1ー11 やりすぎですか?
1ー11 やりすぎですか?
俺がふとメガネの角に浮かんでいる自分のスキルカウンターを見ると、なんか新しいスキルが増えていた。
うん。
偽装魔法が使えるようになったようだった。
バナナを食ったせいなのか?
もともとは、言語スキルぐらいしかなかったんだが、今では、偽装魔法に生活魔法が使えるようになっている。
本当にバナナってすごいな!
俺は、自分の外見をさっきの犬のおっさんと同じ種族に偽装することにした。
また、さっきみたいなことになったら困るからな。
御者は女に任せて、俺は、荷車の中に積まれた荷物を確かめる。
ほうほう。
どうやらさっきの犬のおっさんは、香辛料を扱っていたようだな。
行商人ってやつか?
樽に入ったコショウが3樽ほど積まれていたのを見て俺は、女に訊ねた。
「コショウって需要はあるのか?」
「コショウですか?」
女は、にやっと笑った。
「もちろんです。高く売れますよ!」
俺たちは、行商人を装って街に入ることにした。
街は、周囲を高い塀に囲まれていて門のところには二人の門番が立っている。
俺は、内心焦っていた。
この荷車の持ち主である犬のおっさんは故人だし、俺は、異世界に来たばかりでまったくこの世界の常識がわからない。
頼りになりそうなのは、この御者台の女だけだ。
女は、門番に止められるとにこやかに微笑んだ。
「お疲れ様です」
「ふん、エルフか。珍しいな」
門番の髭の強面のおっさんが女のことをじろりと見た。
女は、ボロいミニのワンピースみたいな服を着ていたし、ところどころに赤い染みもあった。
あれって、血ですよね?
しかし、女は、平然として受け答えをしている。
「行商で街に来たんですが、ちょっと、その、主人は今、トゲトゲの実を食べていて、その、ちょっと効果がありすぎて声が出せません」
「トゲトゲの実を、か?」
髭の門番が女をじろじろと見てにやりと笑い、それから俺を同情するような目で見た。
「まあ、こんな美人のエルフの奴隷をつれてるんだから気持ちはわかるが、やりすぎはいかんよ。やりすぎは」
おいおい。
トゲトゲの実って、なんだよ?
俺は、何をやりすぎてるわけだ?




