第2話 終わりと始まり
ーーー誰が予想しただろうか。
暗闇の中に薄明かりが見えていた。
ゆっくりと痛みは痺れるように消えていき、遂には全身の感覚や思考は閉じて行く。悔しさや憎悪、こんな終わり方への後悔と拳を肉に食い込むほど握り締めたまま。
思えば何一つ、幸せな思い出などなかった。
もっと普通に生きたかった。もっと愛され、友達と笑い合い、みんなと同じような幸せを噛み締めて生きていくことができたなら。
愛せないくせに、なぜ私を産んだのだ。
実の親に殺された私の人生は、堪えず最後に流れ落ちた一筋の涙と共に終わりを迎えたのだった。
第2話「終わりと始まり」
どこか遠くで光がかすかに揺れている。私はまだ、死んでなどいないのだろうか??まるで締め上げられるかのような全身の痛みと共に光に手を伸ばす。体は軋みながらゆっくりと回転し、まるで出口に向かっているように近付く光に追い付こうとしているようだ。割れそうなほど軋む頭をなんとか押し出し、自らも必死に出口へと進む。
ーーーあと少し、あと少し。
揺らぎながらも徐々に近付く光にようやく追い付こうという時、遠巻で聞く歓声のように雑然とした声が聞こえた。恐らくはきっと「頑張れ、もう少し」と言っているのだろう。誰かに応援などされる覚えもなかったが、力強い声に後押しされるように全ての力を出し切る。
遂に眩いばかりの光に包まれると、続いて体全ても軋む痛みから解放される。まるで生まれ落ちたような開放感と外気のように冷え冷えとした風に今までが温かかったのだと気付き、同時に噎せるように喉へと刺さる風から自然と声が上がった。
すると途端、周囲から今度は明確にハッキリと声が上がる。男女それぞれの声は断片的な言葉でともすれば取り乱しているかのような感嘆の声だが、私がただ痛みに耐えながら出口を目指し這い出しただけでこんなに喜ばれるような記憶が類似でもかつてあっただろうか。泣きながら張り叫ぶ男女につられて私もなぜか大声で泣いた。まるで赤子のように。
遅筆なので、半分ずつ投稿することにしました。
まだまだ何がなにやらわかりませんが、この後伏線回収できるようがんばります~