EP11 辺境の村
「田畑の麦は風になびき、川の水も波紋を広げて流れてゆく……風流って、いいよねぇ」
「リーブルさんは、こういう風景が好きなんですか?」
私は、度重なる診察の上で、外に出ることが許された。私がこの近くに身寄りが無いことを知った、このリーブルさんが、私を引き取ってくれることになった。
今度は私より少し年上だ。十五歳らしいが、この世界ではもう成人らしい。
(まあ、成人年齢も初めて聞いたんだけど……なんで私はずっと成人年齢十八歳が当たり前だと思っていたんだろう……)
ここ最近になって、またしてもこの現象が相次ぐようになった。一番直近で言えば、たまごサンドの下りだが、今回のはかなり記憶が鮮明だ。
「ずっとこの村に居たからねぇ、私はもう結構慣れちゃったんだけど…フィリアちゃんは体験したことないの?」
「そんな暇があったら、両親が私を売るわけ無いでしょうが」
「それは……なんかごめん」
私は、大丈夫です、といって、高くそびえ立つ山の方に目を向けた。
非現実的な風景だ。だけど、なぜそう感じてしまうのだろう。
「まるで、信じられないって表情してるね」
「まぁ、はい」
「大丈夫だよ、私だって都に行ったら同じような反応をするよ。あそこは最新技術が集まるらしいけど、私は行ったことないからね」
「…いや、それとは少し、違うんです。別に知らないからそれが信じられないってわけじゃなくて……むしろ、知っているからこそ、信じられないんですよ……その知っているっていうのがちょっと不可解なんですけど…」
ああ、と、リーブルさんが、何かを思い出したように呟いた。
「それって、いわゆるデジャブ…つまり既視感ってやつじゃない?こないだ本で読んだのよ」
それを聞いて、私はハッとした。こないだ出そうで出なかった言葉はこれだったのだ。
だけど、私がはっきりと思い出した知識と、同時に流れ込んできたのは、やっぱりわからない、誰かの記憶だった。
『なんか、この光景知ってる気がする…あぁ、こないだの文化祭だわ、似たようなことしてたものね』
「……文化祭……?一体どうゆうこと?」
「どうしたの?」
「いや、何でもないです……」
今回のものはかなりはっきりとしていた。もはや知っていて当たり前というレベルで。
(……わからない、わからないけど…もしかして、知識を取り戻すことが記憶を復元させるトリガーになる?)
とある一つの知識を身につければ、それに関連する記憶も引っ張り出される……そうであると仮定すれば、私が記憶を取り戻す方法は……
「あの、近くに沢山の本がある場所ってありますか?」
ひたすら勉強することだ。
◇◇◇
「図書館はあったんですね」
「まあね、政府が主導で優秀な人材の育成を行っているんだから、これくらいはどこにでもあるものよ」
辺り一面、見渡す限りの本の山だ。懐かしいような感じがしてくる。
「一応、ここなら最新とまではいかなくても、基礎的な知識とかは粗方得られるはずだわ」
そう言われたので、私は適当に近くにあった本を物色して、本棚から取り出した。
その本の表紙には、こう書かれていた。
「『初心者から始める・スキル入門』……?」




