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天才少女の転生譚・Memory Restoration  作者: はとかぜ
phaseⅠ lost memory
16/26

EP15 救出と脱出

「はっ、はっ……死ぬ、殺されるっ……!」


 私は、森の小道を全力で走っていた。鬱蒼とした木々の根に引っかからないように注意しながら、それでいて止まらないようにずっと走り続けていた。


 後ろから迫るのは、黒フードの謎の者、男か女か、人かどうかもわからない。


「ごめんっ!フィリアちゃん!……私じゃ助けられない……」


 即死スキルは、一発でももらってしまえば、無力化するなら完全に絶命するまでの僅かな時間で、その傷口を塞ぐ必要がある。


 回復系統のスキルを使ってだが、もちろん私はそんな物持っていない。


 つまり、私にはなすすべなし、ただ自分が死なないように逃げるしかないということだ。


(……あっ……)


 足に何かが突っかかるような感覚がした。


 次の瞬間、私の体は思いっきり地面に叩きつけられ、その衝撃のせいか、恐怖からか、しばらく立ち上がることもできなかった。


「やめて……もう……」




「!!!??」


 私の首筋にまで迫っていた、ギラギラと禍々しく輝いていた鎌は、私の首を飛ばす、その直前で刃が半分ほどどこかに飛んだ。


 そして、それは私の向こう側に飛んでいって、地面に突き刺さった。





「さてと、生きていたからいいものを……一回私の命を奪ったんだ、落とし前はつけてもらうよ」




 ◇◇◇


「んぁ……って、さっき私死んでなかった!?」


 私は、森の小道のど真ん中で目を覚ました。死んでから生き返るのだから、もっと不思議な感覚なのかと思ったが、普通に眠りから覚めるような感覚だ。


 私の傷口は塞がっているが、私の血と思わしき赤い液体は、その場にぶちまけられたままだ。


「今のが『デスキャンセル』……絶対なにかの代償があるよね、これ」


 今の所何かを失ったような感覚はない。見えないところの何かを失っているかも知れないが、結局わからないものを失っても、その程度のことだった訳なのだ。


「……足跡がある、向こうに逃げたね。早くしないと」


 私は、木の根に引っかからないように注意しながら走る。全力で逃げたのだろう、乱雑な足跡が地面に残されている。


「見えた、まだ結構近かったね」


 目の前に居たのは、今まさに振り下ろされそうな大鎌を持ったフードの人と、少しだけ見えるリーブルさんの姿だ。


 私は狙いを大鎌の先端に絞り、そして唱える。




「スキル発動・『空撃』」




 ぼん、と私の指先の空気が爆ぜ、直線状にあった大鎌の先端は、甲高い音を立てて弾けた。


「よし、成功」


 始めて使ったときは、制御できずに大惨事になったが、今ならこの程度の制御はお手の物だ。


「さてと、生きていたからいいものを……一回私の命を奪ったんだ、落とし前はつけてもらうよ」


 私がそう言うと、フードの人は、こちらに振り返った。


「ずっと黙っているとわからないんだけど、名前くらい聞いてもいいかな?」


「……亥、徐亥(ジョカイ)だ」


 名前は、ジョカイ、というらしい。なかなか独特な名前だが、もしかして、遠くのどこかが出身地なのだろうか?


 だけど、相手の素性が何であろうと、私のやることは変わらない。


「スキル発動・『電撃』」


 私は、手のひらの中で発動した電撃を、そのままジョカイに向けて放った。


「っ!!」


 あちらも、とっさに防御スキルを使ったようだが、こちらのほうがスキル熟練度は高かった。


 そのまま電撃は防壁を貫通し、ジョカイの体に命中した。


「フィリアちゃん……」


「痺れて動けない間に逃げましょう。即死スキル相手にまともに戦っても無駄です」


 私はリーブルさんの手を取って、森の小道を再び直進した。


 先に進むに連れて、どんどん獣道のようになっていき、もはや道と言えなくなる場所まで進んでいった。


 まっすぐ、まっすぐ、進んだ先には……




「河だ……」


 ゆっくりと流れ続ける、森の中の大きな河、私達は逃げ切ることができたのだ。


「はあ、はあ……フィリアちゃん……ここからどうするの?」


「……わからないです。とりあえず、船を作って河を下りましょう。電撃はかなり強く加えたので、小一時間は追撃もできないでしょう」




 村に流れ着いて数日、私はまた、住処を失った。次の目的地はこの河の下流だ。

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