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第5章 The Glitch in My Friend【親友の友達】

恋愛について柏木と話し込んでいると、

最近1番聞いている声が聞こえた。


「秦野」


冷めた顔の美しい男子高校生が教室に入ってきた。登校し始めた生徒はチラチラと俺たちを見ている。

前から柏木と俺はふたりでいると人気があった。と思う。


最近こいつが加わったからか、より女子の視線を感じる様になった。


「星ちゃんの旦那さん、今日も素敵ね」


「旦那じゃねー。こいつが俺に付きまとってるだけ」


露木は会話には入ってこず、俺に紙パックのカフェオレを差し出した。


「昨日泊めてもらったお礼だ」


「星ちゃん!もうお泊まりの仲なの!?」


「バカ!昨日俺ん家に用事あって、雨すごくてそのまま泊まっただけだ」


「やだぁ!何も誤魔化せてない!星ちゃん!」


柏木はニヤニヤ笑い頬を両手で抑えた。

…なんか、露木が現れてから俺のキャラが崩壊している気がする。


「わかるよ?なんか露木って、近くにいるだけで妙に落ち着くよね」


「…そう、こいつなんか婆ちゃん家みたいな匂いするし。実家感?」


「どれどれ…あ、たしかに。なんか和カフェみたいな匂いかも!落ち着く!」


柏木が立ち上がり露木の肩に鼻を近づけくんくんと匂いを嗅いだ。

そう…落ち着く匂いなんだよ…昨日も抱きしめられた時嗅いだけど…いつもよりいい匂いだったな…


「いや!!抱きしめられてないから!!」


俺は脳内に映し出された昨日の抱擁をかき消すように声を荒らげた。


「抱きしめたぞ」


露木は顔色を変えず、首を傾げた。

こいつ…からかってんのか?イライラする。


「そもそもお前…!!昨日破れたズボンはどうした!?ケツのとこ!!」


声を荒らげると、柏木が口元を手で押えて絶句した。


「星ちゃんが…攻めなの…?」


最悪だ……。


「違う!えっと!昨日こいつのズボンが破けたんだよ!!シリのとこだけ!!」


近くに居た女子が振り向いて絶句している。

俺は何もしていないのに!


「大丈夫だ、直せた。見るか?」


露木が振り向いて綺麗な制服の後ろ姿をお披露目した。うん、ありがとう露木。


「もう…なんでもいい。俺は。どうでも…」


俺は机に突っ伏してすべての情報を遮断した。


***


「以上ドーナツ5点ですね。お持ち帰りでよろしいでしょうか」


俺はドーナツを箱に詰めて、電子決済のQRコードをお客さんに差し出した。

課題は山積みだが、日常を急に変えることも出来ない。


柏木の件…どうすっかな…元カノに連絡?

柏木の元カノって他校ばっかりだった気がする。今回初めてじゃないか?同じ学校。


別れて揉めると面倒くさいから、他校ばかり狙ってたのか?そうだとしたら本当に猿だな。

ん?今回は本命を見つけたってことか?


ならいいんだけど…いやいや、それで過去がチャラになるわけでもないし。


ため息をついて、新しいコーヒー豆をセットするとボタンを押下した。

コーヒーがポットに落ちる香りは一時だが俺を癒してくれる。カフェオレしか飲めないけど。


「お疲れ様です!星くん」


「ん〜?何?今日暇だね〜」


バイトの同僚、三島莉央がトングを拭きながら話しかけてきた。


「あの…差し支え無い範囲で、西高の事聞いてもいいですか?」


「うん?いいよ?何?」


「ありがとうございます。3年生の柏木裕太さん、お知り合いですか?」


「…え?何?なんで?」


「ご存知なんですね!今店長さんもいらっしゃらないですし…お話し続けますね」


「うん…何?」


ピンポイントでありがたいが、良い話の声色ではない。三島ちゃんはお嬢様が通う女子校に通っていて、いつも落ち着いているイメージだが、なんだかソワソワしている。


「…柏木裕太さんは、同じ学校にお付き合いされてる方いらっしゃらいますか?」


「うん…最近出来たと思う。彼女」


「そうですか…」


「なんで?」


「いえ、大丈夫です」


絶対に何か隠している。何かあるなら彼女いるかなんて調査してんだろ。

まさか、三島ちゃんも柏木の餌食に?


三島ちゃんは深呼吸して、トングを拭く手を止めた。


「…誰にも言わないでください。男女の嫌な話なので…」


俺は絶対言わないと三島ちゃんを落ち着かせた。日頃の行いが功を奏しているな。


「私の親友が…降ろしたんです」


「え?降ろしたって…」


三島ちゃんは、俯いて頷いた。


「はい…柏木くんと一応話し合いはして、

やっぱり高校生だし、その子親も厳しいから…

降ろすことになりました。でも、柏木くんは優しくて病院の付き添いとか送り迎えとかしてるの私も見てて」


「…うん」


「でも、しばらくしたら柏木くんは部活が忙しいからって段々連絡が取れなくなって…その子メンタル不安定になってしまって…」


「しつこくして、柏木に振られたと」


三島ちゃんはポロポロと涙を零して頷いた。

親友だから柏木が許せないと声を荒らげた。



ピンポーン♪


来客を知らせるセンサーが店内に響き渡る。

いつもより明るい音がわざとらしく反響している。


「ホットコーヒーと…あと、これ」


露木がドーナツを載せたトレーをレジに置き、スマートフォンでアプリを提示した。

ずいぶんちゃっかりとした白龍だ。

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