ゆけ!我らの法律事務所!その1
本編とは異なるネタ回です。無用な方は飛ばしてくださいm(_ _)m
「こんにちは!むむ?返事が聞こえんな。こんにちは!儂は事務所のボスこと新堂だ!」
「皆様こんにちは。私は事務所で受付兼秘書を務めております村井と申します」
「ところで村井くん。小説の本編の方は順調に進んでいるのかね?」
「それはまだわかりませんね。どうなることやらといったところです」
「そうかそうか。ところで村井くん」
「なんでしょう?」
「今日も相変わらず綺麗だねぇ」
「先生。そんなことをわざわざ言うために読者の皆様を呼び出したのですか?失礼にもほどがあります」
「いやはやすまんな。儂としたことが。では村井くん。今回読者の皆さんをお連れした訳を説明してくれたまえ」
「はい。今回は法律用語解説をすることによって少しでも本編を楽しんで頂こうかと思い皆様に御足労願いました」
「うむ。異世界ファンタジーが定番のこのサイトで法律物なぞ皆さんに馴染みのない無謀な小説を書こうというのであれば、まっ、当然の試みであろうな」
「という訳でありまして、これから法律用語解説を始めたいと思います」
「ぱちぱちぱち。といっても法律ってのは国ごとにその中身は違うわけだよな?一体全体どこの国の法律を解説しようだなんていうんだい?」
「そのことですが、本編は日本ではない法治国家という設定ですので特定の国を名指ししているわけではありません。まあいろいろと理由はあるのですが…」
「日本だと特定したばっかりに細かいところまで日本の法律通り小説を書いてたら、法律を調べてるだけで1日が終わってしまうからな!日本じゃないのなら日本の法律とちょっと違う描写があっても言い訳が立つということだろう!はっはっはっ!」
「わざわざ言わなくてもよろしいじゃありませんか…本編もまだ序盤なわけですから情緒がなくなります」
「はっはっはっ!こんなメタなネタ回を作っておきながら今更今更!」
「まあいいですが…。ということですので、法律用語の解説は主に本編で引用している日本の法律に照らして講義していこうと思っております。といっても私は法律の素人に近いですからあまり信用なさらぬようお願いします」
「儂も自信はないな!なぜなら司法試験に受かったのももう40年近く前だ。もはや勉強した知識などあまり残っとらん」
「それはいろんな意味で困りましたね…。ごほんっ。ですから皆様、あまり信用なさらぬよう改めてよろしくお願いしますね」
「では村井くん。本編ではなにやら物騒な事件が起きていたね。その犯人であった田原さんはいろんな呼ばれ方をされてたみたいだ。被疑者やら被告人やらなんやら」
「はい。被疑者というのは、捜査機関によって犯罪を犯したとの嫌疑を受けて捜査の対象となっているが、まだ公訴を提起されていない者、を指します」
「ほう。その公訴とやらをまだされてない犯人のことをいうのだな。公訴ってのは簡単にいえば検察官が裁判所に訴えを提起したということだな」
「そうです。よくニュースなどでは容疑者などと言われています。この容疑者という言い方は正しい用語ではなく、マスコミ用語に過ぎません。マスコミの慣習でこのようになってしまったのでしょう」
「なんと。そんなことも世の中あるのだな」
「それに大事なことですが、被疑者のことを犯人というのはよろしくありませんね」
「ん?なぜだ?」
「被疑者はまだ裁判所の有罪判決が確定した人ではありませんから、犯人と決めつけるのは早計です。それに冤罪のおそれを考えたら、そういった決めつけは不当な思考感覚でしょう」
「おお!そうか!すまんな。たしかにそれは良くない」
「冤罪を防ぐため、刑事事件では『疑わしくは被告人の利益に』といういわば鉄則が存在します。有罪判決が確定するまでは犯人などと口が裂けても言うべきではありませんね」
「そうだな。報道番組ではさも犯人かのような言い回しが多いからな〜。ついついな。日本も容疑者とか呼ばず、『さん』付けくらいにすべきなのかもしれんな」
「外国ではそういう国もあるようですね」
「ところで被疑者と被告人は違うのか?」
「被告人とは公訴された後の者をいいます」
「ん?儂はニュースで『被告』と呼ばれているのを聞いたぞ?」
「それもマスコミ用語ですね。正しくは『被告人』です。『被告』というのは民事事件において訴えられた者のことを指します。刑事事件と民事事件では訴えられた者の性質が全く異なりますから、それに伴って呼び方も異なるのです」
「なんと。ここも違うのか。マスコミとは困ったものだな〜」
「ともあれ報道は視聴者に正しく事実が伝われば良いわけですから、用語が間違っていても伝わればそれで十分でしょう。誤って伝わらなければの話ですが」
「いやはや。村井くんはなんだかトゲトゲしいなあ。はっはっはっ!」
「いえ。私も正義の使命を負う新堂先生のもとで正義の味方をさせていただいてる身ですから、こういった話題には少し熱くなってしまいます。どうかお許しを」
「ぬ。儂が正義とな!恥ずかしい言い方はしおってからに。うむ。儂も身を引き締め直さんといかんな。ぐっ…!」
「どうなされました!新堂先生!」
「ゔ…。背筋を正したらな…腰を痛めてしまったようだ…」
「あら先生…。菊池先生!いらっしゃいませんか!新堂先生に肩をお貸しください!」
「うう…。読者の皆様申し訳ない…。まだまだ説明したいことはあったのだが今回はこの辺でご勘弁を…」
「本当に申し訳ございません。何か質問等ございましたら気軽にメッセージ等お送りください」
「儂への愛のメッセージも待っとるぞ…」
「そんなこといいですから。さあ、あちらへ」
「うむ…」
「では皆様、また次回お会いしましょう」