第三話
短いです。
よろしくお願いします。
忘年会の帰り道。
タクはヒロを送ってくれた。
「今日はすいませんでした。狂犬だのと言って。」
「ううん。ありがとうね。わざとでしょ?」
「まさか。」
「誤魔化すの下手だなぁ。ユウさんに聞いたよ。普段はあんなことしないって。私が孤立してるの気にしてくれたんでしょ?」
「違いますよ。あなたのパンツに魅せられてフラフラしたんです。」
「臍までなのに?」
「はい。」
「実は変態なんだ。」
「何でそうなる!?」
「自分で言ったんじゃない~」
「あぁ、自分の発言が恨めしい。」
タクは大袈裟に天を仰いだ。その様子にヒロは笑った。久々に心が穏やかな夜だった。昨日までは次の日の学校のことを考えて、胃が痛むのに耐えていたのが嘘みたいだった。
「ねぇ、どこで授業受けてるの?てか、何年生なの?」
「坂上ったところの第3講義棟だよ。ちなみに3年生。」
「え!?年上!…なんですか?」
同じ学年だと思っていたヒロはまさかの年上発言にとってつけたかのような敬語を使った。そんな様子がおかしかっのかタクは笑って言った。
「アハハ…いいよ。今さら敬語なんて。」
「そう?では、お言葉に甘えて。違和感あったのよね、敬語。」
「なんで?」
「いや~、何か先輩って感じがしなくて。言うなら“仮にも”先輩って感じ?」
「仮にもって何?仮にもって?先輩としての威厳が滲み出ているだろうが!」
「まったく。」
「オーノー!おぉ神よ!なんたるひどい仕打ちをするのですか!」
タクは空に両手を掲げ、演じるように言った。
「無神論者に言われてもねぇ。」
そんなタクを冷静にヒロはぶった切った。
「いやいやいや、篠原さん?」
「何?」
「ここは神はあなたに~とのるところでは?」
「やだよ。そんないたい人になりたくない。」
「し(ひ)どい…。」
「はいはい。しどいしどい。」
二人はお互いに顔を見合わせて笑った。
「第3講義棟かぁ。ちょっと遠いね。」
キャンパスは丘にできており、中腹らへんに一年生や二年生が授業を受ける第1講義棟と第2講義棟、さらに坂を上ったところに3年生が授業を受ける第3講義があり、その間にカフェテリアや売店、教授達の教室がある。また、第3講義棟をさらにのぼると丘の頂上にでられ、そこから見える景色は絶景で夕方くらいになるとカップルだらけになる。
「そうだね。」
「でも、時間があるときに訪ねていってもいい?」
「え?」
「だめ?」
「いや、全然むしろお願いしますって感じだけど…」
「本当に!?ありがとう!」
その日からヒロはタクの教室に通いだした。二人が付き合い出すのはそれから三ヶ月後だった。
ありがとうごさいました。
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