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大賢者@レベル1道  作者: 受験生13
34/36

34 アイテムショップ

「……寒すぎる」

「寒さ対策必須!って書いてあったやろ」

「だから何時ものヤツの上に上着着てるじゃん」



何時ものヤツとはクリムゾンスパイダーの糸で編んだアンダーシャツとズボン、電気羊の綿100%の上着の事。迷宮産の頑丈な素材に防御上昇と対火が付与された魔道具である。

どれにも耐寒は着いていない。


まあ、ちょうどいい機会だから耐寒つきの上着でも買うか。

高いんだろうなぁ……

生産系スキルを持つ人間はまだまだ希少だ。

エンチャント有りのアイテムが同じアイテムでエンチャント無しのものの10倍もするなんてこともざらだ。

何しろ、希少価値だけでなく利便性に富むものが多いからな。

首にかけるだけで鎧と同等レベルの防御力を産む首飾りとか。

指にはめるだけで暗闇を見通す指輪とか。


毒が厄介な敵なら耐毒付与のアイテムを。

光無き階層なら暗視付与のアイテムを。

凍える程寒いなら、耐寒のアイテムを。


常識だ。

……ああ、だめだ。

またか。

また油断だ。初心者用迷宮だからと侮ったようだ。

一応普通の防寒着は用意したんだけどね。

全然ダメだこれ。

モコモコの毛皮の上から冷たーい風が素肌まで突き刺さってきますが。


おかしいなぁ……普通の(地球産素材の)上着でも耐えられないことは無いって書いてあったのになあ……耐えられたもんじゃ無いぞ。

ハティは自前の毛皮で寒く無さそうだ。

俺の上着も毛皮なのに。なんで?



「やっぱりレベルかなぁ……」

「攻略wikiもレベル1縛りは想定外やろなぁ」

「そうだねぇ……前も『魔法特化型のため近接は無力。接近しすぎると殴りかかってくることがあるが無視していい』って書いてあったから無視したら死にかけたもんね」

「そろそろキツイな、致命的なことになる前に意識変えた方がいいで。モンスターの習性はともかく攻略法は鵜呑みにせん方がええ」



おっしゃる通り。

自分用の攻略本でも作るか。

めんどくさいな。


ここの階層に辿り着く人達の中で、俺だけレベルの恩恵を受けていない。

他の人には障害ですらないものが、俺に対しては障害になる。


それを他人より多いスキルで埋めるのがレベル1道のはずなんだけど。



「まだ4……というか実質3つだもんなぁ」

「足りない部分は装備で補えばええって」

「足りてるヤツらも装備で底上げするから結局差は同じじゃね?」

「離されるよりええやろ」

「そうだね……また出費だよ。これは今月赤字まである」

「耐寒装備買えばここで稼げるんやから。先行投資ってモンやろ」

「だね。買いに行こうか」



ということで、迷宮を出てアイテムショップへ。


「耐寒、防御、魔力上昇……凄いなこれ。いくらですか?」

「1000万からですね」

「せ………へ、へぇー。そりゃあまた…ははは、そこそこしますね、でも今回はいらないかな、うん」

「8層に行かれるのですか?非常にお安い耐寒装備をご紹介しましょうか?」

「そうですね、どうせ8層でしか使わないですしね」

「でしたらこちらなどいかがですか?エンチャントなし、ただの上着です」

「へぇー、それはそれは、さぞ良い素材なんでしょうね。おいくらですか?」

「ポリエチレンテレフタレート100%、時価2500円の逸品となっております」

「へぇー、時価、へぇー。じゃあ次は耐寒が付与されたものを見せて貰えますか?」

「了解しました、安いものから順にご紹介しますね」



全くこの男は。

何故か店に来る度突っかかってくるのだ。

めんどくさい。

初めて来た時レジで「よっしゃ1000万いった!」とガッツポーズする彼に強化指定証明を叩きつけ、その月の彼の記録を997万に留めた事を根に持っているらしい。



「あーあー、商売より意趣返しを優先させるなんて、これは副店長の器じゃありませんねー」

「…………お客様、こちらなどいかがでしょう?エンチャントは耐寒のみではありますが8層であれば寒さ対策として十分ですしミサンガタイプの為違和感も少なく、耐久性は低いものの服の下に入れればちぎれることも無いでしょう」

「いいですね。いくらですか?」

「12万5000円になります。無くしやすいとの報告を受けておりますので、無料で専用の入れ物をお付けいたしますが、どうされますか?」

「正にそれが欲しかったんです!さすが未来の副店長!」

「ふふふそれほどでも。8層に行かれるのでしたら雪梟の毒爪が心配ですね。布製防具では不安が残る……ご一緒にこちらの指輪はいかがですか?防御のエンチャントがかけられており、素材もただの鉄ですので37000円となります。指輪を付けると違和感が生じるのであればネックレスタイプや腕輪タイプ、ベルトタイプもございますが……?」

「買います!」



実態はおだてればすぐ本気が出る扱いやすい男だった。

そしてかなり有能なのだ。

いつも1品か2品、余計に買わされるがそれに救われたりもするから文句は言えない。



「ではお会計16万と2000円になります。カードでよろしいですか?」



で、強化指定証明を出すと不機嫌に戻る。

めんどくさいけど操り方は心得た。



「……16万2000、あるんですか?」

「ありますよなめんな」



気を取り直してもう一度8層へ。

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