封鎖区域
印象的な夢の話。全体的にセピア掛かったような、映画的な映像でご想像下さい。
こんな夢を見た。
2匹の犬が公園の片隅の木陰で寄り添っている。少し怯えたような、周りに警戒した目をしている。気持ちは一つ、ただ一緒に生きたいだけ…悲しい、でも切実な願い。公園で遊んでいた少女がその犬を見つけ近寄ると、はじかれたように立ち上がり、2匹連れ立って逃げていった。
場面は変わって…公務員の女性。今、案内されている土地に詳しい別の女性に導かれるまま、子供の好むような場所を歩いている。使われなくなった覆道とか、鉄線で囲われた空き地など。案内する女性が子供の頃の記憶をたどっての歩み。なので、くぐれなくなった場所もある。
案内を受けていた女性はこの場所では収穫が無いと判断し、封鎖している広大な公園に向かう。中心の広場に蚊帳のようにネットを張り巡らし、番犬を飼い、生活している大勢の浮浪者を見つけ、
「何を考えてらっしゃるのですか?!ここは危険地域として封鎖されています!直ちに撤去し、避難して下さい!!」
と言い放つ。しかし浮浪者は
「ここ以外に行くところなんか無い。危険だろうと私たちには安全な場所。お役所はどうせ何もしてくれないのだろう?」
「感染してからでは遅いのです!直ちに避難して下さい!」
「私たちはここを動かない。閉鎖されている限り、ここは安住の地。」
「わかりました。閉鎖が解除されるよう、出来るだけ早く発見し、排除してきます」
そして彼女は脇に抱えていたジャケットを羽織り、背負っていたライフルをいつでも撃てるように持ち直し、更に公園の奥に分け入っていく。
人類にとって脅威の病原菌をたまたま保有してしまった、あの哀れな犬を「排除」するために。「排除」した者に襲い掛かってくることが予想される、連れ立って逃走している犬と共に…
そこで、目が覚めた。