設定
世界のバランスをとるために、プレイヤーは必要だったんだろう。
【同帰者】は、プレイヤーと似て異なる存在であり、魔獣を討伐する事ができたり、村や街を創る事もできる。
更に稀有なのは、この世界の住人との間に子を儲ける事ができたんだ。
「ここまでで、何か質問ある?」
「同帰者は何処に行ったんですか?」
その質問はもっともだと言わんばかりに深く頷く。
「彼等もまた、一様にして、『16歳で、啓示の儀式を受ける必要が有ると』子孫達に信じ込ませ、防御魂の、中へと送り出した後、行方が分からなくなったんだ。」
「何で16歳なんですか?」
「それは、ミュラーの推測だが、16歳で啓示の儀式を受ける所から…ゲームが始まる設定だったんだと思うと。」
「設定か…。」
「他にも何かあればどうぞ?」
首を振る。それに対し頷き、続きを語り始める。
どれくらい繰り返したか分からないが、もう何年も啓示の儀式のために訪れる、同帰者の子孫である新16歳は居なくなったのだろう。
絶望ではあったが、同時に安堵もしたんだ。
この魂の檻に繋がれる者が、これ以上増えない事に。
気が付いて居ない人は幸せであったのかもしれないけどね。
繰り返しの中で俺たちの関係も少しづつ変化し、婚約者であったミュラーの推しもあってか、ミルフィールと心を通わせる事ができたんだ。
正直ミュラーに推された時は、そこ迄して俺との婚約もだが、結婚したくないのかと…凹んだよ。
心を通わせた報告に行った時の、瞳に薄ら涙を浮かべ、歓喜のあまり飛び上がって喜ばれた時には、これで良かったんだと思ったけどね。
そこから先は、防御魂の中では誰も不幸にはならないかもしれないけど、幸せにもなれないと…。
防御魂破壊と、魔獣討伐を成せる方法を模索していたんだ。
ここで、一旦話を止め紅茶を飲み。一息ついたのだった。
ローエン爺の話との違いに驚くと同時に、納得いく事の方が多数だったと思う。
飽きたら終わり。クリアしたら終わり。失敗したらリセット…。
そんな事出来ないんだよな。ここで生きてるんだ…。
「ある日、声を弾ませた、ミュラーが言ったんだ。もうすぐ希望の光が来るってさ。そう、この世界に居なくなったプレイヤー…シャイン君がね。」
ゴクリと喉を鳴らした。
「そうそう、この世界に誕生して16年、その間の記憶ってどうなってる?」
「物心ついた時から、ローエン爺が居て…それから…どうだっけ?」
「君の親は?」
「両親…。誰だ?」
…………。
「最近の記憶は?」
「龍黒種、クロトが村に来て、それから…。」
嫌な汗が滲む。
「そう、それからクロトに姿見の聖女の所へ連れて行ってもらって、噴水の影で…王子達の逢瀬を…。」
「そう、あの逢瀬も、ミュラーのシナリオ通りだったんだよ。そこから先は此方も賭けだったのだが、儀式の参加に逃走そして防御魂の破壊。」
まだ、シリアス王子が何か言ってるがあまり耳に入って来なかった。
「啓示の儀式って何ですか?」
「今更だな?本当はもう気が付いているんだろ?啓示の儀式が、ゲームの始まり!本来なら名前を決め、種族を決め、職業を決め、容姿を変えられる事を。」
………。
シリアス王子が口にしたソレは、俺が見ないようにして来た事だった。
俯き顔をあげることが出来ない。
「ただ、ミュラーも言って居たが、君の設定は、誰が行ったのか。ゲーム始めたばかりにしては、能力が高すぎる…と。」
それは…俺も思っていたことだ。容姿や職業は百歩譲っておまかせを選んだから仕方ない。と言えば納得出来るかもしれない。
ただ、チート無しで転生したにしては、最初こそ落胆した物の色々と便宜が図られてる気もする。
「それ等を踏まえて考えるなら、一度【プレイヤーの寝所】君の故郷だろ?戻ってみるのも良いんじゃないかと思うよ?」
黙って頷くより他なかった。
「最後に、君に面白いものを見せてあげるよ!」
そう言って、大きな黒い布のかかった鏡の前に立たされた。
シリアス王子が、布を剥ぎ取ると………。
「コレが…この世界の俺?」
銀色の髪の前髪には藍色のメッシュが入り、瞳の色は角度によってはルビーのような赤とも、サファイアのような青ともとれる濃い紫色である事を除いては、隣で微笑むシリアス王子と酷似していたのだった。
「ね?コレだけ俺たち似てるんだからペアルックも悪くないでしょ?」
そう言って破顔した。
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