出会い
元高校二年生 高橋裕司
ある時頭に少女の声が響いた
裕司はその声に答えると
見知らぬ場所に招かれてしまう
狼狽える裕司の元に
突如として現れた黒いドラゴン……
慌てて逃げる裕司だが
黒いドラゴンに追い詰められてしまう
諦めかけたその時
ドラゴンの頭に光の矢が突き刺さる
光の矢を放ったのは、
裕司の頭に響いた声の持ち主だった
彼女は一体誰なんだ!?
後ろを振り向くとそこには銀髪の少女がいた
その少女は僕より背が高くかと言って
男と違って小柄で髪は背中まで伸びていた
僕は暫く彼女の顔を見惚れて只ぼーっと眺めていた
だって仕方がないじゃないか……
彼女の顔は丸みを帯びていて鼻は低く
唇は極端に厚くなく顔立ちは整っていた
それになんといっても彼女の目だ……
彼女の目は赤くてとても綺麗な目をしていた
きっと誰が見ても見惚れる……
美少女とは彼女の事を言うんだと
この時ばかりは思ったね
そんな僕に彼女は
彼女の息が掛かるくらい間近に寄って
『どうしたの……大丈夫?』
と心配そうな面持ちで再度声を掛けてきた
『っ……何でもないよ…それより君は……誰?』
ア〜アァ
この時ばかりは自分の経験の無さを恨んだよ
僕は人と接するのが決して上手いとは言えない
お世辞にしてもだ
彼女は僕に善意で来たにも関わらず
僕はぶっきら棒に返す事しか出来なかった
後でもっと上手く出来たんじゃないかって
後悔したよ……
せめて助けてくれた事に対して
お礼も言えないのかって
そんな僕に彼女は
『そう……私はサラ…よろしくね』
と淡々と答えて暫く僕の顔を見つめてくる
今度は僕に名前を尋ねているんだと悟って
『僕は……高橋裕司……君の苗字は?』
と僕はどうでも良いことだったが聞いてみた
そうでもしないと間が持たないと思ったから
彼女は悲しそうな目をしながら
『さぁ…忘れたわ……
覚えていたって意味が無いものだもの』
とサラは答えた
それがどう言う意味か聞こうとしたけど、
彼女の悲しそうな目を見て僕は
『そっか……』
と言うのが精一杯だった
この時の僕はこう思っていたんだ
彼女は人に言えないような心の闇を
幾つも抱えているんだろうなって
だから会って間もない
僕がそんな事を聞けないし
彼女も答えてくれないと分かっていた……
ま、そもそも彼女の心に
踏み込む勇気も持っていなかった
…この頃はね
僕は彼女を暫く眺めていて
気になることがあった
彼女の着ている服だ…
薄い緑色の布切れ一枚で体を覆っていた……
ファンタジー世界で言えばロープのような服装だった
『サラ……君のその服…』
と問いかけようとした瞬間
『さて、場所を変えましょう…
此処じゃいつまた魔獣に襲われるか分からないから』
と彼女は俺に背を向けて歩き出した
『……ちょっと待って…置いてかないでよ‼︎?』
と僕は彼女の後を慌てて付いていった
そしてこの後僕はこのセカイについて
サラから教えられる事になる