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天才少女の転生譚・Memory Restoration  作者: はとかぜ
phaseⅠ lost memory
17/26

EP16 河岸の二人

「今日は助けてくれて、ありがとう」


「大丈夫です」


 真っ暗な夜の闇の中、私たちは焚き火を焚いて夜を待っていた。


 彼らは、一度逃げた人を、しつこく追いかけ回すようなことはしないらしい。殺そうとしてくるとは言っても、あくまで強制ではないからだ。


「……私は、また住処を失ったのかー……」


「私も今日から放浪生活だよ~……タイミングが悪すぎるし……」


 村人たちは、皆バラバラに逃げたので、生きていたとしても合流は難しいだろう。


 ただ、あくまでそれは陸上での話だ。河の上ならもしかしたら合流できるかもしれない。


「もしかしたら、河を下っていく人たちと合流できるかもしれないし、ここで待ちましょう」


「そうだね、もう、今日は疲れたし……」


 落ち葉などを集めて、多少寝やすくした地面に転がって、私とリーブルさんは空を見た。


 満点の星空だ。


「……星って、一体何なんでしょうね」


「わからない、だけど、いつかはそれもわかる日が来るんじゃないかな」


 私の前世の記憶に、今のところ星に関する記憶はない。


 きっと、時が進んで、私の記憶がもとに戻っていけば、きっと私は何かを知っているはずだ。




 私が今生きているのは、名前も知らない誰かさんがくれたスキルのおかげだ。


 なら、私はそれを最大限に活かす。私が何者で、この世界で私はどのように生きていけばいいのか、きっと、わかる。




「……教えてね、もう一人の私」




 ◇◇◇




 小鳥のさえずりが聞こえる。ここはすっかり朝になっていた。


 河のせせらぎも耳に入って、昨日の緊張感が、まるで一時の悪夢だったかのように思えてきた。


「……さて、と」


 私は、昨日近くに置いておいた丸太に、石を削って作ったナイフを突きつけて、側面をガリガリ削り始める。


 お察しの通り、これは二人でこの河を下るための舟だ。


 昨日も二人がかりで削っていたので、多少は削られているが、まだまだ先は長そうだ。


「丸木舟は、縄文時代の人も使っていた、シンプルな舟だからね、スキルも使いながらうまい具合に削っていけば……」


「ん……おはよう……早いね」


 しばらくしてから、リーブルさんも目を覚ました。


「というか、昨日の夜から何も食べてないし、何かを食べようよ」


「何かって……何をですか?」


 この河ならば、魚も探せばいるだろうが、漁師でもない私たちが魚を獲れるかと言われると、できなくはない程度に収まりそうだ。


「魚は頑張って獲ってみましょうか……」


「じゃあ、私がこっちを彫ってるよ」


 だけど、この河も見た目よりかなり深い。食用の魚がいるかすらもわからない。


「……見えた!スキル!」


 私は、『電撃』を使って広範囲に電流を流し、跳ね上がってきた魚を手で掴んだ。


 我ながらナイスプレーだったと思う。とりあえず二匹は獲れたので、焚き火で焼いて食べることにする。


「これって、食べられますか?」


「まぁ、焼けばイケるんじゃない?」




 ◇◇◇


 さっきの魚を食べ終わって、また二人で作業をした。舟の船体はもちろん、オールも手作りした。


 そして、




「完成!」


「やぁっと出来たぁ!これで明日は河を下ればいいんですかね」


「そうだね~!でも……私はもう疲れたから、寝ます……」


 そう言って、リーブルさんは落ち葉ベッドの上に寝っ転がって、まだ夕暮れ時なのに、いびきをたてて寝てしまった。




「私も寝るかぁ……明日は大変になりそうだし」

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