表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大賢者@レベル1道  作者: 受験生13
8/36

8 銅青会



教室に入ったのは、予定通りテスト終了とほぼ同時だった。

先生と目が合ったので、遅れてすいませんという意を込めてぺこりと頭を下げる。



「わ、中川。遅刻なんて珍しいじゃん。どうしたの?」



隣の女子が声を潜めてそう言った。



「ど忘れしてた」



橘結花。学校でも同じクラスで、そこそこ仲のいい女友達だ。



「なにそれ」

「ちょっと夢中になる出来事があって」

「何?」

「えーっと……」



探索者になった、って言えばいいのか?

探索者という職業は、良くも悪くも注目を集める。


トップランカーくらいになれば"悪くも"の方はただの僻み嫉みだが、低ランクの探索者……つまり、才能がない者と初心者は『なんでそんな職業選んだんだ』とか『普通の仕事に就けなかった落ちこぼれ』みたいに言われることも多い。


とはいえ強い探索者は『氾濫』の予兆が確認された迷宮のモンスターを間引いたり実際に地上に出たモンスターの駆除を行う英雄的存在でもある。

トップ層の探索者とそれ以外では、違う仕事してるのかと思うほど評価が違う。


トップ層の評価が高すぎるだけかもしれないが。



強い探索者は称えられる。

ゲームのキャラクターになったりもするし特集雑誌やらコスプレグッズやらがあったりもする。俺も欲しい。


だが、弱い探索者はどうか。

表立って蔑まれはしないが、何一つ誇れることがないようなイメージを持たれている。



「ゲーム……的な?」

「ふーん」



まぁ、強くなったら話させてもらおう。

強くなれなかったら闇に葬るだけだし。





「いいかー?確率の時は全部区別します。〇〇、〇×、××でハイ1/3!とか意味わかんないぞー?〇〇、〇×、×〇、××でで2/4に決まってます。宝くじで当たる、当たらないだから1/2って言ってるのと同じです。分かる?そんならみんな買いますよ〜」



で、今後の探索者活動についてだけど……


正直、一番の問題は時間だね。

本当は1日10時間くらい毎日潜りたいくらいの気持ちだけど。


…………うん。

やっぱり数学、やめようかなぁ。


探索に時間取れるし。

数学は得意だからなんとかなるはず……多分。


そもそも探索者になるんなら大学とかあんまり気にしないでいい。


学生の身では探索者としての活動が大幅に制限される。

効率的な時間の使い方を考えておいた方がいいだろう。


長期休暇ならまだしも、土日休みに遠くの迷宮まで遠征しに行くのは時間的にも厳しい。

というか土曜の午後に数学の授業がある時点で無理。


やっぱり数学だけでもやめようか……?


だからといって学校を欠席ばかりしていると周りから浮くし、単位も危ない。

どうしたものだろう。


そんな事を考えていると、いつの間にか授業は終わっていた。


40分かけて来た意味……



「おーい、和貴(かずたか)〜。プリント取りに来てくれ」

「はーい」



やめる、か……。

正直授業はすごい分かりやすいしフレンドリーで良い先生なんだけど。


でも、探索したいからなぁ……


とりあえず、来年度までに決めておこう。


そろそろ冬休み。つまり期末が近づいているということでもあるし、銅青(ろくしょう)会の内部模試も少し遅れてやってくる。


内部模試の結果で高三1年間のクラスが決まるし、一応いい結果を出したいところ。


その時までに探索者としての自分の才能を見極める。


探索者を続けるなら効率よく探索できるよう曜日変更すればいい。



探索と勉強はおそらく両立しない。

確実に宿題は回らないし、探索の時間も質も落ちるだろう。


どちらか1つ。



進学か、探索者か。



個人的には、後者を選択したいところだが。


今はまだ、どっちに転ぶか分からない。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ