第4話 アラン君は弱かった
「本当にごめんなさい」
次の日。
開幕アリスの謝罪から始まった。
「次」
「この度はリヴァちゃんの裸を触って、変なことをしようとしました。もうしない事をこの誓約書に誓います」
「よろしい」
アリスから俺へ、一枚の紙が渡される。
内容は身体を触れない事について。
「リヴァちゃん。その、アリスちゃん、こんなのだけども、許してあげて?」
リナがそう言ってきた。
「大丈夫。ちょっと何が起きたか分からなかっただけで」
「ねえ、聞いた?つまりリヴァちゃんも同じかもしれない。昨日も嫌がる素振りなかったし。ねえリナちゃ」
「…………ん?」
「ごめんなさい」
「また、する?」
「あれはもう勘弁です。本当にごめんなさい」
なんだ、また、するとかあれって。
ちょっとエロいじゃないか。
「あなたのせいで、好きな人から嫌われた、ことある。どれだけの恨み。あると、思ってるの?」
「でも、それでも私と付き合ってくれるリナちゃんのことも私大好きだよ。リヴァちゃんの次ぐらいには」
「…………」
「本当にごめんなさい」
二人の上下関係がよく出てる。
思わず俺は笑ってしまった。
「リヴァちゃん、どうして笑うの?」
「二人、面白いなって」
「そんなに面白かった?」
二人は不思議そうな表情をした。
ブーが俺の部屋で寝ているそんな中。
朝食を済ませて、俺はついに訓練が始まることになる。
どれだけ大変かは分からないけども、リヴァイアサンの力があれば大丈夫。多分。
なんて思っていたが、大きな間違いだった。
「このモンスターの生態は、主に」
剣を振る毎回を想像していたが、まあ普通に学も身につける必要があるみたいで。
午前は教室でアドルフさんの講義を受けている。
楽しくない!
なんだ、これ。
全然分からない。え、何これ。何だよ、モンスターの生態とか。そんな気持ち悪いモンスターの生態なんか知って何になる。
「そうだ。リヴァには言ってなかったが、講義終わりに毎回テストがあるからな」
テスト?
昼食を終えて、広場に向かう俺たち。
「あの、リヴァちゃん。人は学力じゃ、ないよ?」
講義中に受け、そして返却されたテスト。
小さく見える一桁の文字。
満点200点。平均点は179点。俺を抜いてね。俺を入れたら平均点は約165点になってしまう。
リナの言葉が虚しい。
「馬鹿なリヴァちゃん。うん、良い。すごく良い。二人っきりで勉強を教えたりとか、すごく良いと思う」
「アリスちゃん?」
「想像ぐらい許してよ、リナちゃん」
「分かった、許す」
これぞ精神の自由。
「それにしても」
広場にいる男子の数は六人。今現在、誰一人とも会話をしていない。俺はまだしも、アリスとリナが会話をしているところも見たことがない。
「男子とは仲が悪いの?」
聞いて見る。
「まあ、そうかな?」
すると微妙そうな表情をした。
「アリスちゃんがいるから」
「私の原因だね」
「原因?」
なんて会話をしていると、ふいに大きな声をかけられた。
「おい!」
他の男子と比べて体格の大きな男子。
「どちら様でしょうか?」
「俺はダン。リヴァだな?お前なら俺の彼女に相応しい。彼女にしてやるよ」
ダンはそんな事を言った。
リナに服の裾を引っ張られ、耳打ちされる。
「ダン君はあんな性格の子で。気に入った女子に平気でこんなこと言うの。前はアリスちゃんに言ってね。それで喧嘩が起きて」
「ああ、なるほど」
先ほどの原因が分かる。
「おい!無視するな!」
「ごめんなさい。そして、告白の件ですが」
「違う。告白じゃない。告白をさせてやると言っているのだ」
「あ、そうなの。まあ、どちらにしても」
俺は満面の笑みで答えた。
「お断りします」
男と付き合うとか、気持ち悪すぎて反吐が出るわ。
俺はホモじゃない!
すごく大事なことです。
「何だと!」
すると、ダンが俺に近寄ってきた。
喧嘩になりそうな雰囲気。他の男子たちは見て見ぬ振り。どうもダンに恐れているみたいだ。
「そこまでだ!ダン!」
と思ったら、一人だけやって来た。
勇敢にも模擬剣を構えた男子。多分歳は十代前半。ふむ、女装ができそうな男子というべきか。そっちの趣味はない。
「お前はまた迷惑をかけて」
「アラン、うるさいぞ!」
「どっちがうるさい。見ろ!リヴァさんがすごく困った様子をしてるじゃないか!」
「何だ!俺に立ち向かうつもりか?」
「そうだ!」
見た所。
アリスとリナの関係に近いのだろうか?
と思ったら、アラン君が模擬剣でダンに向かう。
そして、ダンはアラン君の模擬剣を素手で掴み取った。そのまま蹴り飛ばされる。
また起き上がり、立ち向かう。
吹き飛ばされる。
アラン君弱!
何でそんなに弱いのに立ち向かう勇気は人一倍なの。
逆にすごいぞ、アラン君。君の評価がうなぎのぼりだ。
「けっ、俺に刃向かうからだ」
ついにアラン君が立ち上がらなくなる。
俺はそんなアラン君に近寄った。
ちょっとだけ彼が可哀想に思えてしまったからだ。
「おい!何してる!」
「アラン君、模擬剣借りるね」
返答待たず、アラン君の模擬剣を借りた俺はダンに剣先を向けた。
「何だ?」
「アラン君と私が迷惑を被った分、やり返そうかなって」
「ほう、面白い。じゃあ、もしも俺が勝ったら、俺の彼女になって貰うぞ」
「ええいいわよ」
「ちょっとリヴァちゃん!」
アリスの言葉。
俺は二人にそしてアラン君に微笑みを送った。
「大丈夫見てて」
髪が舞い。
剣が舞う。
ダンが地面に倒れるのは一瞬の出来事だった。
「へ?」
「何が起きたの?」
「あの、ダンを倒した?」
驚く三人。
俺はまた微笑みを作ろうとして。
「こらー、何してる!」
遠くからルドルフさんの叫び声が聞こえた。
キャラ紹介8
ヒロイン リナ
女の子。歳は十六歳。ノンケ。暴走するアリスを止める存在としてこの世界に生を受けた。
見た目はM。でも実はS。
アリスとは幼馴染。
アリスのせいで好きな男子から嫌われた過去がある。彼氏いない歴年齢で少し焦りがあったりなかったり。
口調がよく変わる。
特技は縄抜け。趣味はアリスへの仕返し。
名前が主人公と似ている点が微妙に気になる。