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A-2 調理日の記録

 最近本当に暑くなってきた。


 研究室に到着したのはいつもと同じくらい。なぜか机の上に昨日買った未開封のサイダーが置いてあったため、何があったのかと聞いてみたところ、『俺これ飲もうと思ったんだけど、我慢したんだよ。偉くない?』などとポポルがしれっと言い出した。あいつは本当にやんちゃだと思う。


 そうそう、今日はフィルラドが元気に研究室に来ていた。一応体調は元通りになったらしい。何で中ったのか聞いてみたところ、『ウニかもしれない』とのこと。家族で就職祝いに行ったお寿司屋さん(?)で中ってしまったそうな。


 研究室に到着後はバケツゼリーの二層目の作成に入る。二層目はサイダーのみを使った透明で仕上げていく予定だったため、作業そのものはすこぶる楽。ゼラチンを溶かすのに微妙に時間がかかったけれど、それ以外には特にこれと言って特筆するべきことはない。


 ゼリーを仕込んだ後は魔法学会資料の制作に入る。まだ例のテキストボックスのコピーによる強制終了問題が解決していなかったため、まずはそこから当たることにした。


 で、クーラスの助けを借りつついろいろ諸々試してみる。互換性の設定をちょこちょこ弄ったところ、ある特定の条件でのみ強制終了が発生しないことが判明。その条件がイマイチよくわからなかったものの、古い形式にしたときは強制終了が発生しづらい傾向があることがわかり、そもそもの根本の原因が魔法学会が用意したクソの役にも立たない古すぎる形式のテンプレにあるってことだけは判明した。


 互換性の問題はどうしようもないので、ダメもとで大丈夫な部分だけをコピーしたところ、これまた部分的にとはいえコピーできることに成功する。条件がよくわからんけど、どうやらショートカットコマンドからのコピーも強制終了しづらいことがわかった。


 そんなわけで、コマンドから内容を全選択し、新しく開いた新規のファイルに全部張り付けてみる。よくわからんけど普通に扱うことができた。マジで何だったのだろうか。


 ともあれ、これで魔法触媒に関する一連のトラブルは解決したため、その後はゆっくりと魔法学会資料の中身を詰めていく。適当に切って貼ってそれっぽく修正するだけなので、最初の方は特に問題なし。


 問題なのは最後の考察。──魔法材料の場合は問題なく実験値も──も一致したと言えるけど、──魔法材料の場合は何とも絶妙に微妙。魔法陣パラメータから考察しようにも、そっちもどっちつかずの非常に考察しづらい値を示している。


 どうせ時間はあるし、ぼちぼち済ませていけばいいと開き直ることにした。むしろ進んでいる方だし、ちょっとくらいいだろう。


 おやつの時間ごろ、ステラ先生が院生室に遊びに来た。で、雑談していたところ、『──先生がテレビに出ているの見た?』と聞いてくる。


 なんでもつい最近(と言っても結構前だけど)、──先生が──の──って番組に──の研究者として主役に近い扱いで出演していたらしい。そういえばゼクトがそんなようなことを言っていた気がする。


 そんなわけで、早速みんなでその番組を探してみることにした。なかなか見つからなかったけど、情強のクーラスが見事それっぽいのを見つけることに成功する。


 肝心の内容だけど、マジで──先生が主役っぽい扱いでビビる。普通にガッツリ映っていたし、なんかすんげえ経歴とかも明かされていた。あの人がまさかそんなにすごい人だったとは……。


 夕方ごろ、二層目のゼリーが固まったところを見計らって三層目の最後のゼリーの仕込みにかかった。手順そのものは一緒だけれど、今回はメロン味かき氷シロップを入れることで緑色に着色していく。面倒なのでラベルに書いてあった【サイダーとメロンでメロンソーダを作る美味しい割合】をガン無視し、鮮やかな発色になるまでどぼどぼとシロップをぶち込んでおいた。


 思いの外エキセントリックな見た目になってしまったのはしょうがないことだろう。あと、なんか微妙に二層目のゼリーが緩かったけど、大丈夫だろうか。とりあえず、分量的には特に問題なく、あのバケツにぴったり収まったことを記しておこう。写真もしっかり撮ったから、気になったら参照する事。


 だいたいこんなものだろう。関係ないけど、ポポルのところのマジックロットが壊れたらしい。この時期は例年いろんなものが壊れているから、こっちも気を付けたいものである。

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