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アレクサンダー英雄戦記 ~最強の土魔術士~  作者: 大野半兵衛
十二章

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98/160

098_失地奪還戦

 


「はっ!」

「ぐっ!?」

 フリオの槍を受けた金髪の女帝アレクシス・フォン・ハインケスは、数メートルも押し込まれてなんとか止まった。

 だが、止まった瞬間に腹部に激痛が走り、地面に顔面から倒れ込んで意識を失った。

 金髪の女帝アレクシス・フォン・ハインケスはフリオを地上に下ろすことさえできずに、捕縛されてしまったのだ。

「フリオ・デーゼマン様が金髪の女帝を捕縛したぞ!」

 その光景を見ていた騎士トーレス・アバジがフリオの武功を高らかと宣言した。


「フリオ・デーゼマン様が金髪の女帝を捕縛したぞ!」

 デーゼマン家中でも随一の騎乗術を持っているトーレス・アバジだが、バトルホース隊が組織された時にフリオの副官にとトーレス・アバジ自ら名乗りを挙げるほどに、フリオの騎乗術は芸術的で洗練されていた。

 フリオの圧倒的な騎乗術と武威はスキル騎乗を持っているトーレス・アバジから見ても素晴らしく、フォレストに見いだされたトーレス・アバジはその息子フリオに惚れ込んだのだった。


 味方の左翼もアレクが帝国軍を落とし穴に落として遮断したことで持ち直すことができた。

 その情報を聞いたボリス・フェフナー大将は膝を叩いて喜んだ。

 さらにボリス・フェフナーに嬉しい報告があった。

「デーゼマン師団が敵後方に布陣。敵は混乱しています」

「よし、予備兵を中央へ投入する。敵は混乱している、一気に攻め滅ぼせ!」

 ボリス・フェフナーは全戦力を投入して、一気に王国軍へ勝利を引き寄せた。


 アルガス州の戦線が崩壊したことで、帝国支配地域であるバレッド州に王国軍が大きく食い込んだ。

 すでにシュテイン州からも帝国軍はほぼ駆逐されている状況なので、王国軍は勢いに乗ってバレッド州の各城を落としていく。


 休戦協定が失効して開戦してから2カ月近くがたっている神聖暦622年10月18日。

 フェフレン州でも騎士団が帝国軍と戦っていたが、戦況はよくなかった。しかし、シュテイン州とアルガス州で王国軍が大勝利を収めたことで、後方を脅かされることを懸念した帝国軍が後退したことによって騎士団は辛うじて勝利を得た。

 これによって帝国軍の支配地域はバレッド州の北東部に限られ、王国軍はバレッド州の中部最大の拠点であるゲッテモールス城に入った。


 バレッド州最大の貴族ペティグリュウ・ザッテモール四等勲民が王国軍や諸侯を迎え入れる。

 このペティグリュウ・ザッテモールは帝国軍が攻めてきた時に帝国に寝返って、王国が帝国軍を駆逐すると真っ先に王国へ帰順してきた人物である。

 そのペティグリュウ・ザッテモールの居城がこのゲッテモールス城なのだ。


「デーゼマン殿、この度のことなんとお礼を言っていいか、言葉には表せないほど感謝しておりますぞ」

 アレクの手を握って礼の言葉を連ねるペティグリュウ・ザッテモールに、アレクはいたって平坦な受け答えをする。

 帝国軍が攻めてきた時、バレッド州の貴族の中で最も早く帝国に寝返ったのが、このペティグリュウ・ザッテモールなのだから、軍関係者や貴族諸侯のペティグリュウ・ザッテモールに対する感情はよくない。

 帝国軍の大軍に攻められても王国へ忠誠を誓って族滅した貴族家もある中、このペティグリュウ・ザッテモールは一切血を流していないのだ。

 しかも、シュテイン州に帝国軍が攻め込んだ時、ペティグリュウ・ザッテモールは先兵として帝国軍のために王国貴族と戦っている。貴族諸侯の中にはペティグリュウ・ザッテモールに家族や血縁者を殺された者もいるのだ。いい感情があるわけがない。


「今夜は解放された記念、そして王国軍が勝ち戦を重ねた祝いの宴会を開きます。どうか、存分に飲み明かしてくだされ!」

 ペティグリュウ・ザッテモールは気に喰わないが、戦続きだったので英気を養うちょうどいい機会である。軍幹部や貴族諸侯はペティグリュウ・ザッテモールが用意した料理の数々や酒を存分に味わった。


「アレクサンダー殿! 飲んでいるか!?」

 アレクの首に腕を回してきたのは、第三騎士団長のオイエン・ブリッグス四等勲民だ。フォレストの親友と言って憚らないオイエン・ブリッグスは、アレクの後見人だと公言している。

 アレクにしてもオイエン・ブリッグスは、アレクが小さい頃から家によくくるおじさんだったため、貴族の中では唯一十数年の長いつき合いである。


「はい、飲んでいますよ。閣下」

「閣下は止めろよ。俺とアレクサンダー殿の中じゃないか。昔みたいにオイエンおじさんでいいぞ」

「いや、それは……」

「はーーーっはははは! まあ、オイエンでいいぞ、それよりマリアちゃんはどうした?」

 オイエン・ブリッグスはキョロキョロと周囲を見回す。

「マリアは疲れたようで、先に休んでいます。申しわけございません」

「なんだ、久しぶりにマリアちゃんの顔を見れると思ったのに」

 オイエン・ブリッグスは酔っているのかマリアをちゃんづけで呼ぶ。マリアが小さい頃はそう呼んでいたが、マリアは今年で17歳の年頃の少女だ。面と向かってちゃんづけで呼んでいたら嫌われていたかもしれないので、オイエン・ブリッグスにとってはよかったと言えるだろう。

 宴会は夜遅くまで続き、アレクたちは十分に料理と酒を楽しんだ。


 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] こういう人物でも帰属を許さないといけない何かがあるんやろなぁ 貴族だけに
[気になる点] なぜ、真っ先に裏切った人間が帰順を許される? この国の身分制度を考えると相当厳しいように思えるから、裏切った人間は帰順したとしても最下層まで降格されるんじゃないか?
[気になる点] 寝返った人が料理を用意して宴の場にも参加するのですね 普通は生きてないと思います
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