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第07話 針穴を牛が通れるならば、金貸しもまた御国に召されるであろう その2

06話-1 の会話を本音モード

※そのため抜粋して、()内でエセ風大阪弁で翻訳いれてます



 正装も正装。最高位の方々との面談つまり王侯貴族や法皇・枢機卿クラスなどを相手にする姿格好でサリバンが三人の前に現れる。



「お待たせいたしまして、申し訳ございません。(わたくし)が司祭、マーガレット・サリバンでございます」

(なんやまだおったんですかいな。ちゃんと準備する手間考えてほしいわ)

 

 

「助祭のバルトロマイ・ブルジェと申します。先ほどは――」

(さっきも含めて、なんかえろうすんまへん)

 

()()()()()、バルトロマイ助祭」

(さっきのはなかった。ええな、わかっとるよな自分の立場?)

 

「ああ、ああ、これは勘違いでしたね。初めまして、マーガレット・サリバン司祭」

(これまたすんまへん。失礼に失礼かさねましたけど正式に挨拶にあがりました)

 


「それで今日は?」

(今頃なにしにきてん)

 

 「ええ、こちらの同期と共に助祭に任じられましたので、サリバン司祭にご挨拶だけでもと思いまして、急なことながらお邪魔いたしました」

(このボンボン、事前に工作もせず自分の配属先も調べんと、根回しも事前挨拶も全く自分でせずに、ぼやぼやしとったので首根っこ捕まえてひっぱってきたんですわ)

 

「なるほど、わかりました」

(まぁそんならしゃあないね)

 

「この度、助祭としてサリバン司祭の下に仕えるように使命をうけました、ローレンス・レンテ・エントラスと申します。以後よろしくお願いします」

(原文ママ)

 

「同じく助祭となりました、二人の同期のケヴィン・マクガーレンです。ご高名なマーガレット・サリバン司祭にご挨拶かないまして誠に幸いです」

(こいつのせいでえろうすんまへん。色々噂話でまわってますけどどこまでほんまですのん?)

 

 

「ケヴィン殿はじめまして、ご高名とは面はゆいお言葉。そしてそちらがローレンス殿ですね、こちらこそよろしくお願いします」

(ケヴィンはんよろしゅうに。そいで噂話ってどのこと言うてます? まあええわ、そいでそっちがそのボンボンですか。その子どないなってますん?)






「あら、ずいぶんお待たせしてしまったようです」

(お茶飲みきるまで時間かかるのわかってるのに日あらためんかったんかいな。親の顔がみてみたいわ)

 

「アンナ、三人に新しいお茶をお淹れして? (わたくし)の分もお願いね」

(まあ来たもんはしゃあない。そんでええ話なんでっしゃろな、そこまで居座るなら)

 

「ごめんなさいね、何ぶん人手が少なくてお客様への対応もおざなりになってしまっていて」

(だいたい噂きいてるなら人手おらんのわかっとるんやろ? なんで先にアポとらへんねん。ぼけなすか?)

 


「いえっ!」

「私たちの方こそ先触れもなく、お伺いしてしまいかえってご迷惑をば」

(原文ママ)

 

「とんでもございません」

(そこはわかっとんのや。まあええねんけど)

 彼女はローレンスに、驚き半分のような笑みをむけると

 

「先触れをいただいても、きっとお待たせしてしまったでしょうし、なにより『駿馬は速いものほど尊ばれる』と申しますからね」

(まあ人手おらんから、アポとってもろても待たせることになったかもしれへんしな。全部そこの間抜けなボンボンがちゃんとやれへんかったからあかんのやろ? 走れんようなった馬がどうなるかしっとるか?)

 と、口元に手をあてクスクス笑いをこぼす。


 

「ありがたいお言葉です」

(原文ママ)

 と彼は返すが、バルトロマイとケヴィンの背筋は一瞬でピンと伸びきった。

 二人がローレンスはその意味わかってるんだろうな、とちらりと見ると、素直に喜んでいるようで、これはだめだとため息をつきそうになっていた。



「それで――?」

(通じんか……で、ええ話てなんやねんな?)

 

「いえ、ご挨拶と今後のことについてお話を伺いたくおもいまして」

(原文ママ)

 

 が、テーブルの下でケヴィンが足で軽く蹴った。

(このど阿呆、会話の裏の意味を読め)

 

 何をするんだケヴィンは、とローレンスは思っていたが司祭との面会中でもあって、軽く無視しようとしていた、が、また再び今度は強めに左足を踏みつけられた。

(手土産もってきたんか、って訊いてるにきまっとるやろが)


 少しむっとして、司祭からは見えないようにテーブルの下で、ケヴィンの太ももを軽く叩き返すと、はぁ~~と突然彼がため息をついた。

(あかんわ、こいつ、教会ここの礼儀作法が全くわかっとらん)

 

 

 司祭の前であまりにもな態度にぎょっとして思わず左横のケヴィンに顔を向けてしまったローレンスだったが、ケヴィンの視線はローレンスでなく、その先のバルトロマイに向けられていたのであった。


――どうするよ、これ?

(出直して、こいついっぺんドシバイとく? どうする?)

 

 

 目線がそう語っているのはバルトロマイも理解していた。ほんの一瞬両目をつぶったかと思うと。パチリと目を開いて、たおやかな笑顔になるのであった。

(あかんわ、これ自分の進退にもかかわるやんけ。なんか良い手は……そや!)

 

 

「これはこれは失礼をば。ローレンス殿から預かっていたのをすっかり忘れておりました。(わたくし)としたことがとんだことを」

(幸いにも別口の用意がありますさかい、こいつの預かってたことで話の辻褄あわさせてもらってかまへんですか)

 

 そういって、何やら胸元を探り出した。


「ああ、ワタシもバルトロマイ殿にいうのを失念しておりました」

(それはええな、じゃあそうしよか)

 

「それと私たち二人の分も」

(詫び代のっけとく?)

「それがよろしいですね」

(せやな)

 

 

「そうですか」

(話はついたんやね)

 

(わたくし)も日を改めての方がよろしいのかしら、と思いかけていたところですの。何事も人のなすこと、間違いは必ずありますわ」

(もう少しで味噌汁で顔洗って出なおせいうとこでしたわ。まあ新人さんやったらしらんのもしょうがないことにしときましょ)

 


「こちらが彼から預かったもの」

(よそ宛ての回しものですんで額面はともかく形だけでも)

「そして、何ぶん伺うことを聴いたのが急なことでしたので、こちらは無作法ではございますが」

(そんで、こっちが自分の気持ちの詫び代です。えろうすんまへんでした)


「こちらがワタシのご挨拶でございます」

(これが、自分の分です。のし紙もろくに用意できませんですんまへん)

 

「けっこうなご挨拶、誠におそれいります。お三方には主の祝福があることでしょう」

(ほならそれで手打ちにしときましょか。これからはちゃんとせなこれからココで生き残られへんで?)

 

「然り」

(ほんますんませんでした)

「然り」

(マジすんません。こいつはなんとかしつけときますんで勘弁してください)

 

 

 あわててローレンスも祝福の言葉に「然り」と返すのであったが、いったいなんなんだこれはと呆然としたのであった。

がんばれローレンス君。作者は心から応援しているぞ!

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