EP18 河の下流
「かなり下流まで来たんじゃない?」
「そうですねー。もう少しですかね」
あれから数日が経った。かなり下流まで来たからか、たまに他の船とすれ違うことも増えた。
森じゃなくて、普通の平原のような景色も広がるようになってきた。そして、
「あれ!村じゃない!?」
「あったぁ!これで助かる!」
広く広がる平原の向こう、点々と建てられた家屋が見える。間違えなく、村だった。
私たちは、なんとか河原に舟を漕ぎ着けて、地に足をつけた。
「この舟どうする?」
「使うとは思えないし……とりあえず放置でいいと思います」
私たちは、焦る必要も無いので、ゆっくり歩いて村の方に向かった。
地面に足をつけて歩くのは数日ぶりだ。ここがどこであるかは全くわからないが、きっと手がかりはわかるはずだ。
「どんな人が居るんでしょうね」
「そうだねぇ……優しい人がいるといいなー」
村につながる小道を歩いて、近づいてきた田畑を眺める。
農家と思われる人々は、私たちが見たこともないからか、こちらを怪訝な目で見ている。
すると、ある一人の農家が、私たちに話しかけてきた。
「なあ、そこのお二人さん。見ない顔だが、一体どこから来たんだい?」
「えっ、私たち?」
かなり年季の入った顔のおじいさんだ。私たちは河の上流の村からやって来たと、おじいさんに話した。
「上流の村か。わしも一度行った事があるような気がするな。リスマト村だな?」
「そうなの?リーブルさん」
「いや、それはもう少し上流かも……」
おじいさんはそう聞いて、考え込んだ。
「あいにく、わしは上流の村と言われると、そこしか思い浮かばん。わしはこの村から出たことはほとんどないからな」
「まあ、私の村はそこまで大きくありませんし」
リーブルさんはそう笑う。おじいさんと別れたあとも、道を進んで、だいぶ村に近づいてきた。
「到着したのはいいんだけど……私たち宿はどうすれば良いんだろう」
「あっ……それ考えてなかった」
一応リーブルさんが持ってきたお金はあるが、このお金を出しても、多分一日しか泊まれない。
「お金稼ぎの手段があればなぁ……」
私は、村の中に入って、近くにあった掲示板を見てみる。
そこを探すと、求人というか、すぐに始められそうな仕事がいろいろと書かれていた。
「農家さんのお手伝いなら、私は出来そうだけど……フィリアちゃんはどうする?」
「私は技術を持っているわけじゃないし……村の警備の仕事とかもあるけど……」
「せっかくスキルがいろいろと使えるんだし、それにしてみたら?」
「まあ、考えてみる」
私がそう言って、もう一度掲示板を隅から隅まで覗いていたとき、私の隣に、背丈の高い人が入ってきた。
この人も仕事を探しているのだろうか。
(この世界でも就職に苦労する人がいるんだ。まあ、別の世界なんて知らないけど……………あれ?この人……)
ここで、私は何かに気がついた。私とこの人の間はそんなに空いていない。手が触れ合える距離だ。
だけど、至近距離に居ても、その人の身体があるような感覚がない。推測でしかないが、
(この人……もしかして腕がない……?)
私はそう考えた。




