転生門
ひたすら土下座謝罪をするウグイスを尻目に俺はコレからについて思案する。
元の身体に戻れない以上転生は免れない訳だしな。
これ以上この場に居るよりは、早く転生先に向かう方が得策なのかもしれない。
だが…しかし…。
「そう言えば何時、転生先に向かうんだ?」
疑問を口にする。
「あぁ…えぇっと?」
土下座ポーズから、体を起こしキョロキョロと辺りを見回している。
「無い?…いや、そんな…まさか?」
ウグイスはブツブツと独り言を呟いている。
なんだか嫌な予感がするな…。
待つこと暫し。ウグイスは何かの結論に達したのか再び口を開いた。
「重ね重ね…大変申し訳ございませんが…、本来はこの空間に【転生門】なる門が存在するはず…なのですが…無いのです!」
ウグイスは言い難い事を言い切った!
「無いとは?転生すら出来ないと言う事…なのか?」
「現状では…そのようです。」
寿命残して転生だけでも受け入れ難いのに、お詫びの品も無く…更には、転生すら怪しいとか…。
「ちょっと何言ってるか分からない…」
素直な感想である。
そんな俺の呟きを聞いてか聞かずか、今度は、紙の束を再びめくり、確認をとり該当する内容を見つけたのか説明をはじめた。
「【転生門】とは、現世の身体が寿命を全うした者を新たな世界に導く扉である。その門を開いた瞬間に転生が完了する。」
「また、【転生門】が現れない場合は現れるまで待つこと。」
説明が終わって満足と言わんばかりに、ウグイスは汗を拭った。
「現世で死ぬ迄…この何も無い部屋で待機?するのか?」
渇いた呟きしか出てこない。
何時間?何日?何年?
俺のよく知る転生やら転移ってもっとサクッと進んでたぞ?
何だよ待機とか…。白いだけの場所でずっととか…。
「くっくくく…アハハっはは…。なんで…だよ…。」
笑いと共に、涙が込み上げてきた。
「現世の身体の事申し訳ありません…。」
俺の涙をどう受け取ったのか、ウグイスが小さな羽で背中をさする。
「お辛いですよね…手違いですもんね…。」
「違う、そこじゃ無いんだよ!現世の身体とか記憶が曖昧な時点で未練はなかったはずだし、正直、転生でも転移でも、異世界とか楽しみでしかない!」
「では…なぜ?」
ウグイスはパチパチと瞬きをしながらコチラを見ている。
「白いだけの部屋が…退屈なんだよ…!」
俺は、声の限り叫ぶように吐き出したのだった。
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