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姿見の聖女(3)

「姿見の偽聖女ミュラー、聖女の名を語るばかりか、俺の愛する、真の聖女ミルフィールを虐めるとは…このシリアスの名において!婚約は破棄させてもらう!」


 はぁ…さっきの三文芝居の男が舞台の上に立っている。

 男の後ろには如何にも王様が座ります!と、言わんばかりの椅子がある。


 先程の玄関?から更に奥の謁見の間に移動してきてようやく儀式が始まろうかというところにコレか…。


 あの男が出てきた辺りから嫌な予感はしてたんだよな。


「ミュラーよ!早々に返答せぬか!」


「おそれながら、シリアス王子殿下に申し上げます。」


 男の居る壇上より1段低い所に居る、白髪を後ろに丁寧に撫で付け、右目に銀縁の品の良いモノクルをかけた男が言う。


「おお、バスティアーノ宰相か、申してみよ。」

「殿下、聖女ミュラー様は儀式中頃、啓示の刻まで…お出ましになられません…。」


 何を見せられてるんだ?


 ―――ショートコント、シリアスな婚約破棄!


 そんな言葉が頭をよぎった。と言うかそうであって欲しい。まぁ、面白くもないから笑えんが。


 顔を真っ赤にした男が1人…舞台に立っている。

 口をハクハクとさせている。何とも情けない姿である。


 バスティアーノ様ご苦労様です。心の中で労っておく。

 彼もコントの被害者だ。王子殿下は…自業自得だな。


「王子殿下…そろそろ儀式を始めませんと!」

「う…うむ。そうだな。」


 シラケる会場。儀式を進行しようとする宰相。


「さっきのは、儀式で緊張する、み、皆を和ませる余興だ。………コレより、ラブリーハーツ王国…啓示の儀式を始める!姿見の聖女ミュラーよ!よろ…よろしく頼む…。」


 なんだって…?婚約破棄を余興と言った、シリアス王子よりも、ラブリーハーツ王国と言う名前の方に心底驚いた。


 周囲の儀式待ちの者は、驚いている様子もなく姿勢をただし待っている。


 何事にも動じないのか。それともシリアス王子はいつもこうなのか謎ではある。

 バスティアーノ宰相様が取仕切る方が良いと思ったのは、俺だけではないと思いたいところだ。


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