闇
今回は、サラ視点のお話です
アジトに連れ去られてからの話となります
SARA side
私は、気付いたら暗い闇の中に居た
『……』
どうやら私は、捕まっている様だ
手足は、鎖で拘束されて…思う様に動かない
それにしても、これで、立たせたままにする?
まるで……これから拷問を受けるみたい……
私は、ぼやける視界の中で……
自分に何が起きたのかを振り返る
そうか………私…あの後……
記憶が次第に戻ってくる
そうだ……あの後…
私は……
完膚なきまでに倒される裕司の元に
駆け寄ろうとして…
でも、トウタにそんな私を止められて…
終いには…確か、お腹を殴られたんだっけ……?
そこからの記憶が無いから多分、
気を失ったんだっろう……
裕司……大丈夫だろうか?
あの子………精神的に脆い所が有るから
少し、心配だ……なんて
『……ふふっ……都合良すぎ…かな?』
私は、自嘲の意味を込めて…笑う
本当に都合が良すぎる……
私は裕司の事を利用しようとしているんだ……
そんな私が、彼の事を心配だとか、
何様のつもりよ……
私は闇に目を凝らしながら思う
この闇は、まるで自分の様だと……思った
裕司の前では、
無表情で沈着冷静な自分を演じているが…
実際は…弱くて脆い自分を隠している
本当の自分を闇の中に隠しているのだ
そう……私は…外面もそうだが、
中身はもっと……暗い……
そして、その事は誰にも伝えられないでいる
本当は…暗闇の中で、誰よりも助けを求めている癖に
また……脳裏に裕司の事が浮かぶ
彼は、本当に何の力も持たない 喧嘩も強くない
でも、いつも自信なさ気だけど……
時折見せる優しげな笑みが、印象的で……
その笑顔が忘れられない
でも、彼にも心の闇が存在する
何が有ったのかは、知らない………
知る権利は私には…無い……
元々、私も…自分の事を伝えていないのだ……
なら、私が彼の心の闇に踏み込む資格もなければ……
権利も無いだろう
だからこそ……
裕司を…放って置けない
裕司は、一生懸命なんだろうけどね……
私は、如何してか焦ってる様にしか見えないから
それにしても、疑いたくなる……
出会った当初から思っていたけど……
本当にあんな子に……
力が、眠っているんだろうか?
出会った当初からそうだが……
余りに弱い
本当に例の剣を持っているんだろうか…?
いや……私の声に答えたんだ
なら例の剣を持っている筈だ……
じゃなきゃ
このセカイに来れない………
つくづく自分が嫌になる……
ついさっきまで
裕司の心配してたかと思えば……
結局は自分の心配……
私は、最低だ……
自分の身勝手な願いに
彼を巻き込もうとしてるんだから
でも、あの子は……
私を、助けに来るかしら?
いいえ……
来てくれる訳がない……
あんな事が有ったんだものね…
私も……自分の素性を明かす気は無かったのに……
バレてしまった
しかもトウタがホシの一族の事を知っていた
まさか…私の事を知っている人が、いたなんて…
きっと、遠くない内に裕司も知ってしまう……
醜くて汚らわしい私の事を
嫌だっ……知られたくない……だって
知ってしまったら……
私から離れて行ってしまう
何故か私はそんな事を思った瞬間……
胸の奥が苦しくなる……何でかな……こんな事……
今まで感じた事ないのに……
でも、期待は…出来ない
だって、私の事を知った人間は……
気味悪がって逃げていく人間しか
見た事がないから……
だからもう、裕司とはもう……これで、終わり……
何故だろう……こんなに寂しく感じるのは…
今までこんな事無かったのに…
私がそんな事を思っていると
『…?…どうやら、起きたみてェだな』
と暗闇の奥からトウタが現れる
『……』私は彼を無言で、睨み付ける
トウタはそんな私を見て笑いながら
『…まぁ、そんなに睨み付けるなよ?
時間はたっぷり有るんだ……楽しもうぜ?』
と
トウタは私の口と口が触れ合う位の距離で
不適な笑みを浮かべる……怖いと思った
彼の眼は……笑っているが、
その奥は冷たく感じる……
まるで…誰も、最初から信じてないかのように…
私は感じた
私は目を閉じて願った
誰かっ……お願い…助けてよ……
このままだと、私……心が、いつか壊れる……
だから……お願いっ……
たすけて……裕司
なんて、叶う訳ないと思う事を願った……
この時の私は知らない……
彼……裕司が
三ヶ月後に助けに来る事を……
彼が強くなって……
口調が変わっている事も……
それに……私の……裕司の思う気持ちに……
変化が起きる事も…
この時の私は…まだ知らない