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EP20 宿

「ベッドだぁ!ふかふか気持ちいい!」


「荷物おいたらご飯食べに行くよ!泊まれるだけの宿だからご飯は別で食べないと」


 リーブルさんは、しっかり宿をとってくれていた。お金稼ぎの目処もたったし、しばらくはこの村で安静にしていられそうだ。


「ご飯はどこにするの?」


「近くに屋台があるらしいから、そこでいいんじゃない?」


 私はベッドから降りて、読んでいた本にしおりを挟んで机の上に置く。それから、私はリーブルさんからお金をもらう。


「それで100G、変に高級なところを選ばなければ満腹食べられるわ」


 多分、これが今持っているなけなしのお金だ。まあ、これから増えていくので問題はない。ただ財布がすっからかんだと少し虚しい気持ちになるだけだ。


 ◇◇◇


 夕方の村……いや、改めて見ると町といったほうが正しいかもしれないが、その夕方の町は、未だににぎやかであった。


 屋台というのは、私の中に強く残っている。こないだの『文化祭』という言葉と同時に、屋台と思わしき風景が目に入ってきた。


 そこで売っていたものといえば、黄色っぽい色をした細長い果物?に茶色いソースをかけた、謎の食べ物や、ただ氷を削っただけの、これまた奇妙な食べ物だ。


 ただ、何故だが知らんが美味しかった記憶はある。一見奇妙に見えても食べてみたら結構美味しい、前世ではそんな感じの扱いだったのかもしれない。


「今日農家の人に聞いたんだけど、ここって、夕方になるといつもこんな雰囲気らしいよ。にぎやかですごく楽しそう!」


 町の人々は、近くの酒屋に入っては飲んだくれていたり、路上で大道芸人みたいな人が、芸を披露していたりした。


 この人たちにとっての当たり前の日常が、そこにはあった。


「あ、これ美味しそう」


 私は、近くの屋体に向かった。大きな釜の中では、グツグツと赤くていかにも辛そうなスープが煮立っていた。


 どうやら小麦で作った麺料理を売っているらしい。しかもお値段はかなりリーズナブルだ。


「これを一杯ください」


「はいよ、ちょっと待っていてくれ」


 私は近くのベンチに腰掛ける。もうすぐ日も沈みそうだというのに、リーブルさんが言っていた通り、町の盛り上がりはヒートアップしていった。


「こんな問題だらけの世の中だし、みんなストレス溜まっているのかなぁ」


 私はそんなことを考えながら、あたりをチラチラ見回していた。リーブルさんが向かい側の屋台で串焼きを買っているのが見えた。


「はい、出来たよ!」


「ありがとうございます」


 私は、器に入った赤いスープに入った麺と肉などの具材がのったものを受け取った。すごく美味しそうだった。


 実際に食べてみてもすごく美味しかったのだが、私はこれの辛さの度合いを見誤っていたらしい。店員さんに水を貰って、それを一気に飲み干した。


「辛ぁ……」


「ははは、まあ、うちのやつはすごく辛いと有名だからねー」


「先に言ってください……」


 私はなんとかこの料理を食べ終わると、店員さんに食器を返してお礼を言った。もうお腹は空いていないので、あとはリーブルさんの気が済むまで、この辺をぶらぶらしてればいい。


 月の光がわずかに差し込む中、この盛り上がりは朝まで続いた。

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