手紙(1)
エメラルドグリーンの大樹から降り注ぐ木漏れ日の中に、俺たちは立っている。
転移の鏡を通り無事【プレイヤーの寝所】へと辿り着いたのだった。
「素敵な所ね!」
声を弾ませミュラーは辺りを見回している。
ひどく懐かしい感じがする。何年も留守にしていたわけでも無いのにな。
不意に繋いでいた手を話すと、彼女は湖を覗き込んだ。
「すごいわね!虹色の湖面なんて初めて見たわ!」
目をキラキラ輝かせている彼女はとても魅力的だった。
肝心の俺の産まれてこれ迄についてとか、両親についてとかとりあえずの手掛かりは無さそうだ。
そんなすぐに見つかる様なら、既に知ってるよな。
それから、二人で大樹の祭壇だとか、湖の底だとか勿論大樹にも登ったりもしてみたが得られるものは何も無かった。
やはり、ハーケン村に行ってローエン爺に話を聞いてみるしか無いか…。
ここまで来て手ぶらで帰るのも嫌だし、何より自分の事は知りたいそう思ったのだった。
二人連れ立って寝所を後にし、村へと続く小道を歩いて行った。
村に着いた俺たちは息をするのも忘れ立ち尽くした。
「酷い有様ね……。廃村になってかなり経ってると思うけど。シャインが居た頃からなの?」
俺は力なく首を横に振るしか出来なかった。
「俺が居た頃は、ローエン爺と俺が住む家があって、村人もちゃんと居て……家もこんな朽ちて無かった……。」
そう、ローエン爺と暮らしていた家は?
気がついたら走り出していた。
俺たちが暮らしていた村外れの家へと。
ハァハァ……。
ここ最近日課もサボりがちだった事もあってか、思い切り走ると呼吸が乱れる。
村外れまで、こんなに遠かったっけ?
かなり距離があるように感じた。不安な気持ちがそう感じさせたのだろう。
緩い坂を登る。見慣れた低い竹垣の先に、懐かしの我が家が姿を現した。
俺が住んで居た頃そのまんまの姿だった。
小さな庭に、井戸と座学用の、小さな木製テーブルと切り株そのままの椅子が懐かしい。
木製の扉が開いて、ローエン爺が今にも出てきそうである。
「ここが俺の家だった……。」
震える足で玄関まで辿り着き。ドアに手をかけ引く……。
家の中も、住んでいた頃のまま。ドアの先に広がる土間に炊事場。石でできた踏み台を使って部屋へと入る。
やはりローエン爺の姿はなく、変わりに丸い座卓の上に手紙が置いてあった。
ゴクリっ。
変な緊張があって喉が鳴る。
『シャインへ』
表にはそう書かれてあった。おそらくローエンが書いたであろうソレには、俺の名前がしっかりと記されていた。
『シャインへ
本当は口頭で伝えるべき事じゃったが、思ったより早くに迎えが来てしもうてな。この様な手紙になった事残念でならんわい。
爺の予想では、啓示の儀式を受け今までの疑問を晴らしに戻って来たのじゃろ?
そうさなぁ、どっから話すんがええんじゃろうか……。




