色数え歌
近づいてくる
天井に
いつかの自分
小さな背をしているから
子供の頃だろう
変な夢を見ている
そう考えると
目の前でピタリ
それは止まった
目と目が合えば
睨まれる
目を瞑れば
耳を引っ張られた
仕方なく見つめ合う
相手の口が開き
白い歯が見えた
笑っているのか
そう思うと
目の前でポツリ
声を出した
「灰色」一言
「赤色」二言
「白色」三言
数え歌のようだ
泣きながら笑う僕
袖で涙拭きながら
笑い声
部屋に響いて
消えやしない
対面する僕は
何処にも
行けやしない
入り込んでいる
身体に
いつかの自分
もう見えなくなったが
笑い声がした
変な夢を見ている
そう考えると
身体の奥から
それは初まった
音と音とが重なれば
暴れ回る
声を消せば
叫び声を上げる
仕方なく音をだす
相手の心が開き
素肌が見えた
綺麗になりたいのか
そう思うと
身体の奥でポツリ
声を出した
「茶色」四言
「青色」五言
「黒色」六言
数え歌のようだ
喜びながら怒る僕
手足を動かして
笑い声
部屋に響いて
抜けやしない
対面する僕は
何処にも
飛べやしない
永遠を疑う
自分になった日
傷ついて生きる
それが出来た時間
不意に訪れた
優しい一分間
どうしても
動けなかった三十秒
忘れ難き物は
僕の痛み
つまりは
なんだかんだ
人の痛み
傷ついたら
優しく出来るかは
人の意思
つまりは
なんだかんだ
僕の意思
「黄色」七言
「緑色」八言
「水色」九言
数え歌のようだ
無表情が分かる僕
何かをとどめて
笑い声
部屋に響いたか
わからりゃしない
対面する僕は
何処かに
行くしかない
初めて貰った
色鉛筆は
三十六色だった
まだまだ足りない
未完成のまま
右上と左上の角を
押せば開いた
あの日に向かって
辿り歩こう
「桃色」十言