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1. 緒言

 現在,衣類,通信費,交通費,光熱費等,様々な分野で節約に対する試みが行われている.中でも必然的に高くなりやすいエンゲル係数(食費)においては,外食の機会を減らして自炊を試みたり,より安い食材を求めてタイムセールや値引品を利用するといった取り組みが行われている.しかしながら,これらの手法が必ずしも節約につながるという保証はないため,別の観点での食費の節約手法を模索することは急務であると言える.


 現在までに我々が着目しているのは食費の項目における嗜好品,特に休憩には欠かせないおやつ代である.従来においては,おやつの時間にはコンビニで思い思いのお菓子や飲料を買うことがほとんどであった.しかしこの手法では一度当たりの出費が最低でも300円はかかってしまい,これを平日は毎日続けたとすると,一か月間(20日間)で6000円もの出費となってしまう.本来は必要ないはずの嗜好品の出費としてこの値は高すぎると評価せざるを得ない.


 そこで本研究室では,おやつを自作することでこれらの出費を抑える方法を提案している.自作のメリットとしては一度に大量に作ればその分コストを抑えることができること,また,作る喜びを感じ取ることで息抜きとなり,より有意義な研究生活を営めることがあげられる.


 前報(1)においては,おやつとして最もメジャーであるプリンに着目し,その発展形であるバケツプリンについて,有限要素法による解析と調理実験を用いて確実に製作するための検証を行った.その結果,バケツプリンの自重による崩壊原因が判明し,一般的なサイズのバケツを用いた場合におけるバケツプリンの制作手法を確立することができた.


 しかしながら,ずっと巨大なバケツプリンをおやつにすると,遠くないうちに飽きが生じてしまうといった問題点も発見された.そのため,バケツプリンに代わる新たなおやつの作成手法を確立することが必要であると言える.


 今回においてはプリンと同じく,おやつとしてメジャーであるゼリーに着目した.ゼリーはプリン以上に作り方が単純であり,凝固対象に炭酸材料や酒精材料を選べたり,好みの具材を投入することができるなど,アレンジの幅も広い.さらに一度に大量に作ることができるうえ,食べると幸せな気分になれる.巨大ゼリーを制作するのもプリンに比べて難易度が低いため,より確実な製作手法を確立することができれば,食費の節約に大いに貢献できると考えられる.


 前回までの研究においては全体が均一な一体型モデルを対象としていたが,それでは前述の通り飽きが生じてしまう.そこで本研究室では,各層で味の異なる多層積層バケツゼリーを制作することで,その問題を解決することを提案している.


 しかし,巨大プリンの製作手法やゼリー製作に関する報告は挙がっているものの,多層積層構造が巨大ゼリーに与える影響についての研究は見つけ出すのが難しいのが現状である.そのため多層積層バケツゼリー製作の現場では,バケツゼリーがどのような破壊挙動を示すのか予想できないといった問題が挙げられている.


 そこで本研究では,有限要素解析と実際の調理実験により,炭酸系材料を用いた多層積層バケツゼリーの破壊メカニズムの検証を行い,多層積層バケツゼリーの確実な作成手法の検討をすることを目的とする.

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