096_失地奪還戦
24日に短編「軍人をしていたら、不時着陸した惑星で超人になってしまった!」を投稿しています。
楽しんでください。
ドラゴンのブレスが大地を焼く。
リーリアは槍の石突きで地面を突いてその勢いでジャンプしてブレスを躱すと、ドラゴンの頭上で槍を振り下ろす。
「逝ってしまいなっ!」
アレクが造ってくれたマーロ合金製の槍が、ドラゴンの脳天を強かに殴りつける。
「ギャァァァァァァァァッ!?」
リーリアに殴られてドラゴンの顔面が地面にめり込み、ドラゴンが悲鳴をあげる。
「あーっははははは! ドラゴンなんて滅多に遭えないからね、楽しませておくれよ!」
ドラゴンが尻尾でリーリアを薙ぎ払おうとすると、リーリアは大きく後方に飛んでそれを避けるが、着地と同時に地面を蹴ってドラゴンに詰め寄ると槍をドラゴンの横腹に突き刺してねじり込んだ。
「ギャオォォォォォォォッ!?」
「いい声で鳴くじゃないか!」
槍を引き抜くと、ドラゴンは羽を大きく羽ばたかせ飛び立とうとするが、リーリアはその羽のつけ根に槍をねじ込んだ。
「ギャオォォォォォォォッ!?」
「はーっはははははは! いいねぇ、もっといい声で鳴かせてやるよ!」
力任せに槍を横に薙ぐと、ブチッという音と共にドラゴンの羽が千切れる。
リーリアがドラゴン相手に無双している頃、ガンズ率いる獣人部隊、ボル率いる元傭兵部隊、ゼグド率いる獣人と元傭兵の混成部隊が、それぞれ1体のドラゴンを受け持ち戦っていた。
「姐さんは1人で戦っているんだ! 俺たちが負けるわけにはいけねぇぞ!」
ガンズが獣人たちを鼓舞して、突起のついた金棒でドラゴンを殴りつける。
「攻撃を受けるなよ! それだけ注意しろ!」
ドラゴンの顔の前に陣取ってその凶悪な牙を避けるボルは、両手に持った双剣を鋭く振る。
「野郎ども、気合入れて殴れ!」
ゼグドの巨体から繰り出す一撃は、大斧の破壊力を遺憾なく乗せたものだ。
この三人はいずれもドラゴンの意識を自分に引きつけ、部下たちがドラゴンに攻撃しやすい状況を作っている。
ゼグドは凶悪なドラゴンの牙を大斧で受けた。
「へっ、姐さんの槍のほうが重いぜ! それにうちの姐さんのほうが凶悪な顔だぜ!」
ゼグドはリーリアが怒った時の顔を思い出すと身震いをしながらも、ドラゴンを押し返す。
数年前、王都でアレクが暴漢に襲われたことがあった。その時のリーリアの怒りようほど恐ろしいものはなかった。
傭兵として子供の頃からリーリアと戦場を駆けていたゼグドは、リーリアと三十年以上の長い付き合いになるが、あれほど恐ろしいリーリアは見たことがなかった。
それに比べればドラゴンなど大したことはないと、大斧を振る。
4体のドラゴンはリーリア率いるデーゼマン家の私兵によって倒された。
残念ながら8人がドラゴンのブレスで焼かれて死んでしまったが、怪我人も少なく行軍に支障が出るほどのものではない。
4体のドラゴンの成体を相手に戦って、この被害なら圧倒的な戦果だと言えるだろう。
だが、リーリアは不満だった。
「おい、ボル!」
「へ、へいっ!」
8人はボルが指揮していた部隊の元傭兵だった。
「あんたがついていながら8人も殺すなんて、どういうことだい?」
「も、申しわけありやせん。姐さん!」
ボルがリーリアから説教を受けているのを、同じように元傭兵で部隊を指揮していたゼグドがニヤニヤしながら見ている。
「ゼグド!」
「へ、へい!」
「あんた、ドラゴンと戦っている時に失礼なことを言っていたね。そのことをもっと詳しく教えてくれるかい」
リーリアの標的がゼグドに変わったのを見たボルが、身を低くして後ずさる。
「ボル! まだ話は終わってないよ!」
「へゃいっ!」
「ガンズ、皆にドラゴンを解体させな」
「了解です、姐さん!」
ガンズは自分までとばっちりをくってはたまらないと、敬礼してそそくさとリーリアから離れていく。
リーリアの説教はドラゴンの解体が終わるまで続いた。
ボルとゼグドは、リーリアは年を取って説教の時間がながくなったと思ったが、そんなことを言ったら命がないから絶対に口にしない。
戦闘よりも解体に時間がかかったが、4体のドラゴンの素材である。これを売ったら小領なら軽く買えるくらいの金額になるだろう。
「ダンテ、ドラゴンの素材と怪我人の運搬を任せたよ」
「承知しました」
少ないながらも怪我人がいるため、放置はできない。それにせっかく解体したドラゴンの素材も捨てていけない。
そこでダンテが一部隊を率いて怪我人と素材の運搬を担当することになった。
「ほら、グズグズしてないで、いくよ!」
リーリアはデーゼマン師団を追いかけなければならない。だが、リーリアが向かったのはデーゼマン師団が向かった方向とは違う。
「こういった時にショートカットしなければ、面白くないよ」
「そんなこと言って、この前もフリオぼっちゃんの獲物を横取りしてましたよね」
「はんっ。あれはフリオに世の中の厳しさってものを教えてやっただけさ」
リーリアは槍を担いで、笑顔で先を急ぐ。
その行軍についていく元傭兵と獣人たちは、リーリアに決して逆らわない。命が惜しいから。
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