第2話
シリアスもどきさよならのお知らせ。
多分こんな感じで話が進んでいきます。
初回一挙更新10話中の3話目
私の足元に広がるのは完全に凍り付いたイービル・ワームと湖。
うん。なんとなくこの世界でやっていけそうなのは分かったかな。
さっき【絶対零度】の詠唱したときに感じた魔力っぽいものを意識して目に集中させてアナライズを発動してみる。
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凶暴化したイービル・ワーム
Lv:187
HP:0/1091225239
SP:106589/115700
MP:0/0
状態:凍結
カテゴリ:素材
その他:収納が可能です。
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とりあえず無事倒せたようでひとまずは安心してもよさそう。
この魔力っぽいものはわりと便利なようで、何かをするときに意識して使うとスキルや運動能力、性能なんかを強化してくれるっぽい。
実際に眼に集めた魔力のおかげでアナライズの効果だけではなく、純粋に視力がだいぶ良くなっているようでもある。
湖の端でカエルが氷漬けになっているのまでしっかり見えている。巻き込んでしまったらしい。
「それにしても、収納可能かあ。あのゲームであるところのインベントリだとは思うのだけれど、どう使うのやら」
独り言ちてみても誰かから返事がもらえるはずもなく、私は仕方なく凍り付いた湖へと降り立った。
「収納するにせよ置いて行くにせよ、とりあえず自分のステータスとかインベントリの中身とかを確認してみないとなあ」
うんうんと唸りながら、とある小説のように視界の中にメニューを開くボタンがあったりしないかとかいろいろ試してみたけれどそういったものはなさそうだ。
「と、なると……【時空収納】」
私がそう唱えると目の前に真っ黒な空間が口を開いた。
なるほど。よくある空間魔法とかそういう系統になるらしい。ゲームシステム的な部分は何かしらに置き換わっているのかもしれない。
なんせあのゲームに空間魔法なんてものは存在していなかった。
インベントリはワンクリックで開けたし、素材も敵を倒せば勝手にインベントリに収納されていた。
「完全にはあのゲームと同じではないけれど、ほぼほぼ大事な部分は同じって考えてもよさそう」
なんとなく状況は分かった。
次はこのデカミミズの収納……ではなくて私自身の情報が確認したい。
こういう時はステータスとかなんかそんな感じのスキルだか詠唱高をすれば見れるというやつだけれど……
「【能力確認】」
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シュネー=ゾルゲ
Lv:872
HP:1079725/1089725
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あ、見れるんだ。しかもこれアナライズと使い方は基本的に同じような感じがする。
というわけで、もう一度しっかりと自分の眼に魔力っぽいものを集めてステータスを発動してみる。
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シュネー=ゾルゲ
種族:真祖吸血鬼
性別:無性
年齢:???
Lv:872
HP:1079725/1089725
SP:76589/115700
MP:88547298/99999988
◆種族スキル
【吸血】【吸精】【真祖の尊厳】【血魔法】【真祖魔法】【全武器種適正】【浮遊】【飛行】【変化】
◆一般スキル
【元素魔法】【神聖魔法】【深淵魔法】【純魔法】【時空間魔法】【隠匿】【偽装】…………
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もういいですもういいです。情報量多い。あんまり多い。
とりあえず一通り何でもできそうなことはよくわかったし、種族が真祖吸血鬼なんていうわけわかんない種族だということも分かった。
ゲームの時は種族なんてのはなかった。あの時はみんな人間だったし。
とにかく種族については後で考えることにして、このデカミミズをインベントリにしまってしまおう。どうすればいいのかいまいちわかんないけど……。
「うーん……収納……ストレージ?じゃないなか……【収納】」
私がそう唱えると目の前にそびえたっていたイービル・ワーム改めデカミミズは光の粒子になって消えていった。
「これ収納できたってことでいいのかな?それで、インベントリの中身はどうやって確認すれば?」
多分収納できた。でも肝心の中身の確認の仕方と取り出し方がわからない。
とりあえずもう一度インベントリを呼び出してみる。この真っ黒な空間の中をどう覗けば……。
「手を入れてみる?それでもし私が収納されてしまったりしたら……?ありえない話じゃないよね」
さすがにいきなり実験するのは怖い。こういう時はとりあえずアナライズで見てみよう。大体それでどうにかなる。多分。
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【自空間魔法】――【時空収納】
発動者:シュネー=ゾルゲ
状態:時間停止 発動者限定利用
容量:94752/無制限
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あ、なるほど。そう見えるんだ。
そしてもう少し眼に魔力を集めれば……
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◆素材
◆食料
◆道具
◆武器
◆防具
◆装飾品
◆薬剤
◆その他
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ご親切にカテゴリ分けしてあるタイプだったかあ。
まあいいや。今度ゆっくり確認しよう。多分さっきのデカミミズは素材のところに入ってるはず。
「それで、取り出し方は……やっぱり手を入れてみないとダメそうかな?」
仕方がない。覚悟を決めよう。多分大丈夫。どうにかなるはず。大丈夫。
「せーのっ!」
何も起こらないかあ。とりあえずさっきのデカミミズを取り出してみよう。
そう思った瞬間、ドンっと空気と地面を振るわせて冷凍デカミミズが目の前に現れる。
なるほどね?取り出そうと思ってこの黒い穴に手を突っ込めば出てくる感じかな。
慣れるまでは気を付けないと、重いものを人の上に出して潰したりとかありえそう。
まあ別にいいか。
とりあえずデカミミズを再収納して周りを見渡せば相変わらず周りは固まったままで、デカミミズがいた場所だけぽっかりと口を開けている。
なんとなくこの辺りの気温もぐっと低くなってきたような気がする。吐く息もすっかり白くなっているし。
なぜかは分からないけれど寒さは感じないけれど、こんな寒々しい場所にいたくはないので早く移動してしまいたい。
ただ問題はどちらの方向に向かうのかということである。
どうせなら人のいる場所に行ってみたい気持ちがあるし、行くなら村より街に行きたいというのもある。
ゲームの世界と同じであるなら湖に続く小道をたどれば村があって、その先には街もあったはずなのだけれど、まずその肝心の小道が見つからない。
どうやらここもゲームとは違う部分のようだった。
まあこんなデカミミズがいる湖なんて来たくないよね。だれも。
仕方がないのでスキルを発動して空高くに飛びあがる。
翼とかはなくてもどうやら空を飛べるらしい。これも種族スキルのおかげなんだろうなと思う。
周囲を見渡すと青白い月が出ているのとは逆の方向に、若干遠くはあるがある程度の大きさがありそうな街が見えている。
とりあえずなんにせよ街に行ってみよう。
こんな氷とミミズしかいない森にいても仕方がないのだから。
皆さんはステータス見るのって好きですか?
私は好きです。
でも途中でめんどくさくなります。




