなにもないけど、今はずっと、この生活で良かった。
「よーし!明日も頑張ろう!せっかくまともな収入源が見つかったんだから」
「うん、そうだね。明日も変わらないと思うけど」
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今日から活動報告を始めてみようと思います。あまり使わないかもしれませんが、小説に関する情報を垂れ流していきたいと思います。




