表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才少女の転生譚・Memory Restoration  作者: はとかぜ
phaseⅠ lost memory
10/26

EP9 「    」

 


 世界を救え。

 救世主様!

 私に祝福を……

 誰か、助けて!




 いくつもの声が、脳内を駆け巡って止まらない。




 私は、広く広がる世界の中を、一歩一歩歩いて行く。




『いつまでここにいるつもりだ?』


『ずっとでしょ。解放されるまで、私はずっと奴隷だよ』


『お前たちは、まだ出会うべき時ではない』


『リナ様とってこと?』




『お前の役割はあの魔王(神薙里菜)の奴隷ではない。世界の救世主、あれを、倒すことだ』


 どこからともなく声が聞こえる。


 私が、


 倒す?


 里菜様を?




『私には、分からない』


『道を正すのも、我らの責任だ』




 カツン、と、何かに脚を引っ掛けた。


 世界は無限に伸びていき、何も無くなった。


 下も上も、右も左も前も後も何もかも。




 まっしろ。




 ◆◆◆




 里菜ちゃんは、私から見ても不思議な存在だった。


 私が知り合う人のほとんどは里菜ちゃんの友達で、


 里菜ちゃんの意見は、どんな時でも圧倒的な多数で可決されていた。


「里菜ちゃん、裏でクラスを牛耳ってるでしょ」


 まぁ、それを不思議で済ませるほど、私は簡単な人間じゃない。


「バレた?私は昔から人を支配するのが大好きでね」


「こうもあっさり自白されると調子狂うなー……」


 人を支配するのが好きって……少しやばめの人かと思ったけど、別に話してみればそんなことも無かった。


 この人の知識量は、精神分野に関しては確実に私より長けていた。他は私に遥かに及ばないけどね。


「私は飲み込まれないよ?」


「知ってるわ。だからこっちも相応の手を尽くす。あなたを屈服させてみたいの」


 さらっとすごいこと言っているが気にしない。私は特段人に流されやすいわけでもないし、特に心配はしなくてもいいだろう。




 あれ?私はどうしていたんだっけ。


 私はいつものように、学校に……


 違う、私は……?




 ◆◆◆




 まっしろな世界の中で、いくつもの言葉が反響する。


『『『救世主様』』』


 彼らの意志は、私に何を望んでいる?


 救世主?


『『『救世主様』』』


 誰かに助けを求めている?なぜ私に求めている?




『『『救世主様、この世界をお救いください』』』




 ああ、なんとなく分かった気がする。




 私は、このためにこの世界に生まれたのだって。




 ◆◆◆




 ――――――――――…




 ある日、一人の奴隷が、フランダムのとある一室で、忽然と姿を消した。


 窓は鍵をかけて閉ざされており、ガラスを割られたわけでもなかった。


 そこにあったのは、鈴の着いた首輪と、彼女が着ていたメイド服のみ、その他に、彼女に関連するものは何一つとして、残っていなかった。



 ◇◇◇




「…………ぉ-ぃ……おーい、起きてる?」


「……ここは…どこ…?」


 私は、見覚えのない場所で目を覚ました。


 真っ白な壁なんてどこにもないけど、私がずっと住んでいた家よりは、ずっとマシな造りだ。


「良かった、死んでないなくて。まあ死んでないのは知っていたけど」


「……あなたが、助けてくれたんですか?……あの真っ白な空間から……」


「真っ白?何言ってんのかわからないけど、あなたを見つけたのは川のほとりだよ」


 あれは、やっぱり夢だったのだろうか。だけどただの夢じゃない。私の体は、現にさっきとは別の場所にある。


 服は、メイド服の方ではなく、貫頭衣の方を着ていた。最初から私が身につけていたものらしい。


 そして、首輪はいつの間にか消えていて、隷属術式による束縛感も感じられなかった。


 正しく、すべてリセットされたような感じだ。




(リスタートかぁ……まあ、まったりやっていけばいいか)


 私は、その時驚くほど落ち着いていた。心の奥底にある何かが、私を少しずつ変えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ