創作魔法とオレンジの魔法使い
これは、剣と魔法の異世界トリップものです。
女主人公。
恋愛展開予定でしたが、そこまで辿り着けず…。
大まかなあらすじ有り。
とある現代の少女。
ある日、ごく普通に一日を過ごし、眠りにつき、そして目を覚ますと、深い森の中にいた。
少女は現状が把握できない。
と、少女の目の前に白く光る球体が現れた。
ソレは少女の周りを何度か旋回すると、青く光り、どこかへ行こうとする。
少女がソレを見つめていれば、ソレは点滅しながら行ったり来たりを繰り返す。
少女はソレがついてくるよう催促してると推測し、ついて行く。
と、ソレは点滅するのをやめて、少女を先導し始めた。
しばし歩いたところで、ソレは赤く光り、止まった。
少女はすぐに赤信号を連想し、足を止めた。
すると、ソレは次に黄色く光った。
そして、少女の周りを旋回しだす。
少女はソレの色と行動に困惑する。
少女がそれをどう解釈すべきか考えていると、突然森の遠くで轟音が鳴り響いた。
それと同時に地響きがだんだんと少女に近づいてくる。
突然の衝撃に少女は硬直したが、不意に一瞬で体が凍りつくような怖気を感じた。
無意識に視線を音がする方へ向け、巨大な猪のようなモノが全力疾走してくるのを認識した。
途端、少女の頭の中に文章が浮かぶ。
それは口に出して唱えるものであり、今、この現状に対処するのに必要なものだと、少女には分かった。
そして、それは猪の化け物に向けるものであり、手をかざした方が、狙いをつけやすいことも分かった。
少女は妙に冷静に、土煙をたて、樹々をなぎ倒しながら駆けてくる猪の怪物に右手をかざし、文章を詠唱し、一つの単語を唱えた。
瞬間、少女の中から今まで感じたことのない力の奔流が流れ出し、猪に衝突した。
と、轟音が響き、猪はロケットのように真上にぶち上げられた。
そして、少しと言うには長い滞空時間の後、地面にめり込むように猪は落ちてきた。
少女はその現象に驚愕し、呆然と立ち尽くしてしまう。
高等魔法
『風砲落星』
【うねる風ー吹き上げる風ー落ちる星】
風ー風ー闇
猪の魔物
【突礫猪】
少女はその時、トライを討伐しに来ていた一人の男と出会う。
少女は男に連れられて、街へと来た。
そこで、少女は自分が異世界にいるということを悟る。
男は旅人と呼ばれる職業で、どうやらかなり強いらしい。
男が泊まっているという宿の部屋で、少女は自分は遠い国の人間で、いつの間にかあの森にいたこと、この国のことを何も知らないことを話した。
また、謎の光球のことや、トライがぶっ飛んだのは自分の所業だと言った。
男によれば、それは魔法であるらしかった。
それも、高等魔法と呼ばれるもの。
少女は、魔法が実在することに驚き、自分がそれを使ったことに驚き、そして、いまさらながらに男と言葉が通じることを鑑みて、異世界チートとやらが働いているのでは、と検討をつけた。
そして、少女は男から、知っておかなければいけないこの世界の情報を教わった。
人種について。
最も数の多い人族。
獣の特徴を持つ獣人族。
魔物の血を引く魔人族。
魔法について。
魔力というものを、誰もが持っている。
魔力を注いで使う魔道具がある。
魔法を使うには、免許がいる。
魔法免許を持つ者を、魔法使いと呼ぶ。
そして、伝授資格を持つ魔法使いを、教授と呼ぶ。
免許を取得するには、教授に師事して、試験を受けなければいけない。
免許は二種類。
一般魔法を使えるという証明の一般魔法免許。
高等魔法を使えるという証明の高等魔法免許。
また、魔法使いが国の試験を受けて取得する特別な資格が二種類。
国に所属する魔法使いとしての証明の国家魔法使い資格。
魔法を他人に伝授する資格を持つという証明の魔法伝授資格。
魔法は、大きく分けて三種類ある。
一つ、一般魔法。
さらに二つに分けて、基礎魔法と上位魔法。
火、水、風、土の四元素と、闇、光の根源元素の六つの属性があり、ごく少量の魔力と単純な構成の《呪文》から成る。
上位魔法は、基礎魔法の強化版。
消費する魔力量が増え、《呪文》も複雑になる。
二つ、高等魔法。
六つの属性を自在に組み合わせて創られる魔法。
個人個人に創られるので、種類が豊富。
ただし、属性を混ぜることは多量の魔力を消費し、《呪文》を創作することと、魔法に名付けることには才能が必要なので、行使できる魔法使いは少ない。
三つ、特殊魔法。
血筋や、種族によって継承される魔法。
魔力以外に血を使用して行使する。
属性を持たないものも多く、高等魔法免許が適用される。
また、魔法は三つの種類がある。
まず、攻撃系魔法。
破壊や殺傷能力を持つ魔法のこと。
次に、補助系魔法。
物を固定したり、結界を張ったりする魔法のこと。
そして、治癒系魔法。
傷や病気を癒す魔法のこと。
総合互助組合について。
通称はギルド。
ギルドには、誰でも登録できる。
登録した者は、ギルドメンバーという。
登録証は、身分証明になる。
ギルドには、依頼人から依頼が来て、それらをギルドメンバーが達成する。
ギルドは、依頼人とギルドメンバーの仲介をし、仲介料を取っている。
また、銀行の役割や、郵便局の役割も果たしている。
少女は、この世界で生きていくため、ギルドメンバーになることを決める。
そして、自分が一人で生きていけるまで、世話を見てほしいと男に頼む。
男はそれを了承した。
その日は、男と同じベットで寝る。
次の日、朝食を済ました後、二人はさっそくギルドへ行くことにした。
少女は男に連れられて、街を見物しながら歩く。
と、突然、少女の目の前にあの謎の光球が現れた。
白いソレは、再会を喜ぶかのように少女の周りをクルクル回る。
そして、青く光り、左の方へ、建物の隙間の路地裏へと少女を誘う。
少女は、男が自分が止まったことに気づかず、どんどん先に行ってしまうので、置いていかれることに躊躇する。
しかし、少女が男を追おうとすると、ソレは赤く光って少女の前を塞ぎ、青く光って路地裏の前で点滅する。
その間にも、男は遠くなり、少女は諦めてソレの後をついていくことにした。
薄暗く狭い道をしばし歩くと、ソレは赤く光り止まった。
少女は足を止めると、グルリと周りを見渡す。
周りはレンガらしきものの壁だけ。
すると、ソレが黄色く光り、点滅しだす。
少女は反射で周囲を警戒した。
そして、全身が凍るような怖気と同時に、カチリという小さな音が背後で聞こえた。
少女はその音の正体を瞬時に悟り、右方向へ跳んだ。
すると、一瞬前少女がいた位置で勢いよく扉が開き、男の怒鳴り声が聞こえてきた。
少女は壁に張りつき、息を潜める。
扉から、一人の喚く男が、二人の黒ずくめの男達に羽交い締めにされながら出てきた。
そして、放り捨てるように、投げ出される。
男と黒ずくめ達は、何事かを言い争っていたが、黒ずくめ達が男を遮って扉を閉めてしまった。
男は扉に向かって怒鳴り、ブツブツと悪態をついている。
少女は、これは絶対にヤバイ場面を見てしまった、と硬直していたが、どうやら男は自分に気づいてないようなので、気づかれないうちに逃げようと、足を一歩動かした。
と、不意に男がこちらに顔を向け、少女はバッチリと目が合ってしまった。
生命の危機を感じて固まる少女に、男は凄みながら近づいてくる。
至近距離で睨みつけられ、全身に冷や汗をかいていた時、少女の頭に文章が浮かぶ。
今度は少女には、それが魔法の《呪文》だと分かった。
そして、これは今必要なものであり、男の額に手を置いて唱えるべきだと分かった。
またも、少女は妙に冷静に男の額に右手を置く。
男は少女の突然の行為に、怪訝そうに声を上げたが、《呪文》を唱えたことに目を見張る。
男は少女の手を払おうとしたが、少女が魔法の名称を言い、それはできなかった。
少女の中から溢れ出した力ーそれが魔力だと少女は理解した。ーは、男を包むと輝き、少女は目を瞑る。
しかし、なぜか魔力の動きは感じられ、それが男から出たものを捕らえて男にかぶせ、男の姿を変え、その首に首輪のようなものをはめたことが分かった。
そろそろと目を開くと、男の姿はなく、ゆっくり地面に目を向ければ、そこに一匹のイタチがいた。
高等魔法
『変真姿封魔』
【正体を暴く月光ー姿を与える水ー怒りを封じる暗黒】
光ー水ー闇
鼬の魔物
【角旋風鼬】
少女は、ああこれはさっきの男だ、とやるせない気持ちで悟った。
放置する訳にもいかないなので、恐々とイタチを抱き上げる。
どうやら、イタチは眠っているようだった。
どうしようかと、少女が途方に暮れていると、またもや突然に光球が現れた。
それは少女の前でフワフワと周った後、青く光って行ったり来たりする。
その姿に既視感を覚えた少女は、記憶を探って、ソレが鬼火やウィスプに似ていることに気づく。
思わず口に出せば、ソレは橙に点滅した。
初めての反応に、少女は驚く。
鬼火?と言えば、緑に光り、ウィスプ?と言えば、濃い紫になる。
そこで、少女はソレが少女の言葉を理解していることに気づいた。
そこで、少女は意識の疎通が可能なのかと問うと、ソレは緑に光った。
緑は肯定、と判断して、少女は鬼火という言葉が好きなのかと問う。
と、ソレは濃紫に光る。
紫は否定、と心の中でメモする。
少女は少し考え、では鬼火と呼ばれるのが良いのかと問い直した。
すると、ソレは緑に光る。
少女はソレの意思?に従って、ソレを鬼火と呼ぶことにした。
鬼火は色を青に戻し、少女を誘う。
青は進め、と結論づけ、赤は止まれ、黄色は気をつけろだな、と加える。
完全に信号機だ、と少女は少し笑った。
今度は少女も素直に従い、できれば男の元へと連れて行ってほしいと頼む。
鬼火は一度緑に光ることで応えた。
高等魔法
カシスフマの反魔法
『戻元姿解魔】
【半身を導く陽光ー姿を還元する水ー怒りを解放する深淵】
光ー水ー闇
高等魔法
『念話』
【心を繋ぐ光鎖】
光