4 【レベル1道】
思いがけない事態に大声を出してしまい、慌てて周囲を見渡すが目撃者はいなかった。
13体目で出るとはひょっとして、俺、結構運いいんじゃ?
13体目でもレベルアップしなかった事なんてすぐに忘れてしまえるほど気持ちが昂っていた。
「いやでも、まだあたりと決まったわけじゃないぞ……」
昂る気持ちを抑え、慎重にスキルスクロールに近づく。
喜びがデカすぎるとハズレだった場合の落差がすごいから、1回落ち着こう。深呼吸。
「すぅーーー、はぁぁぁあ……」
【光魔術】
『このスキルの所持者は光属性の魔術を使用できる。レベル1:〈灯火〉〈光弾〉〈回復〉』
「光魔術!?」
光魔術は火、水、土、風、闇と共に多くの目撃情報がある有名どころの魔術スキルだ。
多くの目撃情報があるスキル──コモンスキルと言われる──だからと言ってレアなものはレアだし、弱い訳でもない。
それぞれの目撃例が少ない、または皆無であるような珍しいスキル──ユニークスキルと言われる──は癖が強いものが多く当たり外れが大きい。
そいうった意味ではむしろ確実、堅実に上を目指せる、当たりと言われるコモンスキルを揃える方がリスクは少ないという意見もある。
母数が多いというのもあるだろうが、トップランカーでもコモンスキルユーザーは多い。
「取るか……?どうする……?というかほんとに灯"火"は光属性なのか」
特に光は回復系の魔術が使えることから、魔術系のスキルの中でもかなりレアで当たりとされるスキルだ。
これは取らない手はないのでは無いだろうか。
バリバリ後衛向きのスキルだが、パーティを組めばスキルがこれだけでもそこそこ戦えるだろうしスキルレベルを上げれば防御系やバフ系の魔法も解禁される。
決めた……取ろう!
足も痛いし。
ドロップから何分経過しただろうか。
迷っている時間はない。
「よし……とるぞ!」
意を決して、スクロールに触れる。
願わくばスキルスロット数3、せめて2でありますように!
巻物が消え、光魔術の取得を確認した俺は恐る恐る『ステータス』と念じた。
☆
Lv.1
【レベル1道】【光魔術】
残スロット:4
☆
「……は?」
初めて目にしたステータスは、思わず声が漏れるほど理解不能だった。
「は?ちょっとまて……なんだ?スキルが……」
2つある。
迷宮に足を踏み入れたのは今回が初めてで、これ以前には無い。
モンスターを倒したのだって初めてだ。
となると、何時だ?
まさか10年前の大氾濫で地上に出たモンスターが偶然スキルスクロールをドロップして偶然それに触れてしまったとか?
それとも何者かに拉致されて無理やり……な、ワケないよな。
……わからない。
とりあえず、スキルの詳細を確認しないと。
「えっと……あれ?残スロット4!?」
今更ながら気づいたが、2つのスキルを取ってなお4残っている、つまり俺のスキルスロットは6個だった?
「そんな馬鹿な。1~3個のはずなんだけど……まぁいいや、とりあえず、なになに……レベル1道?」
【レベル1道】
『このスキルの所持者はスキルスロットが3増加する。スキルの所持者のレベルは1に固定される』
うん、完全にこいつのせいだな。
スキルスロットが倍増するじゃないか……スゴすぎる!最高だ!
「って、言うとでも思ったか!?」
レベル1固定って!!
デメリットが凄まじすぎる……
ふざけんな!