御値段が気になります
「辞めてください!自分でできます!」
数名の壮年の女性に囲まれ。
問答無用で身ぐるみ剥がされる俺。
俺の最後の矜恃として、下着だけは…と、抵抗するも。
慣れているのか、そんな俺の抵抗をものともせず、剥ぎ取ったのである。
「あ………。」
か細い声が漏れたのを、最後に茫然自失になったのである。
◆
俺を磨きあげている女性は、王子付きの侍女でネルソン夫人と言うらしい。
テキパキと仕事をする彼女の手腕は見事なものだ。
まぁ、自分で言うのも何だが、薄汚れていたのは認めよう。
背中を流して貰うだけならいざ知らず…あんな所やこんな所まで洗われるのは、かなりの羞恥プレイだと思う。
これからは、洗われる前に洗おう。訳の分からない決意を秘めたのであった。
ネルソン夫人の手によって、ピカピカに磨きあげられた俺は、準備されていた着替えに袖を通した。
準備されていた服は、一目で上質な造りになっており、少しぐらいの戦いでは綻びそうもなかった。
詰襟のコートは、漆黒の生地に深紅のアクセント。白銀の牡丹の中心にはルビーが嵌め込まれており、値段を考えるのも恐ろしかった。
普段の俺なら遠慮しただろうが、先程のお風呂のアレで、抵抗しても無駄と悟り…大人しくしていた。
「完璧ですよ!」
ネルソン夫人の満足気な発言によって、、お風呂から着替えのフルコースは自信で姿を確認することなく終了したのだった。
こう言う時普通は…。鏡を見た自分にたいして、コレが俺なのか?的なやりとりがあっても良いじゃないかと…。独りごちた。
そんな俺を無視し、再びネルソン夫人に案内されて、王子達の待つ部屋へと、送り届けられたのである。
慣れない詰襟に裾の長いコートが俺にとっては違和感だったが。薄汚れているよりは良いだろう。
入室した俺を、直視する面々。何の罰ゲームかと思うぐらいにジロジロ見られたのだった。
シリアス王子が立ち上がり席を離れ、俺の目の前まで歩いてきた。
「見違えたな!改めてシリアスだ!」
ニコニコと王子スマイル前回で手を差し出してくる。
俺が女であったなら陥落すると思う。
「シャインと申します。」
遠慮がちに差し出された手を握ったのだった。
「シャイン様ぁ、素敵ですわぁ!」
歓声をあげるミルフィール様。
「貴方も自分で驚いたのではなくて?」
そう言うミュラーの頬が少しピンクに色付いている気がした。
王子達の前では姿を確認していないことを、言い出しにくかった俺は、「まぁな。」と曖昧な台詞を口にしていた。
俺がお風呂でアレコレしていた間に、ミュラーは、お城の訓練所で魔法の練習をする許可をとり、図書館への出入り。衣食住等の支援の約束を取り付けていた。
流石である。
好きなだけ離宮に滞在しても良い旨を伝え。
急ぎの仕事が入ったシリアス王子とミルフィール様は退室して行った。
俺は早速、魔法の練習をするため訓練所を訪ねることにした。
レイとロイとキャロは街の散策へ。
ミュラーは図書館へと向かった。
訓練所は広く、人影もまばらで閑散としていた。
近くで訓練していた兵士に、魔法士用の的を教えてもらった。それから大切な事として、
「強力な魔法は専用の訓練室以外では使わないように!」
と、念を押された。
俺は頷き、礼を言った。
的に当てる訓練もだか、まずは発動の安定だよな。
咄嗟に発動させる為に、毎度トイレの想像や馬の想像する訳にもいかないしな…。
昨日悪鬼蜂の討伐した時は、浮かんだ名前を唱えたんだけっな…。たしか…
《水洗トイレ》
すると規模は小さいながら渦を巻く水流と、それを呑み込み処理する穴が出現した。
そう言えば、ミュラーも魔法の名前を唱えていたように思う。
ミュラーを連れ出す時に使ったのは、風だったよな。
《暴風》
やはりソヨソヨと風が吹き始めた。つよくなる前に停止するよう強く思う。すると風は止まった。
これに気を良くした俺は、次々と色々な想像を巡らせていた。




