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アレクサンダー英雄戦記 ~最強の土魔術士~  作者: 大野半兵衛
十六章

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155/160

155_帝国激震

 


 キミリス城内のデーゼマン家に与えられている部屋に、アレク、フリオ、マリア、その他家臣たちが集まって、一騎討ちの話をしている。

「もし、フリオが一騎討ちの代表に決まったら、気を緩めないようにね」

「分かっているよ。これでも槍の腕には自信があるんだ」

 アレクの言葉に服の袖をまくって腕の筋肉を見せるフリオ。その腕はまるで丸太のように太く、同じ血を引く兄弟とは思えないとアレクは思った。

「マリア。帝国も自信がなければこんな提案はしてこないと思うんだけど、王国は勝てるかな?」

「フリオなら勝てる。だけど、他なら分からない」

 いくらマリアでも帝国側の一騎討ちのメンバーの情報がなくては判断できない。それでもフリオなら勝てると言うのだから、マリアのフリオに対する信頼は厚い。

「僕には分からないけど、あのスバレン九等勲民は強いの?」

「かなり強いと思う」

 フリオが言葉短く強いと言う。アレクはフリオの強さを知っている。だから、フリオが強いと言うのであれば、心配ないと思った。

「魔術が使えない以上、マリアでもどうにもならないか」

「その言い方、なんかムカつく」

 マリアはお菓子を頬張りながらアレクに冷たい視線を向けた。

「他意はないから、そんなに睨まないで」

「口は災いの元」

「「え、マリアが言うの!?」」

 マリアは言葉が足りないことで問題を起こすことがある。いつもぶっきらぼうで言葉が足りないマリアがそんなことを言うのかと、アレクとフリオは珍しいものを見るような目である。


 一騎討ちの代表者を決める決を採る場。王太子の側近であるアリスタイン五等勲民が、進行役を務める。

「採決の前に、一騎討ちの代表候補について、確認します」

 アリスタイン五等勲民がフリオとスバレン九等勲民の名を挙げ、その他に誰もいないかと聞く。誰も手をあげないことから、候補者は二人で決定。

「それでは、これより採決をとります。セルマン・スバレン九等勲民が一騎討ちの代表に相応しいと思われる方は、挙手をお願いします」

 次々と手があがっていく。それはバレッド州とシュテイン州以外の貴族がほとんどであった。彼らは声に出して意見を言う雰囲気にないというだけで、王太子は一言も喋るなと言っていない。それに、決をとると王太子が言ったのだから、その権利を行使しているだけである。

 さらに挙手している者の中に、ブリッグス団長とアレク、そしてフリオの顔もあった。それを見たバレッド州とシュテイン州の貴族たちは、驚きの目で三人を見つめていた。

「挙手された方は全部で二十六名。出席者が四十一名であることから、過半数になりました。よって、スバレン九等勲民が一騎討ちの代表者に決定しました」

 その結果を受けて王太子は、スバレン九等勲民に声をかける。

「スバレンが一騎討ちの代表に決まった。思い残すことなく、最善を尽くすがよい」

「はっ、ありがたきお言葉。全身全霊をかけて、事にあたる所存にございます」

 スバレン九等勲民は席から腰を上げて、王太子に恭しく礼をする。


 一騎討ちの日がやってきた。

 スバレン九等勲民はつき添いの家臣一人、そして見届け人のアリスタイン五等勲民と共に一騎討ちが行われる場所に立った。視界の先には帝国側の一騎討ちの代表者がいる。

 双方の見届け人が前に出て言葉を交わし、お互いの代表者の名を交換する。

 帝国側の代表者はドミニク・フォン・イシュタム。帝国少将であり子爵だが、一騎討ちを行う自由を得ているため部下はいない。付き添いは古くからイシュタム家に仕える家臣の老人である。

 イシュタム子爵は三十二歳のいい感じに脂が乗っている人物で、その槍はミスリルをふんだんに使った逸品である。

「ずいぶんと細いが、なかなかの強者だ。相手にとって不足はない」

 イシュタム子爵がスバレン九等勲民を見て感想を漏らした。強者は強者を知るようだ。


 お互いに進み出て武器を構えると、空気が張り詰めた。


 

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― 新着の感想 ―
[一言] バーレーン州の貴族どもがデカイ顔しすぎだ!
[一言] ほえ フリオというかデーゼマン家の意はどこだ?
[一言] 王太子て軍事面ではあきらかに無能だよね…。
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