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第二話

 特待生の準備として、授与式が開催された。

 その際に、俺は先生にこの体質について、医者のカルテをもって説明し、留意を求めた。

 

 「俺、ヤンデレを簡単に作ってしまうっぽいんです。なので、体育の後は少しシャワールームとか貸してくださるとうれしいです。それからーー」

 「……」

 

 視線はかなり痛い。正直言って信じていない、という人が大半なのだろう。証拠を見せる必要があるかもしれない。

 「その医者のカルテは本物かね?」

 校長が口を開いた。

 「もちろんです」

 当然のことを疑うほどに、俺の話は荒唐無稽なのだろう。しかし理解してほしい。俺も信じられないような話を信じてもらえるかは、賭けだ。

 「……」


 先生方の間に沈黙が流れ、互いに目線をかわす。俺、川瀬トウヤの話を信じてよいものか、と。もちろん俺を既に軽蔑の目で見ている者もいる。

 それでも、犯罪を犯されるよりは、監禁されるよりは、殺されるよりはましだろう。

 そう思っていると、担任の間宮 真紀先生が俺に話しかけてくれた。

 「構わないわ。そんな苦しそうな顔をしない。シャキッとしなさいシャキッと」

 笑顔だった。初めて家族以外に信じられる女性の笑顔だった。

 下心の一切ない、きれいな笑顔に安心して、思わず泣いてしまった。

 「大丈夫、先生はいつでも君の味方よ。ためらわずに頼りなさい」

 そういって抱きしめて、涙を拭いてくれた。

 いつの間にか、先生方の向ける目はやさしさに包まれていた。



 校長先生はそのカルテを手に取り、見てみた。

 『ヤンデレ製造の最も簡単な方法として、密着などの接近が挙げられるだろう……』

 そこには驚くほど彼の匂いに関する記録が緻密に掻かれており、担当医は女性であった。

 そしてふと間宮 真紀を見てみると。

 「ふ、ふへ、ふへへへh」

 変な声を出しながら顔がにやけている。

 間宮先生は飲み会にも来ない身持ちの堅いことで有名だ。 

 校長先生含め、他の先生もまた悟った。

 

 これは、早急に対処せねばならない、と。



 

 月日は流れ、彼らの人生で最も濃い時間が始まる。

 教室にて、彼ら生徒は自己紹介をしたり、もともとの知人に駆け寄ったりと、早くも己の人間関係を構築していた。

 男子は女子とのつながりをもとめるものや、共通の趣味を持つものと出会ったり。

 女子はクラス内のカーストを固めようとしたり、面倒くさい男子を追い払ったり。

 そんな中、まったく動かない川瀬トウヤ。

 彼は今、非常に難しい選択を迫られていた。

 (今こそ友人を作る時。だが、明るめの雰囲気、というより遊びたがりの奴らは女子の方に既に話しかけている。だからと言って……)

 トウヤはちらりと教室の壁際でたむろしている落ち着いた集団に目を向ける。

 (俺はゲームもアニメもあまりできなかったからな。彼らと混ざれる気はしない。)

 トウヤとしては、男子とは友人となり、女子とはあくまでクラスメート、レベルの距離感でいたい。しかし普段トウヤの絡んできた人間はなかなかに明るめ、いわゆる運動系部活をやる連中だ。

 彼はかなりのイケメンである。しかも運動勉学そつなくこなす。身長も筋肉もちょうどいい塩梅。ゆえにヤンデレができやすいのだが……。

 トウヤはそれに気付いている。しかし学園生活は楽しみたい。

 ゆえに彼は、女子とはかかわらない、という方向で生きようとしていた。

 

 

 教室の空気は、現在とても騒がしい。普通ならば、トウヤに話しかけるものがいてもおかしくないのだが、考え事をしている彼の姿はとても絵になるのだ。

 女子はもちろん、男子もその雰囲気に近づけずにいる。

 そんな中、二人の男がトウヤに話しかけた。

 

 「うっす! 俺、駒中雄一っていうんだ。よろしく頼むぜ」

 「やあ! 僕は沢尻咲太! よろしくね!」


 彼らはトウヤに話しかけることができない雰囲気を無視。すぐに歩み寄り話しかける。

 なんということはない、ただのクラスメート。

 彼らはもちろん、トウヤに快く受け入れられた。

  





話の作り方とか書き方気持ち悪かったんで変えます。ブクマや評価してくださった皆さん申し訳ないです。これからはまた少しづつ更新していきます。

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[一言] 「大丈夫、先生はいつでも君の味方よ。ためらわずに頼りなさい。」 「大丈夫、先生はいつでも君の味方よ。ためらわずに頼りなさい」 沈黙の 。。。は棒線か三点リーダー
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