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蟻の巣  作者: Alan Ingres
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いつもはノクターンの方で、マニアックすぎるエロネタを投稿してますが、普通(?)の文章にもチャレンジしました。まったくエロくないわけではないですが、まあ村上春樹くらい?にとどめたつもりです。

開始2ページ目で異世界に転生して主人公が無双したり、謎のウィルスで人類は滅亡、ゾンビが大量発生したりはしません。

非常に淡々と、上善如水な文章を目指します。

長さは昔の新聞小説みたいに1000字くらいずつにしています。

 朝、目が覚めると、枕元のスマホを手さぐりで取り、時間を確認する。それが私の一日の始まりのルーティンだ。

 午前十時五分前。

 アラームなしで、必ず同じ時刻に目が覚めるのは特技なのか、それとも何かの呪いなのか。ひとによっては便利で有用なスキルかもしれないが、自営業で自宅での作業がメインの私には、それほどありがたいものでもない。朝、ベッドの中で二度寝する気持ちよさは私には無縁だったので、そんな話を聞くたび少しうらやましくも思えた。私はベッドから起き上がり、パジャマのまま寝室を出た。キッチンでコーヒーを淹れながら、スマホのメールを確認する。一通のメールが目に留まった。

「From 蟻の巣〜輸入直販ドール専門店

<ari-no-su@gmail.abs」

 どうやらプロモーションメールがメインフォルダに紛れ込んでしまったようだ。

(蟻の巣⋯)

 奇妙な店名に見たこともないドメイン。そもそも私はドールとかフィギュアとかには何の興味もない。子どものころには、さすがにひとつかふたつくらい人形を持っていたかもしれないが、別に思い出らしい思い出もない。最近、通販サイトでそれらしいものを検索したりしたこともない。とりあえず文面を流し読みすると、

「〇〇〇〇(私の名前)様

商品を一つ本日お届けの予定です。」

 迷惑メールフォルダに移動させるアイコンを押す指が止まった。冷めかけのコーヒーを持ったままリビングに行き、ソファに腰を下ろして考えた。最近ネットで買ったものといえば、ワイングラスと下着くらいのものだ。下着とドールを間違えて注文するほど、私はそそっかしい人間ではないつもりだ。

 誰かのプレゼントだろうか?友人の誰かが届け先を私宛にして送ったのだろうか。でも、なぜドールなんだろう?私に人形を飾ったり集めたりする趣味があるなんて思う友人や知人がいただろうか?だれかのいたずらか、嫌がらせか?

 全く見当もつかない。

 スマホをテーブルに置き、私はソファに寝転がった。たぶんただの詐欺メールだろう。万が一何かが送られてきたとしても受取を拒否すればいいだけのことだ。少しは配達員とめんどうな話をすることになるかもしれないが、それより問題は配達の予定日時が書いてないことだ。今日は少し離れたショッピングモールへ行く予定だったのが、そうもいかなくなった。私はため息をついて立ち上がると、朝食の準備のためにキッチンへ向かった。


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