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7. 結言
実際の調理実験と有限要素法に要る解析を用いて多層積層バケツゼリーの破壊メカニズムの検証を行い,確実な作成手法の検討を行った.その結果, 以下の結言が得られた.
(1)炭酸材料を用いて多層積層バケツゼリーを制作した場合,各層間境界面に炭酸による気泡が帯状に集中し,それが欠陥として働いてき裂発生を促すことがわかった.そのため,炭酸材料を用いる場合は,積層させない一体型モデルを用いたほうが破壊は生じにくいことがわかった.
(2)バケツゼリーにおいては,底面部に近づくほど大きなせん断応力が作用することがわかった.そのため,底面部に近いほどせん断的な破壊が生じやすいことがわかった.
(3)(1),(2)より,炭酸材料を用いて多層積層バケツゼリーを作成する場合,炭酸を十分に抜いたものを使用するか,作用するせん断応力が比較的小さい上層部に炭酸材料を用いることで,破壊を防げる可能性が強いことがわかった.