31 【気弾】
「【気弾】……魔力の銃弾を発射?光弾と何が違うんだ?」
「スキルとして出とるんやから何かしら違うんやろ」
「どうしよう。取ろうかな…聞いた事ないスキルだからユニークなんだろうけど当たり外れがわからないって言うのは怖いよね」
「ワン!ワオゥ……ワウッ!」
人が来てハティが喋れなくなる。
ワンワン言われても分からないよ?
まあ多分、取りたかったら取ればええんちゃう?とか言ってるんだろうけど。
取るよ。
スキルスロットが人より多い分、ユニークスキルのギャンブルものリスクも低くなる。
スキルのレベルも熟練度も、上げるのに時間がかかるんだからできるだけ早く始めないと。
トラウマ超えるのに時間がかかったんだから、詰めれるところを詰めていきたい。
☆
Lv.1
【レベル1道】【光魔術】【気弾】
残スロット:3
☆
よし。じゃあ早速……
「気弾!」
とりあえず消費魔力と威力、扱いやすさ当たりを調べていこう。
右手付近から洗われた光る玉が、遅くもなく速くもないようなスピードで飛んで、気にあたって小さく爆発した。
「…………光弾じゃねーか!」
「ワウッ!?」
見た目から何から全部光弾だったぞ今の!?
光弾を放つ。気弾を放つ。
うん、やっぱり一緒だ。
人間は本気で驚いたりショックを受けた時、言葉が出なくなるようになっているらしい。
「ああ……うん」
「キャゥン……」
いやいや、まだこのスキル全部試したわけじゃないし。
秘められたナニカが覚醒するかもしれないからもうちょっとだけ使ってみよう。
もしかしたら威力とかスピードを色々と変えられるかも。
…………まあ、光弾でもできるけどね。
「気弾」
ズバンッ!
威力強めになるよう撃った気弾は、なんの冗談か轟音と共に木の幹を大きくえぐりとった。
「えー強……まあ、光弾としてはね。雷槍よりは弱いし」
「いや、光弾やったらいくら強くてももっと浅く広い穴になったやろ」
「貫通力で言っても多分光矢の方が上だよ?」
「やったら貫通力重視でもっかい撃ってや」
「貫通力……気弾!」
見た目は先程と変わらず光弾そのままだが、シュパッと軽快な音がして、先程より狭く深くを穿った。
光弾に酷似してはいるものの、自由度が光弾のそれとは比べ物にならないということか。
まあまだレベル1だしレベルを上げれば、そしてうまく使えばそこそこ有用かもしれない。
こうして考えれば、見た目が光弾そっくりと言うのも悪くない。
光魔術師は牽制やら目くらましやらにやたらと光弾を使う傾向がある。
魔力消費が少なく爆発すれば多少の衝撃はあるし何より発動に集中力がいらない。
モンスターならそんな事知らなくても、対人戦なら光弾に気弾を混ぜることで攻撃の幅が上がるかもしれない。
考えたくはないけど、強い探索者は高レベルスキル持ちの強い犯罪者と戦うこともある。
そういう仕事は大体警察系統の探索者がやるんだけど……ほら。
探索者協会って一応国営だし?
一定の給与を確約されてはいないものの一応半公務員的存在なのだ。
日本の探索者は99%以上が探索者協会所属だから。
犯罪者と戦うってなぁ……
殺すのも嫌だから捕縛に留めておきたいところではあるけど、犯罪者と戦って死ぬのが1番嫌だ。
「ふー、これでまたお前との差が広がっちゃったよ」
「ワン!?」
「まぁお前は爪とか牙が短くて相手の急所に届いてない感じだから、武器使えりゃすぐ強くなるって」
とりあえず気弾が使えるかどうか、今日明日くらいで見極めていきたい。
光魔術も感覚的にだがそろそろレベルが上がるような気がするし、インフルエンザ万々歳だな。
別に出席日数は足りてるわけだし一学期全教科評定6以上、つまり2、3学期連続で評定4でも総合評定5で耐えるから学校サボって迷宮に行くって言うのも……ありっちゃありだな……
とりあえず気弾をレベル2に上げ、ハティのレベルも上がったところでホテルに戻った。




