表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/13

A-1 調理日の記録

 こちら(付録)はリアルでつけている研究日記のバケツゼリーに関連した日の記述です。ただし、身バレや特定を防ぐため、例によって例のごとく、人名や固有名詞を拙作【魔系学生の日記】のキャラクターおよび世界観で機械的に置き換えています。


 魔系学生の日記を呼んだことのある方ならすごく見憶えがあるかもしれませんが、つまりそういうことです。そして、そういうわけでもないのにすごく見憶えや心当たりがあるかたは、どうかそのままそっと心の中に閉まっていつも通りの何気ない日常を過ごしてください。正直めちゃくちゃヒヤヒヤしております。

 朝の馬車にて、紺のノースリーブのワンピース(?)を着たちょっぴりの日焼けがステキなきれーなおねーさんが隣に座ってくれた。肌がきれいですんげえビビる。朝からちょうラッキー。これがあるからこの国もまだまだ捨てたもんじゃあないと思う。やっぱ夏って最高だ。


 加工があったため、研究室に到着したのはちょっと早め。時間になったところで加工場へと赴き、前回の加工実験で取得したデータの中間の条件での加工を試みる。ちょうどピンポイントで取りたい値から外れているというのなら、それらの間の理論値を示す加工条件なら、どんぴしゃで行けると思った次第。


 加工そのものは特に問題なく終わった……けれど、取り付け魔法刃を外す際にうっかり落としてしまい、小指をおもっくそ挟んでしまう。クソ痛い。


 幸いなことに目立った外傷はなく、指も動く。それ故に骨が折れているわけではなさそう……だったけれど、一部の感覚が戻らない。触ってるのに触られている感じがしない。ヒビが入っている感じもしなかったことから、おそらく神経を痛めてしまったのだろう。


 どうせ小指の一部の感覚がなくなったところで日常生活にさして問題があるわけでもない。神経だからちょっと時間はかかるだろうけど、このくらいなら自然治癒するだろう。


 さて、加工実験が終わってなお時間が余っていたので、わかっている部分の魔法陣表面粗さの加工をしてしまおう……と画策したはいいものの、『削りしろ2mmもあんの? 一回フラウルで削らないとダメだな』と言われてしまったので、そういうことになった。


 書いていてもつまらないから、これについてはここまでとしておく。とりあえず、ステルに関しては全部削りしろの処理が終わったってことだけ伝わればいいや。


 そうそう、話はがらりと変わるけど、フィルラドが食中りで休んでいた。いったい何を食べてそうなったのかちょっと気になる。


 午後は加工実験を済ませた魔法陣表面の粗さを測ることにした。一応狙っていた範囲には入っていたものの、真ん中じゃあなくて結構ギリギリな、絶妙に微妙なところを示している。測る場所によっても結構違うし、どうしてこうも毎回人をおちょくるような結果が返って来るのか。


 あと、マジックリーダーの調子がすこぶる悪い。最初は普通に使えていたのに、二回目以降うんともすんとも反応しなくなった。データ自体は保存されていたし、接続を示すランプだってついているのに、なぜか高性能演算魔法触媒に認識されない。


 いい加減ブチギレそう。とりあえず、見かねたクーラスが自前のリーダーを貸してくれたからなんとかなったけど。あと、魔法陣表面粗さ測定器は魔源を切るごとに全ての設定がリセットされるので注意すること。


 その後は魔法学会の資料の作成に入る。前回までに大まかなところは済ませてあったため、あとはコピー&ペーストで細かい図とかを仕上げていこうと思った次第。


 が、なぜか数式や図をコピーしようとすると演算魔法触媒が強制終了するという異常事態に見舞われる。別形式で保存しても、別の触媒で作業してもダメ。杖の発動からコピーを選んだその瞬間にマジックプログラムが止まり、問答無用で閉じられるっていうね。


 もう本当にブチギレそう。何でこうも毎回変なトラブルが起きるのか。テキストボックスすらコピーできないってありえなくない?


 もうすっかりやる気がなくなったので、その後はバケツゼリーを制作することにした。実はすでに昼の段階で残りの材料を買ってきていたんだよね。


 とはいえ、やること自体はいたって単純。最初の一層目(上層)は赤色に仕上げる予定だったため、熱したサイダーに適量の食紅をぶち込み、根気よくゼラチンを混ぜていくだけの簡単な作業であった。


 具体的には、サイダー1000mlのうちの750mlをそのままバケツに投入し、別の容器に取っておいたサイダー250mlを500Wで150秒ほど加熱して、そこにゼラチン25g(五袋)をゆっくり投入して混合し、着色してバケツにぶちこむってだけ。


 加熱したサイダーにゼラチンをぶち込むと思いの外泡立ちが凄まじくてビビる。そして、ゼラチンを加えるにつれて粘性が高くなることも発見。ただ、ゼラチンを一気に加えると溶け切らずに残ってしまう可能性があるので注意すること。


 ゼリー溶液が完成した後はそこにみかんの缶詰を投入し、あとは冷蔵庫で冷やせばオシマイ。赤、透明、緑の三層レアードゼリーで行く予定だったから、一層目が固まるまで次の作業は出来ない。残りは明日だ。


 夕方ごろからゼミが始まる。今日の発表はジオルドとアルテアさん。二つだけの発表だから早めに終わるかな……と思ったら、アルテアさんの所が若干炎上気味だった。


 アルテアさん、例によって例のごとくヨキに『黒板に書いてみい!』って言われてチョークを取ったんだけど、グラフ軸タイトルの変位δデルタが書けず、『ちょっとわかんないのでBにしておきます』ってBを書いていた。せめてそこはDだろうと思ったけど、それを言うのは野暮ってものだろう。


 あと、島津製作所をうまく言えなくて、『しまっ、しまぢゅ、しまづせいさくしょ──』って噛みまくっていた。


 ゼミについての内容はこれくらいしか覚えていない。終わったのはだいたい1820ごろ。学術的な中身についてまるで触れていないのが悲しいところだけど、書いていて面白くないし見ていても面白くないだろうからこれでいいや。

20180105 前書き追加

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ