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ミュラーの選択

「貴方も、()()()ですよね?妾も、同じなのよ。私は、現世(リアル)で交通事故で死んだの。貴方も行ったでしょ?あの白い部屋…。」


 ミュラーはあの白い部屋で、Hatena星への転生を選択し。

 俺の時には無かった、容姿設定や種族、職業など全部の事を選択出来たらしい。


「貴方には特別に妾のステータスを見せてあげるわ。」


 そう言うと、寝転んでいた俺を座らせ、着の身着のまま亭でやったように、手を握り見つめ合った。


 あの時より強く、暖かな何かが体の中に流れ込んでくる。

 不意に現れるミュラーのステータス。


 ―――――――――――

 名前 ミュラー

 種族 魔族

 職業 精霊召喚士

 Lv ∞

 転生 1


 体力 ∞ 魔力 9999俊敏 999 運 999


 称号 【()()()】【()()()()()】【()()()()()()


 その他

 精霊魂 鑑定目 状態異常耐性 不老不死の呪い


 お供聖獣

 ――――――――――――


「妾はね、早くに向こうの世界で命を落としたから、転生して死にたくないと思ったの。だから不老不死の呪いをかけて貰った。呪いを受けるなら魔族の方がカッコよさそう、魔族で精霊召喚とか、最強じゃない?そんな理由で、ステータスのほとんどを決めて転生門をくぐったの。」


 握られた手が不意に離され、少し寂しさを覚える。


「転生したての頃は良かったのよ。不老不死なのだから何をしても死なないんだもの。だけど、そのうちに()()()()()が居なくなったじゃない?ゲームとして終わったんだって、妾も、理解した…。それから、魔族のお城に引き篭ったの。その続きはこの前も話した通りよ。」


 その後、人間に攻められて魔族達は何処かに去り、彼女の聖女の能力のために置いていかれたという事だったよな。


「でも、おかしくないかそれ?殺さない約束とかあったよな?」

「変な話よね?妾は死ねないんだもの。そう、選んだ種族は魔族でも根本は人間だから…人と生きたかったのかもしれないわ。もちろん魔族の皆も大好きよ。今でもね。」


 そう言ってミュラーは微笑んだ。


「ここからが大切な事よ?妾が貴方が来るのを待っていた。から、貴方はあの城で自由に動けたの、分かるかしら?」


 そう言われれば、そうだと思う。妙にガバガバな警備。誘導されたと言っても過言ではないかも知れないが、自然な流れで、啓司の儀式に参加していたと思う。


「何故?」

「決まってるじゃない?オリジナルの()()()はこの世界に妾と、貴方と2人だけなのよ。16年貴方がお城に来るの待ってたの。」


 更なる違和感に俺は気がついた。


「16年も婚約破棄を?」

「それは違うわ。妾以外のラブリーハーツ城の住人は何度も何度も、あの中で一生を繰り返しているの。防御魂がある為にね…。あの防御魂は生まれ変わる事さえできない言わば魂の檻と言っても過言ではないわ。」

「そんな事…」

「信じられないでしょうね?でも、事実なのよ。」


 そう言って目を伏せた。


「それにしても、シリアス様は棒読みだったわね…。ミルフィール様は…ノリノリだったけれど。バスティアーノにも感謝しないとね…。」


「ぬ?」


「あの三文芝居は妾があの城を脱出する為に必要な事だったの。人生の繰り返しに気がついたシリアス様達3人と妾で、示し合わせたお芝居よ。」


 やはり…ショートコント、シリアスな婚約破棄。

 だったのだな…。妙に納得した。


 婚約者はシリアスだったらしいが、ミュラーは家族には思えても、それ以上には思えなかったらしい。

 繰り返しの人生に気がついた、シリアス様とミルフィール様が惹かれあって恋に落ちたのは、ずっと見ていたミュラーにとってとても喜ばしい事だったようだ。


 2人の馴れ初めも話してくれたが、今は割愛しておこう。


「ところで、貴方、自分の名前もステータスについても何も疑問に思う事はないの?」

「そう、それなんだけどさ。ミュラーは白い部屋で選んだんだよな?名前も?」

「そうね、妾は選んだのよ。名前も自分で考えたわ。」

「俺は違うんだ…。何も選んで無い。名前も、職業も、種族も…チートも無いって…現世(リアル)に寿命が残っていたとかそう言う理由で…。手違いだって…。」


 唇に手を当て少し考える素振りを見せた後、ミュラーは口を開いた。


「寿命、手違い…そう…そうなのかしら?」


 ブツブツと考えて何かの結論に達したのか、ミュラーは話し始めた。


「貴方のその体、種族が()()()()()なのよね?」

「そうだね…()()()()()ってなってたね…。」


 そうして再び沈黙が訪れたのだった。


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