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アレクサンダー英雄戦記 ~最強の土魔術士~  作者: 大野半兵衛
十三章

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103/160

103_新たな任務

 


 アレクが陞爵して数日後、宰相の勇退と新宰相の就任が発表された。

 新宰相は舅のステイラム・オイゲンスに聞いていた通り、王太子のルドルフ・マゼランド・カイシャウスだ。

 アレクはルドルフの宰相就任パーティーへ出席し、初めてルドルフと挨拶を交わすことになる。

「アレクサンダー・デーゼマンにございます。以後、お見知りおきいただければ幸いにございます。王太子殿下」

 ルドルフはややくすんだ金髪に、父親譲りの深緑色の瞳をしたガッチリとした体形の人物であった。

 ただ、体型は立派なのだが武に関してはあまり得意ではなく、政治能力に長けるというのがアレクの聞いていたルドルフの評価である。


「英雄殿の話は聞いている。今後はよろしく頼み置くぞ」

 ルドルフは手を差し出し、アレクはその手を取った。

 王族が貴族と握手をすることは滅多になく、これはアレクに大きな期待をしているという意思表示でもある。

「王太子殿下のご期待に沿えますよう努力いたします」

 感じのいい人物だとアレクは感じたが、貴族のそういったものの裏には必ず何かしらの思惑があるということをアレクは学んでいる。


「そのほうが英雄殿の弟か?」

「はっ、フリオ・デーゼマンと申します。殿下」

 フリオもこのパーティーには参加している。

 貴族しか出席できないこのパーティーに、出席しているフリオも貴族である。

 論功行賞でフリオはなんと九等勲民に叙されたのだ。

 まあ、フリオの戦功は一つや二つではないので、いきなり九等勲民に叙されても不思議ではない。


「おお、そうであった。英雄殿は十日後、宰相府へ出頭するように」

 挨拶が終わって下がろうとしたアレクにルドルフは言葉をかけた。

「……承知いたしました、王太子殿下」

 いったいどんな話があるのかと、アレクは不安を抱えてルドルフの前を辞した。


 パーティーには途中で国王の出席があるということで、ルドルフへの挨拶が終わったからといって帰ることはできない。

 アレクは軍務大臣や舅などを始め、軍幹部への挨拶を終えるとパーティー会場の隅でワインを飲みながら、フリオと共にパーティーの様子を窺う。

 貴族たちは王太子のルドルフに取り入ろうとしている者と、ルドルフから一定の距離を保とうというものに大きく分かれている。


 華やかな曲に変わるとルドルフの妹であるカタリナ・マゼランド・カイシャウスが会場に入ってきた。

 以前、カタリナのパーティーに参加したことがあるアレクだが、会ったのはその一回きりである。

 その頃よりも大人びたカタリナは、非常に美しく育っていた。

 カタリナの金髪が美しく光り輝き、彼女の美しさを際立たせている。

「美しい方ですね」

「そうだね。だけど、あまりしげしげと見ては失礼だぞ、フリオ」

「あ、うん。分かった」

 アレクの妻のラーレ、そしてフリオの妻のセーラも美しいが、カタリナの美しさは人の域を超えているとアレクは思った。


 カタリナは兄へ挨拶をすると、多くの貴族に囲まれた。

 まだ婚約者がいないカタリナに自分を売り込む若い貴族、自分の息子や親戚の息子を売り込もうとする貴族、思惑は色々である。

 カタリナはフリオやマリアと同じ年齢だが、まだ婚約者さえ決まっていない。

 この年齢でまだ婚約者が決まっていないのはいくつか理由があるのだが、その最たる原因が会場に入ってきた国王アナベル・マゼランド・カイシャウスその人である。

 この国王はカタリナを溺愛しており、カタリナに求婚するような者がいると、色々なプレッシャーをかけるのだ。その他にもカタリナ自身にその気がないということもあるようだ。


 貴族が国王へ殺到する中、アレクは貴族たちが少なくなるのを待った。

 かなり時間がかかったが、アレクは貴族たちの中に突っ込んでいくよりはいいと思ったのだ。

 国王にも挨拶をしたし、アレクはパーティーを抜け出す隙を窺った。そんなアレクに近づく人影があった。

「お久しぶりですね、デーゼマン殿」

「こ、これは王女殿下!」

 アレクは慌てて膝をつこうとしたが、カタリナはそれを止めた。


「英雄アレクサンダー・デーゼマン殿には、我が国の危機を救っていただきました。とても感謝しています」

「もったいないお言葉」

「アレクサンダー殿とお呼びしてもよろしいですか?」

「もちろんにございます。王女殿下」

「ありがとうございます。では、私のことはカタリナとお呼びください」

 アレクは迷った。

「王女殿下のお名前を呼ぶなど、畏れ多いことです」

 迷った末に断ったアレクだが、カタリナは不満のようだ。

「分かりました。それではアレクサンダー殿、一曲踊りませんか?」

「……光栄に存じます。王女殿下」

 名前呼びは断ったがカタリナから踊ろうと誘われたのだ、これを断るのは不敬にあたる。

「王女殿下、私は足が悪く踊りは些か不得手にございます」

「アレクサンダー殿の足が悪いのは承知していますわ」

 ここまで言われて断るわけにはいかず、アレクはカタリナと踊る決心をした。


 アレクはカタリナと三曲を踊り、その光景は国王アナベルの視界にしっかりと収まっていた。

 もちろん、パーティーの主催者である王太子ルドルフも妹がアレクとダンスを踊っているのをしっかりと見ていた。

 それが今後のアレクにどんな影響を及ぼすか、アレクは知る由もない。


 

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― 新着の感想 ―
[一言] これはどうなる?!不倫?!
[一言] 王女とのダンスは、 国王と王太子と王女が組んで、アレクを・・・・
[一言] 同じ相手と3曲・・・夫婦か婚約者意外ではまずかったようなw 暗に婚約者宣言ととらえられるのでは?
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