117_新領地(新天地)
話は進み、領地の話になる。
セップ郡とケール郡にある主な町の情報は、このようになっている。
●セップ郡(総人口二十万人)二十八万石。
ケストリス町(人口十万人)十二万石。
ペニシア町(人口五万人)八万石。
デジム港(人口一万人)一万石。
他、五町十八村(人口四万人)七万石。
セップ郡には、海があって塩の産地もある。
また、デジム港という港町もあり、産業のうえではそれなりに潤っている。
●ケール郡(総人口十五万人)三十七万石。
セトニア町(人口七万人)十八万石。
コムリス町(人口三万人)七万石。
他、五町二十六村(人口五万人)十二万石。
ケール郡は、農業以外に目立った産業はないが、セップ郡より五万人も人口が少ないのに、石高はかなり多いのが分かる。
「ボールニクス家には、セップ郡のケレミア町とサリウス村、リーム村を任せたいと思う」
ケレミア町の人口は八千人で、石高は一万石。サリウス村の人口は一千五百人で、石高は一千七百石。リーム村の人口は一千五百人で、石高は一千三百石。
一町二村の総人口は一万一千人になり、総石高は一万三千百石になる。ただし、ケレミア町は塩の産地で、穀物生産以外に塩だけの収入で二万石相当になる。
「ありがとう存じます」
ダンテが、アレクから渡された資料を読み、頭を下げると、息子たちも頭を下げて感謝した。
「デゼナン家には、ケール郡のポロス町とザバン村を任せたいと思う」
ポロス町の人口は九千人で、石高は二万石。ザバン村の人口は五百人で、石高は一千石になる。
総人口は九千五百人になり、石高は二万一千石だ。ボロス町は大都市ペニシア町とセトニア町の中継地になるため、人の出入りが多く重要な町である。
また、大敵である帝国軍が、シュテイン州を抜けてきた時の重要防衛拠点の町でもある。
「期待に応えられますよう、誠心誠意努めます」
資料を受け取ったハルバルトと、息子のメンディスが謝意を述べる。
「アバジ家は、テクラス町とウルグ村を任せる」
テクラス町の人口は八千人で、石高は一万五千石。ウルグ村の人口は一千人で、石高は二千石になる。
総人口は九千人になり、石高は一万七千石だ。アバジ家に与える領地は、穀物生産以外に目立った産業はない。
だが、アレクは、ある考えを持って、この土地をトーレスに与えるのだった。
「ありがとう存じます」
他の二家に対して、明らかに収入が少ない土地だが、トーレスは深々と頭を下げて、これを受け入れた。
「ゼンバー家には、ホルト町を任せます」
アレクは義兄のザクルに、資料を渡す。
「人口は七千人、石高は八千石ですが、鉄鉱石の鉱山がありますので、鉱山の管理を任せます」
アレクは、産出する鉄の権利は、デーゼマン本家とゼンバー家で、五対五の割合だと言う。
「ありがとうございます。誠心誠意努めます」
ザクルは、資料を見ることなく頭を下げた。
そもそも、資料には多くの情報が記載されているので、じっくり読んでも理解できないかもしれない。それに、こういうことには、妻のクリスが関係しているはずなので、読まなくても受け入れるだけでいいのだ。
さらに、カムラ、オウエン、ゲーデス、ガンズたちにも村を与えていく。
話は進んでいき、今度はヘリオ町の話になった。
「銀鉱山は、王家に三割を献上している兼ね合いもあり、僕が二割、フリオは五割の権利にする」
銀鉱山は、ゼント共和国との外交問題に発展する可能性があるため、本家でも権利を持っておかないと、いざという時に介入できない。
「ガラスに関しては、生産がフリオ、販売はクリス姉さんが立ち上げた商会に任せることにする」
クリスが立ち上げた商会に、専売権を与えることで、しっかりと利益を上げてくれるだろう。
ちなみに、そのゼンバー商会は、アレクが四割、フリオが三割、ゼンバー家が三割の出資比率のため、商会の利益は三家に分配されることになる。
「塩の販売権は、今まで通り僕が持つ」
この権利は、決闘に勝ったアレクが、ブラガン六等勲民家からもらったものだ。
ボールニクス家に与えたケレミア町とは違う、別の塩の産地の権利なので、本家が持つほうが都合がいい。
「アースリザードの繁殖だけど、これは今まで通りセルトムで行う。ただし、国へ販売もそうだけど、僕のところのアースリザード隊を維持するためにも、アバジ家のテクラスでも繁殖をしてもらう」
フリオのデーゼマン家は、アースリザードの繁殖を行い、国に販売する。
対して、アレクのデーゼマン本家では、アースリザードの繁殖を行い、自軍のアースリザード隊を維持することになる。
これによって、アバジ家は穀物以外の収入ができるし、アレクとしてもアースリザード隊を維持できる。
また、フリオとアバジ家が繁殖規模を拡大すれば、他の家にも売ることができるだろう。
なおフリオの家は、バトルホース隊を引き継ぐが、アースリザード隊はなくなる。
「魔術筒の生産はゼンバー家とハッタ・モッタ。魔術弾はマリアとジャックに任せる」
公にしていないが、魔術筒と魔術弾も国に販売している。最近は、ジャック・ローズの研究所兼工房に人も増えたため、魔術弾の生産を行えている。
「今まで通り、このことは極秘事項なので、他言することは許されない」
帝国軍との戦いで、大きな戦果を挙げている魔術筒を、国が配備する予算をつけるのに大きな抵抗はなかった。
国も生産しているが、魔術筒はともかく魔術弾を大量に生産するのには、熟練の魔術士が多く必要になり、マリアやジャックの工房が作れば作るだけ売れるのだ。
もちろん、魔術筒本体も鍛冶師の腕が悪いと、魔術は発動しない。何よりも魔術筒内で爆発する可能性もあるので、下手な鍛冶師に任せることはできない。
今までは、ザクルとハッタ・モッタが生産を行っていたが、今後のザクルは、新しい土地で魔術筒の生産を行うことになるだろう。




