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山田太郎の異世界戦記  作者: 来遊塚 帝
一章 始まり
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7話 太郎とスキル

 ギルドに戻り、太郎はゴミの山を作っていた。


 自動でスキルが発動して、さらに力加減が分からない。

 刀を背負ったまま、椅子に座ると椅子が壊れ、食器を持つと割ってしまい、朝食を取ろうとスプーンを破壊し、挙句の果てには丈夫でない場所の床さえ抜けてしまう始末。

 さすがにクランもその状況は目も当てられない。


 ちょっとの力ですべてを破壊してしまうため、制御できるまで、ヘビータイトの刀装備を禁止にした。


 破壊神にでもなったかのよう。

 俺Tueeeeeeする前に、破壊王の二つ名が付きそうだった。


 刀を持たなければスキルが発動しないので、刀を横に立てかけておく。

 盗むとしても、この超がつくほどの重量級。そうそう盗まれたりしないだろう。


 刀を所持して無ければ、どれだけ力を入れても壊れない。

 『太郎は日常を取り戻した』そんなテロップが流れているようだった。


 武器と力が同時に手に入った感じだったが、手に余る力で制御できないため、刀装備は今後封印しようと本気で悩み始めていた。


 最初はクランも一緒になって喜んでくれたが、日常の生活が出来なくなりそうで、二人とも頭を抱えた。


 力の出力が極端すぎるのだ。

 

 発動条件の可能性としてはヘビーマイトという材質がスキルを発動させている可能性もある。

 もしくは、刀がスキルを発動させている可能性もある。


 状況からはヘビーマイトか刀の2つに1つである。

 刀は太郎が今持っている分しかないため、検証が出来ない。


 悩んでいても仕方がないので、先に冒険者としても責務を果たそうとクランが提案する。

 太郎もそうだなと、空返事をするが、あまり乗り気ではない。

 刀を置けば元の力。刀を装備すれば軍神の力。装備してたら、軽トラックも片手武器にできるくらいだ。


 俺Koeeeeeeになってしまった。

 この腕に包帯でも巻いて封印してしまいたいと中二病的発想まで浮かんでくる。


 部屋に戻り、刀を立てかけ太郎は不貞寝する。



 次の日の朝――


 太郎は刀をたすき掛けのように装備する。


「よし、クラン。ゴブリン討伐にいこう!」


 こちらの世界に来てから2日目。太郎は『俺Tueeeee』が可能になった。


 門まで歩くペースに近い状態で走っているつもりが、勇者の本気走りと同等のようだ。

 門の前に到着すると、二人ともタグカードを門番に見せて、町から出る。


「クラン、一回本気で走ってみる」


 門番の視界を外れるくらいまで歩いたところで太郎はクランにいう。


(俺の刀装備の本気ってどんなだろう…………)


 太郎はシンプルに興味本位からくる考えだった。


 クランも同じように興味がある。ちょっと離れて横から太郎を見る。

 その距離から見れば、太郎の事も見失う事もないだろうと距離をとる。


 太郎はと考えながらクラウチングスタートの姿勢を取った。


「よーい。ドンっ!」

 

 太郎は自分で掛け声を言いながら、力を爆発させるイメージと共に駆け出す。


 すごい力で地面を蹴った反動で、爆発するように地面に穴があく。

 太郎としては数十歩くらい走ったつもりが、一瞬でクランの姿が見えなくなるくらいまで距離が開いた。

 そしてもう一度本気でクランの元へと戻る。



 クランは太郎の姿をとらえられなかった。

 太郎が走っていったであろう方向を見ている。

 その方向から遠くで地面が爆発したと思った瞬間、クランの後ろから人の気配がする。


「ただいまー」


 太郎の声にクランは驚かされる。


「タロー。すごい! いきなり最強を手に入れたみたいだね! タローの動作全く捉えられなかった」


「途中、ゴブリンが1匹、向こうの木陰に潜んでいたから、討伐してきちゃった」


 軽口で言いながら太郎が差し出す左手にはゴブリンの右耳がある。

 深い緑色した先がとがっている特徴ある耳だ。


 太郎の全速力の中で刀を抜いて、ゴブリンの首と耳をを刀でな出てみたらサクッと切れてしまった。

 それはまるで豆腐のごとくだった。

 太郎は夢見心地な感じでやった出来事だったので全く罪悪感が感じられなかった。


 ふと、この強すぎる状態を太郎が元居た世界のアニメを思い出す。


(そういえば、すべてのモンスターを1発で倒すっていうヒーローアニメあったな)


 右手に握りしめている刀に力をいれる。


「マジモード! 一閃」


 逆手でふりあげる。漫画のように斬撃が飛ぶ。

 その斬撃は正面にある林の木々をすべてなぎ倒し、道が出来ていた。


 隣で見ていたクランの顔が少し青ざめていたような気がした。


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