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掌の熱

 シリアス王子からの話を元に【プレイヤーの寝所】に帰る事にした俺は、当初、フェンリルの村に戻る予定だったのだが変更してハーケン村を目指す事にした。


 王子に言われたからというのもあるが、単純に自分が何者なのか不安になったから…。そんな理由だ。


「では、俺たちはフェンリル村でシャインが帰って来るのを待ってるよ。」

「レイ、ロイ、キャロ、本当は一緒に1回帰るのが良いんだろうけど…すまない。」

「何か分かると良いにゃ?」

「キャロ、ありがとう」


 そう言って、キャロの頭を撫でてからミュラーと共にハーケン村へと向けて旅立つのだった。


「あ、シャイン待ってくれ!」


 ロイの声に振り向いた。


 おもむろに、背負ってるリュックを下ろし箱を2つ取り出した。


「ホレ、黒龍種討伐した時の鱗で仕立てた物だ、小さい箱がシャインのだ。こっちの箱がミュラーのな!」


 それぞれに手渡すと、ニカッと笑って親指を立てた。


 早く開けろと促してくるので、少し怪訝に思ったが、鱗で仕立てたと言われれば、気になるので素直に開けてみることにした。


「なっ!?」

「良いだろ?他に無い品だぞ?」


「ダンジョンへ行ってないメンバーのもお揃いで仕立てた貴重な…パンツだ!」


 青い鱗の…パンツか…。せめてもの救いがブーメランでは無い事ぐらいだな。


「あ…ありがとう…。」


 俺は引きつった笑を浮かべた。ロイは満足げに頷いていたのだった。


 ミュラーの中身はピッチリデザインのミニ丈のキャミワンピだった…。俺のパンツよりデザインも凝っていて、着ている姿を想像して顔が赤くなるのを止めることが出来なかった。


 現世では2次元にしか興味が無いまま、中年になった俺だったから、色々初心ですまん…。


「一応、御礼は言っておくわね。」


 表情を崩さないミュラーは流石だと思う。


 そうして、皆と別れてハーケン村を目指す事にしたのだが、


「なあ、ハーケン村もとい、【プレイヤーの寝所】の場所って知ってる?」

「はぁ?」


 何ともマヌケなやり取りである。


 ラブリーハーツ城までは、クロトの住処から東へメダ川を越えて更に東へと、クロトの背に乗って来た…。


「知らないとは思わなかったわ…。」


 半ば呆れの溜め息を漏らしながら、王子の地図を見せて貰いましょうと、再び王子の元へと向かった。


 そう言えば…。ミュラーや他の仲間は誰も俺の外見について何も言わないが、王子と瓜二つとか色合いが違うにしても思う所はあるはずだ。

 機会があれば皆に聞いてみたいと思った。


「君なら帰るって選択肢を選ぶと信じていたよ。」


 満面の笑みでそう言われ、何だが、王子の掌で転がされているような気もしてきたな。とても、あの三文芝居の大根役者だとは思えない。


 本来は、切れ者だったりするのかもな…。


「行先は【プレイヤーの寝所】で、良いよね?」


 少し含みのある笑みを向けてくる。


「ええ、それで良いわ。出来れば詳細な地図が欲しいのだけれど?」


 対するミュラーも、笑みを一層濃くして答える。


「【プレイヤーの寝所】へは、離宮の奥の間にある転移の鏡から行けるよ?地図も勿論あげるけどさ?」


 そう言って、それでも歩くの?って暗に言ってるよね?


「ああ、防御魂が無くなったから使える様になったのね…。」


 そう言うと、早速転移の鏡がある部屋へと向かう事にした。勿論、地図も貰って。


 離宮の奥の間もファンシーではあるが、置かれている家具は歴史を感じる趣のあるダークブラウンの物が置かれてあった。


 誰かの私室を思わせる。衣装ダンスに質の良さそうな応接セット。簡素なドレッサーに広いベッドがあった。


 その部屋の奥に、転移の鏡は虹色の光を放ちながら、俺たちを待っていた。


 そうそう、転移の鏡は、何処へでも行ける!なんて事はなく、行きたい場所にも転移の鏡が設置されている事が必要となる。


 あぁ、寝所の祭壇にあった、虹色に光ってたあれか……。ひとり納得した。


 それじゃぁ行きましょうか。


 そう言いながら俺の手を握って来たのだ。


 焦った俺は咄嗟に振りほどき、


「なっ?なにを?」

「こうしないと、妾は転移できないのよ?」


 振りほどかれた手を再び握ってきた。先程より力がこもっているのは気の所為ではないはず。


「手ぐらい、幼稚園の遠足みたいな物よ。それより早くして?」


 幼稚園の遠足か……。


 異性として意識しているのは自分だけだと思い知らされたのであった。


「ほら、早く寝所を思い浮かべて、鏡に手をあてるのよ。」


 握られた手に汗が滲むのを気取られる前に……。


 その考えに行き着いてからは、素早く【プレイヤーの寝所】を思い浮かべ、転移の鏡に手をあてる。


 その瞬間、鏡の中に引っ張られ虹の光に包まれ、眩しさに目を閉じたのだった。


 その間も、繋い掌が熱く。心臓もドクンドクンと大きな音をたてているのであった。


【読者の皆さまへ】


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