ハンドメイドペーパー
何億光年離れた世界から
やってきたのは一つの手紙。
『オウトウネガウ』
それだけが書かれたぼろぼろの手紙を
大事に握って走りだした。
行く先は過去。
置き忘れた記憶を取り戻しに。
そうだ。
ついでに僕に会おう。
臆病な僕に。
情けない僕に。
古い背中に出会えた。
あれは、僕だ。
声をかけようとしたができなかった。
そのときの僕もまた、彼女に声をかけれなかったから。
『ばいばい』
人生で二度目の言葉。
聞いた場所も同じだった。
強く手を握り締めた。
手のひらをそっと返してみた。
『オウトウネガウ』
これは彼女の言葉だった。
ずっと僕を待っていた。
何年も。
何十年も。
不思議と涙は出てこなかった。
僕はもう枯れていたから。
最期に一度だけ返事を書こう。
彼女に贈る、初めての言葉を。
『オウトウシマシタ』
この作品はあなたが読んで価値のあるモノとなります。
幸せは自分の手から生まれるんですよ。