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アレクサンダー英雄戦記 ~最強の土魔術士~  作者: 大野半兵衛
十三章

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104/160

104_新たな任務

 


 宰相府に出頭すると、そこには舅ステイラム・オイゲンスの姿があった。

「驚かせてしまったようだね、私は宰相府へ異動になったのだよ」

 驚いたアレクを見てステイラムはいたずらっ子のように、無邪気に笑った。


「先日お会いした時にはそのようなことは何も仰っていませんでしたが?」

「婿殿を驚かそうと思ってね。ははは」

 ステイラムは宰相府で統括補佐官の職に就いたと語った。この統括補佐官というのは、宰相を補佐する宰相府のナンバーツーであり、将来的には大臣職を望むことができるポジションだ。


「あまり王太子殿下をお待たせしてはいけない。さあ、行こうか」

「はい」

 宰相府の主である王太子ルドルフは、アレクの顔を見るとデスクから立ち上がって迎え入れた。

「王太子殿下にご挨拶申しあげます」

「堅苦しい挨拶はいい。そこに座ってくれ。統括もそこへ」

「はい、ありがとうございます」

「失礼します」

 ソファーに座ったアレクとステイラムの向かいにルドルフが座ると、お茶が出される。


「さて、デーゼマン中将」

 世間話をしてお茶を二口ほど飲むと、宰相は本題を切り出した。

「帝国に対する失地奪還戦のこと、本当にご苦労であった」

「いえ、職務を果たしただけですので」

 アレクにとっては職務だが、ルドルフにとっては非常に重要なことである。


 先の戦いにおいて、二万人にもおよぶ捕虜と二万人におよぶ戦死者という大きなダメージを帝国に与えたが、帝国はこのていどでは揺るがないだろう。

 これからの王国は、帝国から奪った土地を守らなければならない。そのためには帝国との休戦期間が終了する来年四月までに、片づけておかなければならない問題が山積みなのだ。

 その問題を片づけるためにも、アレクという英雄はルドルフにとって重要な人物であった。


「今回、陛下は総動員令を発令し、国中から軍を動かした。デーゼマン中将もそれは知っていると思う」

「はい。存じております」

「だが、総動員令を無視し、移封にも応じない輩がいるのも知っていよう?」

「多少は耳に入っております。王太子殿下」

 この後、ルドルフが何を言おうとしているのか、アレクはなんとなく察してしまった。

 帝国との戦いに備えるために、国内の問題を片づけたい。ルドルフはそのためにアレクを使うつもりなのだ。


「デーゼマン中将には、反逆者を討伐してもらいたいのだ」

 やはりと思う。

「反逆者ですか?」

「陛下の命令に背き、帝国を利する行為をした者にはできるだけ恩情をかけた処罰をしたつもりだ。だが、それさえも従わぬ者がいる。放置はできぬ」

 ルドルフの言うことは一理ある。平時ならともかく、非常時、それも国王が総動員令を発令したにも関わらず従わなかった。

 帝国と休戦してそういった者たちを移封させることで処罰したことにしようとしたが、それさえも従わぬ者がいるのも事実。

 反逆者と呼ばれても仕方がないとアレクも思わないではない。しかし、反逆者は穏やかな言葉ではない。アレクは、その言葉の奥にある意味を考えた。


「統括、デーゼマン中将に命令書を」

「はい。アレクサンダー・デーゼマン中将、貴殿には反逆者ブロス・カルバロ・アルホフの討伐を命じる」

 その名にはアレクも聞き覚えがある。このソウテイ王国において三本の指に入る大貴族であるアルホフ三等勲民だ。

 ブロスはサダラード州のカルバロ郡とヒッツバルク郡、そしてエルム郡の三郡を治めている大貴族の中の大貴族である。

 しかもブロスの正妻は現国王の妹、つまりアレクの目の前でソファーに座っている王太子ルドルフの叔母になる。

 アレクでもそのくらいのことは知っているだけに、本気なのかとルドルフを見る。


「我が叔母が嫁ぎ、その子がアルホフ家の次期当主として育っている。私人としては叔母上に申しわけなく思うが、公人としてアルホフ三等勲民の行いを看過できるものではない」

「討伐と仰る以上、戦になる可能性が高いと存じます。アルホフ夫人とそのご子息の命に係わることになりますが、よろしいのでしょうか?」

 アレクは聞かなければならないことを聞く。その姿勢にルドルフは目を細める。

「構わぬ。アルホフ三等勲民が大人しく投降すればよし、さもなければ、アルホフ家を族滅することも厭わぬ。そうなってもデーゼマン中将を恨むことはない」

 国王や王太子がアレクを恨まなくても、多くの関係者がアレクを恨むことだろう。ここにきてアレクは自分にこの命令をした王太子ルドルフの意図が分かった。


 アルホフ三等勲民家には多くの分家と関係を持った貴族家がいる。その人脈は王国内の隅々まで巡らされていることだろう。

 しかし、ルドルフには幸いなことというか、アレクには不幸なことなのかもしれないが、アルホフ三等勲民家とデーゼマン家はまったく関係がないのである。


 軍幹部のほとんどが何かしらの関係を持っているアルホフ三等勲民家を、反逆者として討伐するのは簡単なことではない。しかし、まったく関係のないアレクが大きな軍事力を持っている。これを使わない手はないということである。


 

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