植物
新しい花を愛でて
私は一秒前すらも忘れていく
過去を塗り変えるのは色の染みない油絵の筆と
新しい景色、めにうつる世界や感情の波
体が汚れていくから 私は
拭き取っても拭き取っても取れないしみを
いとおしくおもっていた汚れも
全部綺麗にしようとしては
フリダシに戻る
本当は、そのしみや汚れを愛していた
苦しい、過去はアルバムの中で色褪せていく
写真はデータの中で消えることはない
簡単に消してしまえても
私はいやだ、我が儘を今もいう
大人になった私は体が昔よりも大きくなり
その重さを疎ましく思う
彼の重さを愛した
存在も弱さも
ただの恋愛ごっこではなかったと思っていた
彼がどんな思想で
どんな世界をもってるか
私は最後までわからなかった
そして私は新しい花を見つけて
忘れたくないことも
忘れてしまうだろう
悲しい生き物、
感情があるなんて
邪魔なだけ
植物になってしまえば
よかったのに