表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
34/66

第8話 実技試験3

 シャドウ君という未知の騎士見習いをもう一度見ることはなかった。

 シャドウ君がその存在を高らかに宣言すれば話は別らしいが、どうもその存在がばれて恥ずかしいからか、静かにしているらしい。だから俺たちがもう一度見るには、ディーナさんのように自力で見るか、シャドウ君が暴れるかの二択である。

 そうなると、どうして俺はあの時。シャドウ君が見えたのだろうか。

 数度の休憩を挟み、順調に進む。

 洞窟内は幾つか道が別れていたが、その別れ道にはチームの番号があり、俺たち第三チームが進むべき道が示されていた。

 これにより洞窟内で他のチームと鉢合わせすることはないみたいだ。

「一体どれだけ進めば良いの」

 終わりが見えない。

 洞窟で一番最初に感じたのがそれだった。

 先は薄暗く、時間も分からない状況下だからか、予想以上に体力の消耗が激しい。何より、個人ではなくチームなのが移動に時間をかける。

「そもそもこんな洞窟がすぐ近くにあることが不思議ですね」

 ホン君がそんなことを言う。

「時間にして授業一回分もない距離に、馬車で行ける範囲にこんな洞窟があるなんて聞いたことがない。だから」

「だから?」

「試験のためにわざわざ作られた」

 そのホン君の推理にディーナさんの耳がピクリと動く。

「そうなんですか?」

「さあな」

「さっきはシャドウ君について教えてくれたのに、こういうことは教えてくれないのですか?」

 その質問にディーナさんはほおと感心した様子になる。

 それに違和感を覚える前に、アラン君が聞いてきた。

「シャドウ君とは誰ですか?」

 そう言えばアラン君はまだ理解していなかった。

「シャドウ君はね、えっとね。ホン君説明して」

「いえ、私も知りません」

 すると、まるでさっきの出来事がなかったかのように、ホン君はそう言った。

 俺は思わずディーナさんの方を見ると、ディーナさんは微笑みを浮かべていた。

「質問に答えよう。何故シャドウについて教え、その質問について教えないかだ。シャドウは説明してもすぐに忘れるからだ」

「どういうことですか?」

「そのままの意味だ。その高度な魔法は認識を消す。記憶にも反映される。もしかしたらリヴァ。お前は何度かシャドウを見ているのかもな。でも忘れた。それが少しだけ他よりも長いみたいだ」

「なるほど」

 忘れることなら教えても問題ない。

 だからディーナさんはシャドウ君を教えてくれたのだ。ただ時間を潰す会話のネタとして。

「じゃあ、これについては?」

「本来これも良くないのだが、特別に教えよう。私たちが試験について教えることは許されていない。説明が最小限なのもそのためだ。騎士自ら考え、試験を乗り越えなくてはいけない。だから私たちは何も答えることができない」

「そういうことですか」

 この違和感、不安すべては未知から。何も分からないから違和感を覚え、不安や恐怖心が出て来る。

 試験における謎は騎士見習い自ら考えなくてはいけない。

 もしかしたらこの試験は実技試験という名目のもと、考える力を見ているのかもしれない。

「だったらもしかしたら」

 俺はこの洞窟の謎の一つが解明できそうだった。

 それはこの洞窟が試験のために作られたというホン君の言葉から。俺はどうしてモンスターがディーナさんたちを襲わないのか。どうしてすぐ近くにこんな洞窟があるのか。

 でもそれは大きな邪魔によって、かき乱されることになる。



「…………広い空間」

 初めて狭い通路から、広い空間へと俺たちは出た。

 この広い空間、ある意味で部屋である洞窟の壁には等間隔で設置された松明が多い。そのためか空間に何があるのかはっきりと見える。

 岩でデコボコした床に一つだけ人工物の土台があり、その上に小さな箱が置かれていた。

 広い空間へ入る通路以外に、この空間から伸びる通路はない。つまり行き止まり。

「もしかしてゴール?」

「かもしれません」

 ホン君が一人、その箱へ近づく。それに嬉しそうにアラン君が早歩きで近づく。俺は遠くから警戒する。

 そう簡単ではないはずだ。

 まだ外は夕暮れ時ぐらいのはずだ。実技試験のために取られた日数は二日あるのにこの程度の時間で終わるだろうか。帰りの時間を考えても初日の夕飯に間に合う試験になる。

 しかし。

 ホン君が小さな箱を開ける。

「ありましたね」

 合格の書。

 それらしき紙を四枚、ホン君は箱の中から取り出して、見せて来る。小さな文字ははっきりと見えないが、ホン君がその文字を読まないわけがない。つまり、本物だ。

「よくやった」

 そしてディーナさんがそう褒めながら、ホン君たちの方に近づいていくのだ。

「こういう時はなんていうのだっけ」

 そうだ。杞憂だ。

 よくよく考えれば、一睡もせずに丸々二日使う試験とは考えにくい。ある程度余裕があっても可笑しくない。

 そう思った矢先。

 ふいにこの広い空間の松明の一つが消えた。

「あれ?」

 洞窟内に風はある。

 風がなければ、洞窟内は相当息苦しいはずだ。

 だから松明の一つが消えても何ら不思議ではない。それに風の影響ではなく燃料がなくなったなど要因はいくらでもある。

 でもそれが立て続けに続くなどそうそうないはずだ。

 一本。また一本と松明が消えていく。

 それは順番に。時計回りに。

「何が起きて」

「リヴァさん!」

 アラン君が叫ぶ。

 俺はその光景に目を奪われていた。だからアラン君の叫び声でやっとで気づく。

 洞窟の天井に亀裂が入っているのを。

「…………まずい」

 そう呟いた時、洞窟の天井が崩壊した。

モンスター紹介2

オーク

豚もしくは猪のような頭を持つ二足歩行モンスター。肌は緑色に近く、斧を持つ。

強さ的にはそれほどで一般兵1人分。実はオーガの方が強い。ただ数が多く、群れで襲ってくるため中々厄介な一面がある。斧が作れるほどの頭の良さはある模様。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ